一番大変そうな大地の天使。
時は精霊暦128年。
人間族、妖魔族、亜人族がまだ共存している時代。
人間族は知力と想像力に優れ、石材による建築物や、マナを利用した灯りなどの開発に成功した。
これにより町、と呼ばれる集合住宅地帯が生まれた。
妖魔族は頑強な体に優れ、荒野の開拓や水路の整備に大きく貢献した。
また、強大なエネルギーであるマナに唯一生身で耐えれる存在であり、マナを原力とした道具、魔導具の開発や、特性を解明するにも不可欠な存在だった。
亜人族は信仰心が一際高かった。
それは精霊との対話を容易にし、自然に愛された。
天候や土地の特色を素早く理解し、その土地に適した食物を見分けたり、自然災害を回避できる土地に街を構えたりと、亜人族の意見は何かを成す為には必要不可欠となっていた。
しかし、互いに手を取り合う生活は長くは続かなかった。
妖魔族は言った。
「もっと町を大きくしよう。野生の動物を飼育しよう。もっと豊かな生活を目指そう。」
人間族は言った。
「汝求むなかれ、だ。今の生活で充分じゃないか。この生活を守るだけで、我々は生きていける。」
亜人族は言った。
「我々に必要なものは全て自然が与えてくれる。これ以上欲をかいてはいけないよ。」
だが妖魔族の主張はもっともだった。
他族より大きな力を扱う妖魔族には、身体の小さな人間族や、自然エネルギーだけでも生きていける亜人族よりも多くの食糧が必要だった。
分け与えるのなら尚更だ。
「ならば我ら妖魔族はこの地を去る。北の大地に我らの新たな居住を構えることとする。」
こうして妖魔族は人間族の地を去った。
残された人間族と亜人族の生活も長くは続かなかった。
長寿を持ち、精霊に愛される亜人族に対し、人間族が劣等感を持つようになったからだ。
信仰心の高い亜人族は、これが憎しみの種であることを見破り、一夜の内に西の大樹海へと姿を消した。
こうして人間族、亜人族、妖魔族の住処が分かれることなった。
この時、妖魔族に領地の拡大を、
亜人族に人間族の劣等感を申告したものが、茶色の髪を持つ乙女、地母神アマルガムの使いアマルーラであったと記録には残されている。
テキトーに舞台完成。