テキトーに天使でもだしとくか。
テキトーにガンガン行きます。
乙女の名はオルフェンティアラ。
天空神オルフェンティヌスが、地上に遣わした天の使い。
ーー天使であった。
大地と、天空と、大海と、大小様々な命。
それを見守り、時に導くのが、天使、ティアラの使命である。
とは言え、芽吹いたばかりの命には、導きに従うだけの知性はまだなく。
ティアラは、天候を操ることで、生命の進化を手助けをしていた。
もっとも天に近き山ーーのちに霊峰オルフと呼ばれるーーその山頂に居を構え、どれだけの時が流れたか。
遥か眼下に広がる広大な樹海に、時折自然火災とは異なる煙が上がるようになった。
火を、覚えたのか。
ティアラは確かな充実感を感じていた。
自分が作り出したわけではないこの世界だが、やはりずっと側にいれば愛着も湧く。
愛しい者の成長を喜ばぬものなどいないのだ。
更に月日は流れる。
神達に模された人間は、よりその恩恵が濃いものへと姿を近付けた。
すなわち地母神の恩恵を濃く受けたものは、人間族と呼ばれるものに。
天空神の恩恵を濃く受けたものは、亜人族と呼ばれるものに。
大海神の恩恵を濃く受けたものは、妖魔族と呼ばれるものに姿を変えていった。
信仰、性質、趣向。
加護、適応、必要性。
その他様々な要因が、進化の方向を変えたのだ。
その姿は多岐に渡り、世界が如何なる試練を与えようとも、対応できるだけの受け皿となるだろう。
ティアラは、神に遣わされてから初めて、その、顔に笑みを浮かべた。
「天空神オルフェンティヌスが娘、オルフェンティアラとは其方に相違ないだろうか。」
ティアラは空を見上げた。
その顔には、驚愕も、恐れもない。
所詮この世は神の手の上。
そして神の考えなど、天使であるティアラには到底及びもつかない。
この者が此処にいる事も、必然なのだ。
「いかにも・・・。ああ、其方が噂に聞く、叡智を携えし古のドラゴン。
マナあるところに奇跡の術を授けるという。」
「流石は神の使い。話が早い。悠久の時を過ごした其方がいるこの土地が、もっともマナが集う場所。
この山の麓を我が住処にしたい。龍脈を張り巡らし、精霊の力を具現化するために。
さすればこの世界に、精霊術なるものが現れよう。」
過ぎたる力は身を滅ぼす。
だが力なくては守る事は出来ない。
「良いだろう。精霊術の恩恵。喜んで御受けする。」
要はいかに使うか、なのだ。
世界の主流となる三種族と精霊の出現。
これが精霊暦元年となる。