ファルシア姫 8
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「ファルシア姫様、この辺りでお話ししましょうか?」
そう言って、僕はバルコニーの一角に置いてあった、屋外用のテーブルと椅子の方にファルシア姫様をさそった。
もちろん、ファルシア姫様が座る方の椅子には、僕のハンカチを取り出して敷いておく。
ファルシア姫様は、宜しいのですかと言っている様に小首を傾げ僕を見つめて来たので、笑顔で返答する。
それにファルシア姫様も笑顔で返してくれて、椅子へと向かった。
あれ?お付きのメイドさん達、なんで動かないの?
普通、主人が椅子に座ろうとする時、仕える者は椅子を引き、座り易い様に補助するものだけど、彼女達は後ろに控えるだけでいっこうに動こうとしない。
しかも、ファルシア姫も当たり前の様に、自分で椅子を引こうとしている。
仮にも一国の姫様が自分で椅子を動かすなんて普通はありえないのだ。
僕は、慌ててファルシア姫様の後ろに回り込み、椅子を引こうとしたが、その前にカーナがスーっと後ろに付き、姫様が座る椅子を引いてくれた。
ナイス!! カーナ!! 今度カーナに何かプレゼントしてあげよう。
僕が心の中で感謝すると、何故かカーナが僕の方を見て顔を赤くしている。
まさかカーナも心が読めるのか?不思議だ。
カーナがエスコートした事に、ファルシア姫様は一瞬驚いた顔をしていた。
「ありがとう。」
姫様は椅子に越しかけると、本当に嬉しそうにカーナに感謝の言葉を掛けていた。
これには、さすがのカーナもびっくりしたのか、恐縮しながらリーシェンのいるところまで後退した。
「レンティエンス様もお掛け下さい。」
姫様から、同席のお許しをいただいたので、向かいの席に座る。
もちろん、リーシェンがエスコートしてくれている。
それから、姫様お付きのメイド達によって、お菓子とお茶がテキパキと用意さる。
その間、僕と姫様はテーブルに置かれていくお菓子やお茶のポットを眺めるだけでどちらも話さなかった。
と云うより、姫様の緊張感がこちらにも波及してきて、僕まで物凄く緊張してしまったからだ。
「あ、あのー、ファルシア姫様、お聞きしても宜しいでしょうか?」
この緊張状態から脱出する為に。僕は思いきって言葉を発する事にした。
「は! はい!! 何でしょうか! 何なりとお聞き下さい!!」
いや、そんなに身構えなくても大丈夫ですから。
「先ほど、お妃様が言っておられたと思うのですけど、私の事を前からご存知だったのですか?」
「え?・・・・・・・・・・」
何故か沈黙が続く。
姫様は、さっきまでの恥ずかしさとかそんなんじゃない、何か別の事で動揺している様に思えた。
「あのう、ですね? その~ですね。」
うん、やっぱり僕を知っていたと云うより会った事があったみたいだ?
でも、僕には全然覚えがない、やはり赤ん坊の頃か?
「どこかでお会いしているのですね? それは僕がまだ赤ん坊の頃なのでしょうか?、お聞きして駄目でしょうか?」
僕が身長差で仕方ないのだけど、下から上目線で姫様にお願いしてみた。
『レン様! その自然な自分の意図していない、可愛さアピールは卑怯です!』
何か、リーシェンが小声で叫んだ気がしたけど、構わず姫様にこの状態で押してみる。
「そ、そんな事はないです! はい! 私はレンティエンス様がお生まれになった時から知っております!」
ふむ、赤ん坊の時に会っているのか。
それじゃあ判らないわけだ。
「その後も度々、ブロスフォード家を訪れましてレンティエンス様の事を見ておりました。」
へー、僕が赤ん坊の頃は結構来ておられたんだ。
僕の記憶が無いところを考えると、2才くらいまでは来ていただいていたのかな?
「ファルシア姫様、この数年は修業の期間を除けば、我が家には来てはおられないように思うのですがどうかされたのですか?」
「え? 最近もレンティエンス様のお家に遊びにこさせていただいてますよ?」
フム、フム。最近も来られてたんだ。
じゃあ、結構顔見知りだったんだ。
・・・・・・・・・・・・・
「って! ちょっと姫様!?」
「え? はい?」
「最近っていつの話です?!」
「え?最近って・・・あ?! いや!あの! さ、最近っていうのはですね、そのです、あれです!」
「どれです?」
「あうう~」
僕は、姫様にゆっくりとお話しを聞くことにいたしました。
「リーシェン! カーナ!」
「「ハ、ハイ!!」」
「君達にも色々聞かせて貰うからね?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
やっぱり知っていましたか。
僕は、姫様と、姫様の後ろに二人を立たせて、もう一度ゆっくりと思いで話を聞くことにした。
読んでいただき有り難うございます。




