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僕の加護神対応は最強らしいので秘密にします。~僕は女の子じゃないから~   作者: ユウヒ シンジ
第3章 旅、エルフの里へ
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旅、エルフの里へ 17

投稿いたします。

読んでみてください。

さて、僕は今回の件で、あなたたちを野放しにする気は無くなりました。

カーナとフル姉への辱めは、僕にとっては到底許せる範疇を逸脱していますからね。

それ以前にもシアに対しての策略の事もあるからね、もう見逃してあげるつもりはないから。


真っ直ぐにジルデバル辺境伯を見つめる。

蛇に睨まれた蛙のように身動きを一切しない。

代わりに、ゴルード伯爵が僕に説明を求めてきた。


「一体、どの様な用向きであればこのような暴挙に出られるのか説明はしていただけるのでしょうな!?」


何か、から、と云うより僕の視線から耐えるようにして僕を睨み返し必死に対抗しようとしている。

案外、このゴルード伯爵、ジルデバル辺境伯より胆力があるのかもしれないな。


「それを説明しよとしましたが、こちらの屋敷を警護をする騎士の方が聞いて下さらないので、仕方なく。」


僕はわざとらしく肩をすぼめポーズを取ると、いっそう不快な表情に変わった。

それを無視して、僕は手に持っている丸められた一枚の紙を二人の前に翳した。


「それは?」


ゴルード伯爵が僕の手にある物に気がついたようだ。


「これがその暴挙の理由ですよ。」

「勅令!」


僕の声でジルデバル辺境伯は意識を戻し、ゴルード伯爵は身構える。


「「勅令、だ、と?!」」


ジルデバル辺境伯が小さく僕に聞こえるかどうかの小さい声で呟いていた。

しっかり僕は聞いていますよ。


「どうしました? 勅令ですよ? 傅きなさい!」

「「は、はあ!!」」


勅令は、王の言葉、王が直々に命令する事。

それを掲げられた相手は、王を前にしているのと同じなのだ。

僕の手に勅令と王の印がある書類は、王そのものであり、何人もその令に従う必要があるのだ。

実際は国王はあまりこういう命令とかするのが苦手らしく、こういう時は王妃が代わりに手配するらしい。

それって実質この国は王妃が管理していると言うことになるのか?

国王様もう少し頑張りましょう?


それはさておいて、僕の前に跪く二人に国王からの命令書を開き読みはじめる。


「グライス・ジルデバル辺境伯に告げる貴殿は、フォレスタール王国国王、ディルエ・ラル・フォレスタールの名代としてスバイメル帝国へ赴き、第二皇子を騙った犯罪者を引き渡す役目と王国への賠償等に関する協議の代表をまかせる。」

「ば、馬鹿な!! 王妃は、いや、国王陛下は何をお考えなのですか!?」


ゴールド伯爵が怒鳴り散らす横で、スバイメル辺境伯は、うなだれたまま動こうとしない。

さすがに事の重要さが判ったのだろう。


「これは勅令です。断る事は許されません。それとも職務を真っ当出来ない御事情でもお有りなのですか? それでしたら僕が、王家にお伝えしますけどいかがなさいますか?」


スバイメル辺境伯に問うが、返答が帰って来ない。


「レンティエンス殿はこの事をお判りの上で伝えておられるのか?」


ゴールド伯が恨めしそうに聞いてくるけど、僕としては答える義務はないのだけど。


「別に僕が知っていようがなんて関係ありません。僕はこの勅令を名代として伝えに来たまでですから。」


そう言って突き放すつもりだったが、そこへジルデバル辺境伯が僕を睨みつけているのに気づいた。


「その様なシラをきられるおつもりか。全ては貴方の母上のさしがねなのだろう?」


静かな声で僕に問い掛けて来るジルデバル辺境伯。


「いいえ、強いて言えば、僕のさしがねでしょうか?」


僕は少し口の端を上げ彼を威圧した。


「僕は貴方のせいで、大切な人を傷付ける事になってしまって本当に怒ってるんです。証拠ですか? 確かにジルデバル卿が直接手を下した事は一度も無いのでしょう? ですから証拠となる決めてが有るかと言われれば有りません。だからと言って見逃すほど僕は甘くはありませんよ? ですので、貴方にスバイメル帝国に行っていただく事をちょっと、母様に進言させてもらったのです。」


そうとう驚いているようです。

見た目は、自分で言いたくありませんが、リーシェンやカーナ曰く天使の様な美しさを持つ男の子らしいのですが、そんな子供が、考える事ではないのでしょう。


「それと、アヒム殿下を騙った犯罪者と一緒に、この方々も届けて欲しいのです。」


そう言って僕は、ジルデバル達と僕との間に魔術による紋章を起動させた。

その紋章は徐々に強く光だし、円筒形の光の筒を作り出しその中に人影を映し出した。

やがて光の幕が消えた後には、縄や鎖で縛られ、口も布で覆われた一人の男性が現れた。


「な、なんだこれは!? 貴様何をした!」


ジルデバル卿が青い顔をして驚いている。

まあ、こんな魔術式見たこと無いだろうね。

だってこれ水の上位精霊のアクレリアから教えてもらった転移術だからね。

あ、アクレリアは僕が名付けてあげたんだけど、物凄く気に入ってもらってその時色々教えてもらった内の一つで精霊術みたい。

二人にとっては急に男が現れたので信じられなかったようだ。


「あまり深く考えたらおかしくなりますよ? それよりこの男ですが、国境近くのレンダールの街にあるジルデバル卿の私邸で、不信に出入りしていましたので、失礼とは思いましたが、僕が捕らえさせてもらいました。」

「き、貴様! わしの私邸に無断で侵入したのか!?」

「いえ、不審者を捕らえる為にやむなくです。これは現地の警備隊の方に確認してもらえればわかります。」

「そ、それで、その男は何なんだ?」

「この男、調べましたらなんとスバイメル帝国の密偵で、我が国周辺を色々嗅ぎ回っていたり、内通者との情報交換をしていたようですよ? ただですねこの男を捕らえる時に、僕の知り合いが被害にあいまして、かなりの屈辱を負わされましたので、僕が少し罰を与えた結果このような姿になってしまいました。僕もつい大事な人をイジメられたのでムキになってしまい反省するところです。」


少し、はにかむ様に笑うと、ジルデバル卿とゴルード伯爵は引きつったような顔をしていた。

まあ、顔が晴れ上がり、元がどんなふうだったかも判らない様になっていれば引き攣るのかもね。


「で、申し訳ないのですが、尋問も全て終わりましたのでこの男も一緒にスバイメル帝国に引き渡してもらえればと思いまして。」

「ふざけているのか?」

「いえ、さすがにスバイメル帝国の者を勝手に処刑にするわけにも出来ませんので、お願いできませんか?」


僕がお願いすると、ジルデバル卿の身体がワナワナと震え出しは始めた。


「き、貴様! わざとだろ! 今、スバイメル帝国にアヒム殿下を連れて向かえば、わしがどうなるか判って言っているのだろう?!」

「さて、なんの事でしょうか? それにアヒム殿下ではなくて、その偽物ですよ? お間違いなく。」


僕がわざとらしく注意すると、二人は僕を睨みつけていた。

それはそうだろう。

もし、ジルデバル卿がアヒム殿下(偽物?)を連れて赴けば、直ぐその場で処刑されるでしょうね。

スバイメル帝国と繋がりがあり、魔工師の奴隷化しスバイメルへ提供する黒幕であったが、その事がばれそうになった時、そのアヒム殿下(偽物?)を捨てて逃げてしまった事は、帝国にとっては信用していた人間に裏切られたと思うでしょうね。

もし、この勅令を受けないと断れば、それは王の命令に従う事が出来ない程の体調面での不安があるとかそう云う重大な事が家に有ると云うこと示し、それはつまり現役貴族として表舞台から退く事を意味している。


「ふん、どちらに転んでもわしの命運はここまでと言うことか。」


ジルデバル卿は肩を落とし身体から力が抜けていくのがわかるほど気落ちしていた。


「レンティエンス殿、宜しいか?」

「はい、何でしょう?」

「この勅令、わしは体調を崩し、その激務に耐えられそうにないので、丁重にお断りを申し上げる。合わせて、わしの引退と当主変更を願いたいのだが、国王にお伝え下さらないか?」

「はい。確かに承りました。長年お疲れ様でした。」

「わざとらしいな。」


ジルデバル卿が呟いた。


「貴様、一体何物なんだ? そもそも人なのか? その容姿が偽りなものと思えてしまう程恐怖を感じるが、どうなのだ?」


失敬な、今のところは人間のようだと思います。

でも、それを答える事は出来ないだろう。

読んでいただいてありがとうございます。

また読みに来て下さいね。

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