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旅の準備 5

投稿致しました。

どうぞ読んで見て下さい。

「少しお伺いしますが、どうしてこの宝石類は他のに比べてお安いんですか?」

「それはどういう事でしょう? 何か私の説明が不十分とでも言いたいのですか?」

「いえ、そういう訳ではないのですが、少し気になりまして。」


申し訳なさそうになるべく下手に聞いてみるけど、店員の顔が如何にも嫌そうな顔なのが見て取れる。

まさか、本当に疚しい事でも有るんじゃないだろうな。


「買っていただけるなら、お教えしても宜しいですが?」


なんだ、この店員、それはおかしいだろ? 買う為の情報として聞いているのに、それじゃあ何の意味も無いと思わないのだろうか?

それとも、冒険者程度の頭では判らないとでも思っているのだろうか?


「レン様、私この品3点とも買っても宜しいかと思うのですが?」


シアが、何故か上目遣いでお願いポーズしてくる。可愛いい。

別にそんな事しなくても買うつもりだったんだけどね。


「うん、買うのは僕も賛成なんだけどね、何があるか判らないから情報は少しでもあった方が良いからね。」


僕はシアにそう言ってから店員をみると、買う事を前提と話すと少し姿勢が良くなった様な気がした。


「そうですか!買っていただけますか。ありがとうございます!」


いや、買っても良いんじゃないかと言ってるだけで、買う、なんて誰も言ってないんだけどなあ~。

まあ良いか。


「それでどうしてか教えて頂けます?」

「あ? ああ、宜しいですよ。」


店員は別に隠す風でもなく教えてくれるようだ。


「この宝石なんですが、借金のカタに当店のオーナーが接収した物なんですよ。」

「借金ですか?」

「はい、当店のオーナーは若い魔導師で魔宝石の加工を志す者に投資をして、当店や支店で扱えるような優秀な加工師に育てているのです。ところがたまに、オーナーの意向を無視し自分勝手な魔宝石を作ったり、当店が貴族様方にお売りするような水準以下しか作れない加工師もいるんです。そういった場合、投資金額には全然足りませんが、こうやって今まで作った物を接収し少額でも回収しようとして、こうやってお出ししているのです。」


「なるほどですね。」


つまり、お前にどれだけの金を注ぎ込んだと思ってるんだ! この落し前きっちりつけさせて貰うかんな! とか、云う事なのかな。

でも、投資なんだから失敗しても自己責任で借金のカタに取るってのもどうかと思うけどね。


「そういった加工師の方ってどうなるのです? まさか奴隷にして売るなんて事はないですよね?」


シアが心配そうに店員に尋ねている。

そうだね。そういった場合、結構借金の返済が足りず、身売りをするなんて事はこの世界なら日常的に起こってるって母様が言ってたな。それに投資をする時の誓約書の内容によってはそんな文面が書かれている事もあるのかもしれない。


「当店は、その様な陰湿的な事は一切しておりません! 侮辱されるなら訴えますよ?」

「いえ! そ、そのような事は一切思っておりませんので! 申し訳ありません!」


店員のシアを見る目が鋭かった。

本当にしていないのだろうか?


「レン様、結界魔道具の魔力を切っても良いですか?」


シアが僕にしか聞こえないように耳元で囁いてくる。


「それって、でも大丈夫なの?」

「ええ、大丈夫です!」


真剣な眼差しで、僕を見つめちゃんと覚悟を決めた表情で言い切るシアに僕は任せる事にした。

当然僕もフォローに努める。

シアは店員に気付かれない様に集中し、魔道具への魔力供給を止めた。


「! うっ・・!ん!」


一瞬でシアの顔色が青ざめていった。

今、この店内には5人の店員と年配の貴婦人が2名確認出来るだけでいる。

僕の神対応でシアの加護の制御を補助するものの、この店内くらいの広さにいる人の感情や心の言葉が一度に頭の中の入ってくるのだから、僕には判らない苦しみや気持ち悪さがあるのだと思う。

こういう時、その苦しみを少しでも分かち合えたらと思う。

シアはそんな中で、目の前の店員に意識を向け心の奥底を覗こうとしていた。

有り難うございました。

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