準備した
強面男子にウサ耳はえたお\(^o^)/
おいおいおいおい!何してくれんだよ異世界の神ぃぃぃ!!!!
消える系じゃなくて生える系アイテム!?
装着じゃなくて生えてるよな!?
ぐぐっと引っ張る。
「いってぇぇぇっ!!!」
死ぬほどいたい。
よく見ると人間の耳がなくなってる。
なんだこれ、すげぇ違和感。
事件後の耳なし芳一かよ。
鏡の中では只でさえ深い眉間の皺がくっきりと刻まれている。
もう外でしらす食べながらお前ら全員皆殺しだぜ…くっくっく。
って言ったら確実に逮捕される我ながらひどい顔だ。
そしてその頭の上で揺れるウサギ耳。
…誰得だよ!!!!
何だよこのアンバランスさ!
はぁ~
とりあえず外の様子を見てみよう。
そうだ、外の人間の頭に耳が生えてるなら俺はそれほど浮かないはず。
ドアをあけて部屋を出る。
そこは外…ではなく店舗?
ここで店を開けってことか?
そんなすげぇ技持ってねぇよ。
あ、そういや阿形さんちのゆり姉は、お菓子作りが得意だって聞いたことあるわ。
…はぁ~やるせねぇ…
溜め息をついたまま店舗の大きなガラス越しに通行人を見る。
思いの外人通りが激しい。
おっ?猫耳娘!あっちは狸か?
角も生えてへぇ~何でもありだな。
あーよかった。俺はマジでほっとした。
周りがこれならそこまで浮くこともないだろう。
歩いている人の顔も普通だ。
いや、結構かわいい子多い…頭にケモ耳生やしていても違和感無いくらいには可愛い。
なんだこれパラダイスか?!
俄然、外が気になりだし、俺は部屋に戻るとクローゼットをあけてみた。
ずらりと並ぶドレス。
…だから、神!!間違えてるのバレバレなんだよ!!!
コート類の中から大きなフードのついた黒い短めマントのようなものを見つける。
これってマントじゃなくてポンチョだったか?
とりあえず裾に小さな花の飾りがあったのをぶちりと手で引きちぎり目深に被る。
まずは顔を隠そう。
おそらく悪人顔は異世界でも悪人顔なはず。今はそれにウサギ耳がプラスされて…ダメだ人様には見せられない酷さだ。
フードを被ると耳が折れ、ちょっと聞き取りずらくなる。シルエットは
ぱっと見、猫っぽい。
っていうかこれ猫耳フードだったのか。ウサギ耳渡しときながら猫耳フードとか意味が解らねぇ。
そうだ、金も一応持っていこう。
ドア近くの壁にかけてある花の形のポーチの中を見る。
これまた小さな花の形の財布と鍵とハンカチ(もちろん花柄)にはコイン。
これを俺が持ってたら確実に強奪したと思われるよな…。
うん?タグの裏に名前が書いてある。
2本の線で消された文字の上に竹工 力也。
俺の名前じゃん。
消された名前は阿形 百合。
お下がりかよ!!!
おいこらそのこのへっぽこ神ぃ!
やっつけ仕事が過ぎるだろ!!!
そこは消しとけよ。出来るだろそれくらい。
つうか…嫌がらせか!?
出かける前からすっげぇ嫌な気分だよ…
フードよし、マントよし…ポーチよし。
よし、外出してみよう。
マントを確認している途中に尻尾に気づいてしまったが…もう触れないでおこう。
夢オチってこともあるかならな。
そして俺は異世界への第一歩を踏みだした。