お披露目 2
投稿致しました。
宜しくお願いします。
「はい!」
僕は返事をしてすぐさまシア姫達王族が謁見で座る玉座の間へとカーナとリーシェンを何とか促しながら上がっていった。
そして先ほどシア姫に忠誠を誓った言葉をもう一度此処でし直すのだ。
これは内外に正式なものである事を知らしめる為の儀式みたいなものであるため止めることは出来ないらしい。
僕はまずシア姫の横へ立ち一度貴族達の方を見てから、姫の前に移動して跪く。
シア姫は明るい笑顔で僕を迎え、そのまま手を僕に向けて差し出してきた。
僕はそれを躊躇うことなく手に取り口づけをして忠誠を示した。
「私、騎士レンティエンス・ブロスフォードは、この身をファルシア・フォレスタール様に捧げ、崇高なる役目を果たすことをお許し下さい。」
僕は天使のように微笑むシア姫を見つめる。
「許します。私の騎士となり盾となって尽くすように。」
「はっ!!」
儀式とはいえこんな恥ずかしい事は今後お断りしたいです。
ただ、シア姫が本当に嬉しそうにしてくれたのに救われた感じがした。
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「おい! ゴルード伯!」
「はい、どうか致しましたかジルデバル様。」
二人の男は、この謁見の間の片隅に身を潜め小声で話し合っていた。
「どうしたも、こうしたも無い。これはどういうことだ? 何故あの小僧がいきなり騎士になってファルシア姫の専属になっているんだ?」
「それがどうも国王特権を使用して騎士を授けたようです。」
「はあ?まだ7才のガキだぞ? 別に功績をあげたとかでもなかろうに、司法省の人事部の奴らは許可したのか?」
「詳しくは判りませんが、国王特権で剣聖と国王二人の簡易承認で起案させて、宰相が略式承認してしまったようです。」
「では、我等がいまさらどう言っても覆らんではないか。忌ま忌ましい。」
イライラしながら、王やファルシア姫と一緒にいるレンの方を睨みつけるジルデバル辺境伯。
「しかしあの小僧も、精神耐性結界の魔道具を着けている所をみると、姫の加護には警戒しているようだな。」
「確かに、姫の加護は強力ですからな、いくら子供とはいえ心の奥底まで見られてしまうのは堪えられないのでしょうな。」
「であれば、姫があの小僧に心許している訳ではないようだの。であれば計画通りあの皇子に頑張ってもらえれば、姫を手中にする計画に問題はあるまい。」
少しイライラしながら話していたジルデバル辺境伯が自分の計画に問題が無いと判断出来たので少し落ち着いた雰囲気に戻ったようだ。
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ザワザワ
「なんだ、これは子供のままごとか?」
「あんな取り柄の無い加護を持った小僧が騎士?」
「あれなら私でも出来そうだぞ。」
「まあ、姫が公の場に出るのに護衛がいないんじゃ話にならないだろうし、誰かがその任に着く必要があるのだから、体裁だけ整えたというところではないのか?」
「それに、いくら精神耐性の魔道具があっても誰も姫の護衛騎士になる者はいないだろう?」
「そういう意味では、適当な人材なんじゃないか?」
「確かに、一応はブロスフォード家の者なのだからな。」
「あの小僧も貧乏くじ引きやがったもんだ。」
「は、は、あの姫の相手をすると考えれば、騎士でも貴族位を授けんとやってられないだろうしな。」
「ここはあまり異を唱えず、あの小僧に頑張ってもらった方が得策だぞ?」
あ~、やっぱりそういう反応か。
お妃様も母様も最初っからそれが狙いだ。
普通なら、僕みたいな特技の無い小僧が騎士になんてなれる訳が無いけど、あの姫に仕えると云う事だけで騎士になるだけの貢献があると判断してくれれば問題なかった。
それにこの精神耐性の魔道具に似せて作ったアクセサリーのおかげで大抵の貴族は騙せてるみたいだ。
これをつけていれば、少なくとも僕と姫様との関係がそこまで親密であるとは思わないだろう。
でも、これだけシア姫の事を良く思っていない連中ばかりなのが僕は悲しかった。
読んでいただき有り難うございます。




