出合い
「じゃあ俺帰るわ」
そう言うと仕事が残ってるらしいジェラルドさんは帰っていった。
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此処では何だからと言うことで、現在応接室にて馴れないお茶会をしている。
ちなみに用意したのは執事のロイさんである。
「改めて言うけれども、実験でこの世界に来た貴方は私が責任を持って面倒をみるわ。だから好きに過ごして良いの。ただ屋敷を出る場合は私か護衛を付ける。それだけ覚えてて欲しいの」
真剣な瞳でマリーさんがおもむろに話始めた。見つめられて思わず私はドキッとしてしまった。
「そして帰りたくなったら何時でも言って欲しいわ。準備はするから」
少し申し訳なさそうな顔で私に言った。
異世界にいるのだと痛感する。
漫画の様だけれども現実。
でも私は決めた。
家に帰っても誰もいないし、帰れると思うのならば異世界で楽しんでみたい。
だから私は笑顔で答えた。
「驚きましたけど、期間限定だと思えば何だか楽しみなんです。改めて私高橋ゆかりです。宜しくお願いします」
「ありがとう」と優しい微笑みを返された私はなんだかやっていけそうな気がした。
私はふとバイト終わりに貰ったあんみつを思い出した。
「あのっ!これ私の世界の食べ物なんですけど食べませか?」
マリーさんは不思議な顔をしてから楽しそうな顔をして喜んで頷いてくれた。
透明な四角いのが寒天で、ピンクのが求肥で、黒いのがこし餡で……これに黒蜜を掛けて…とあんみつの説明をしていく。
相変わらず不思議な顔をしながら美味しそうに食べていく。
異世界でも和菓子が通じるのに驚いた。
食べながら私の世界についてだったり、異世界ついてだったりの話をして楽しいお茶会を過ごして、ちょっぴりマリーさんと仲良く馴れた気がして私は嬉しかった。