恋人のカード
放課後、夕陽の差し込む教室の中。僕は彼女に、タロットカードで占いをしてもらっていた。
そんなに占いは好きではないんだが…彼女が占い好きで、他の生徒からもしょっちゅう占ってくれるようせがまれているのを見ると、なんとなく、物珍しさで頼んでみたくなる。
熱心にカードを繰っている彼女に、話しかけてみた。
「占いってさ…こう、バーナム効果とか?占い師が有名な人だからとか?そういうのが絡んでくるから当たってると思い込めるんじゃないの?」
集中しているところに話しかけられ、気に障ったのか、彼女はぶすっとして返答する。
「ちょっと、まじめに受けてよね。そんな態度じゃカードに嫌われるよ?それに、そんな杓子定規な感じで占いを差別しないでほしいわね。私だって好きであなたの未来なんて占っているわけじゃないんだから…」
カードを並べ終え、真剣な顔に戻る彼女。僕は黙ってそれを見守ることにした。
「そうね…人間関係は良好なようだし、これを機に新しいこと初めてみたらどうかしらって。周囲に助けられてうまくいくかもよ?それに、あなた近々恋人に恵まれるらしいわよ。よかったじゃない」
彼女はふむふむと、カードを読んでいきながら僕の未来を告げる。
「…そうか、それはよかった。喜ばしい結果だよ」
占いの結果を聞きながら、僕の鼓動が高まっているのを感じた。
占いが終わって彼女に礼を述べながら、ふと僕は、この時がその時なのではないか、と思っていた。
「ずっと前から思ってたんだけど…」
僕はおずおずと切り出した。
「僕の専属占い師にでもなってくれないかな…」
一瞬ぽかんとした彼女。
「は?何それ。それって、私に好きって言ってるってこと?」
「…そういうことになるけど、問題あった?」
質問に質問で返してはいけないと、いつか誰かに言われた気がするが、そんなこと構わない。僕は素直なところを話したまでだ。
彼女はとっさに後ろを向いて、僕から表情を隠すような仕草をした。それでも、彼女の髪をかけた耳が真っ赤に染まっているのが見えた。
「いいわよ、今度は超辛口で占ってやるんだから」
彼女は、晴れやかにそう言って破顔した。




