表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
界遊記  作者: かえで
新たなる世界

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

219/253

パクマンの訃報!?

 青天の霹靂とはこういう状態を指すのか。

 死神に嫌われた男と名高いあの男が、まさか死に至るとは。

 退役間近とはいえ、ファミス国始まって以来の天才パイロットとして名高いパクマン。

 確かに、個々の身体能力や戦闘能力では、ファルガ達には大幅に劣るかもしれない。

 だが、逃げ出したくなるほどの厳しい指導と、打ち明けられた弟子の悩みにはとことん向き合う面倒見の良さが並び立つ故か、砂漠のほとりに設営された『基地』(ホーム)の初代司令官として、大勢の弟子たちから鬼教官が推挙された。弟子の中には、彼以上に昇進した者もいるが、そのような軍の幹部ですら、彼を師と仰ぎ続ける者も多い。

 彼は、それに応える形で『基地』(ホーム)に赴任し、更に多くの部下を指導、何人ものエース機鎧乗りを育ててきた実績は伊達ではない。砂漠の『基地』(ホーム)が、機鎧学校・パクマン道場という名で呼ばれているのも頷ける。

 そして、機鎧の操縦技術は今も健在で、模擬戦とはいえ、天才ギューが操る機鎧とほぼ互角の戦闘を演じ、実質ギューのスタミナ切れを起こさせた。

 更にファルガとの模擬戦でも、その実力はいかんなく発揮された。

 相手が神勇者だったから。

 相手が超神剣の装備だったから。

 パクマンの攻撃はファルガに通じず、機鎧パスティックの兵装は超神剣の装備に通じなかった。

 だが。

 パクマンが神勇者の能力を持ちえていたら……。

 パクマンが超神剣の装備を扱う事が出来たなら……。

 結果は全く違ったはずだ。

 第三者から見ての模擬戦の結果は、ファルガの圧勝だった。

 パクマン機のハンドガンの模擬弾も模擬剣の斬撃も、ファルガには当たらず、防がれた。

 それは模擬戦だったからであり、パクマンがデイガ界元の一機鎧乗りであったからであり、ファルガがドイム界元の神勇者だったからだ。

 条件が違えば、という仮定は全くの無意味ではあるが、その無意味を度外視しての検証をした場合、結果は間違いなく異なったものになったことは想像に難くない。

 それほどに、パクマンの腕は卓越しており、機鎧部隊の他の精鋭の追随を許さないのが現状だった。

 ファルガは通信機に向かって吼えた。

「場所は? 相手は? 被害状況は? パクマンさんの容態は?」

 矢継ぎ早に質問を投げ掛けたファルガではあったが、その答えが返る前に、移動を開始する。

 戦闘の『氣』は全く感じない。

 もし近くで激しい戦闘が起こっているならば、生命エネルギーである『氣』が、殺意を孕んだ攻撃的な波動となって、周囲に何かしらの影響を及ぼしているはずだ。生命力の落ちた人間や、そもそも抵抗力のない人間ならば、その『氣』に当てられただけで気を失ってしまう事すらあるという。

 だが、ファルガが探した空間に、そのような強力な殺意は感じられなかった。

 しかし、現実問題としてパクマンの機鎧が撃墜されたとなれば、相手はドメラガの機鎧か、赤黒い輝きを持つ神闘者しかいないだろう。

 いずれにせよ、通信機からの回答を待って動き出したのでは遅すぎる。

 事態は一刻の猶予もない。

 ファルガは全力の≪天空翔≫で、来た道を戻り始めた。彼にとってはもはや、ドメラガ消滅の情報収集については二の次になっていた。


 ファルガが降り立ったのは、ドメラガ領に進入して最初に発見したクレーターから数十メートル離れた場所だった。

 彼の眼前には、記憶に新しい物体が落ちていた。だが、ファルガが先日この地に降り立った時にはなかったものだ。

 ファルガの身長の三倍はありそうな、赤いドーム状の物体。

 その真ん中には穴が穿たれ、光を失った直径一メートルほどの巨大なカメラのカバーがある。そして、そのカバーの中には、無数のレンズが。

 この細かい無数のレンズこそが、カメラの肝なのだろう。そのレンズの集合体は、水平に穿たれた穴を忙しなく上下左右に動き、周囲の状況を記録して、中のパイロットに映像として伝える。上下左右を全方位モニタで囲われているコクピットにおいて、このカメラだけで周囲全ての画像情報を撮りきることは不可能だ。だが、格闘戦においては距離感が大切である以上、魚眼レンズでは対応できない。ボディにもカメラは複数ついていた筈ではある。

 いくら機鎧の機構に疎いファルガでも、それくらいはわかる。

 そして。

 これは、間違いなくファミス国の機鎧の頭部だ。周囲にボディの破片が殆どないところを見ると、爆散したという考えに至るのも至極自然の流れだといえる。

 そして、このカラーリングはパクマン機のもの。

 ……撃墜され、爆散したのだ。

 数日前にファルガと互角の戦いを演じていたパクマン機が。

 ファルガは膝から崩れ落ちるように蹲った。

 ファルガには、光が失われたパクマン機の頭部が、絶命して眼窩が落ち窪んでしまった人間の頭部に思えて仕方なかった。


「ファルガさん……、ですよね?」

 背後から声を掛けられたファルガは涙を拭き、立ち上がると振り返った。

 そこには、若い男が二人立っていた。

「……そうですが……。災害救助隊の方ですか?」

「はい。我々は、この爆発の被害にあわれた方の捜索をしているのですが……。

 酷いものです。ここまで完膚なきまでに破壊し尽くされているのを見ると、生存者が絶望的に思えてしまいます」

 白い肌の青年はそう言うと、目を伏せた。

 ファミス国軍の正装である、ファミス国の国旗に描かれた鷲のエンブレムが額に施されたハンチング、白が基調となりすぎて凡そ戦場には不釣り合いな軍服、そして、肩から掛ける自動小銃などの装備からするに、ファミス国の兵士のようだが、その面構えからは若干の幼さも垣間見える。新兵なのだろうか。

 一人は青い眼をした白い肌の人物、もう一人は黒い眼で褐色の肌をしていた。

 彼らはたまたまこの方角の哨戒任務に当たっていたが、他方角にもいくつかのグループが、各方位哨戒作業に当たっているとのこと。

 どうやら、災害救助隊の本部はこのクレーターから数キロ離れたところに設営されたらしく、そこにファミス国の災害救助隊の本体がいるらしかった。

 ファミス国軍に発信したファルガだったが、応援として出立したとされる災害救助隊は、もっと多国籍の連合軍的な集団を想像していた。ところが、今話を聞いた限りでは、災害救助隊はほぼファミス国軍だけで構成されているような印象だ。

 ファルガは思う。

 あの時の国家連携のような、全世界を巻き込んだ連合国軍が組織できれば、また違う展開もあったのではないだろうか。

(まさか、この界元のこの星には、ファミスとドメラガ以外の国家が存在しないなんてことはないだろうな……?)

 この界元を訪れて、体感的に約一か月。

 一向にファミス国の内情と、崩壊し無人となったと思われるドメラガ国以外の国勢が全く聞こえてこないのは非常に不気味に思えた。

「災害救助隊長より、本部への招聘の指示が出ております。

 ファルガさん、ご同行願います」

 疲弊し、やつれた彼らの表情から見て取れるのは、この惨状によって少なからず精神的なダメージを負っているということだった。それ故、彼らはそのダメージを素直に出し過ぎているように思われた。恐らく、隊長からの命令を、言葉通りの意味合いの指示としてしか受け取っていないのだろう。

「……わかりました」

 そう言った後、ややあってファルガはパクマン機の撃墜された時の状況を知りたいと思い、二人の若い兵士に尋ねた。

 だが、彼らは何も知らないようだった。調査が進んでいないのか、はたまたファミス国が情報の流出を恐れて布いた箝口令の為なのか。

 微妙な空気を孕みつつ、蒼い甲冑を着た戦士と、近代兵器に身を固めた兵士とで構成される不思議な集団が、ゆっくりと歩みを進めはじめた。


 災害救助隊の本部は、乱立する簡易テントの集合体で構成されていた。

 周囲を埋め尽くす深緑色の幌は、風に煽られて引き千切られ、今にも飛んでいくのではないか、と見ている人間が不安に思う程に音を立てて翻めき、動物も植物もいなくなったこの地の環境の過酷さを高らかに、しかし物悲しげに歌い上げる。

 ドメラガはもともと雨の少ない乾燥地帯であり、緑地などは殆ど存在しない土地だったようだ。それ故、それを食物にする動物も数は少なく、頂点捕食者は皆無だったとされる。唯一存在したとすれば、圧倒的な移動能力を持った猛禽類くらいだろう。別の地の上空から現れ、その土地での最強の捕食者を気取るが、実はよそ者という感じだ。

 そういう意味では、人命救助という志を持ってこの地に集結した災害救助隊も、所詮はよそ者。この環境には不適切な存在なのかもしれないという不安が、朧げに浮かんでは消える。何しろ、命の痕跡は愚か、文明の痕跡すら消し飛ばされてしまっているからだ。

 しかし、動植物ですら進んで生活を営もうとはしない地ではあったが、決して枯れた土地であったとはいえないようだ。

 数十年に一度規模で発生する雨季では、その膨大な降水量により、渓谷を流れる河川が氾濫し、周囲の土地を水浸しにする。しかし、この洪水の莫大なエネルギーによって上流から運ばれてきた肥沃な土砂が、周囲の土地に拡散することになる。

 その為、洪水の直後から長くて十数年の間は様々な草木が芽吹くが、その後の気象状態としては、数十年降雨がないことも珍しくないため、最終的に全ての動植物が死に絶える結果となってしまうらしかった。土壌には養分はあるのだが、水分が不足しているのだ。

 そんなドメラガ地方に人間が流入したのは、たまたまだった。

 文明レベルが低い時には、人が住めない土地として言い伝えられてきたドメラガ地方だったが、閉鎖的だったとはいえ、ある程度の文明レベルに到達したドメラガの民は、水を作り出す方法を携えて、荒涼としたこの地を訪れた。彼らはそこで住居を構え、デモガメと名づけた。

 居住の環境は劣悪であったとしても、その環境に対する対抗手段さえ確立しておけば、外敵に襲われる心配はなかった。所謂、外敵という存在が近寄れないという特殊な場所だったといえる。

 ドメラガの人々が作り出した殆どの建造物は、大地を穿つクレーターを生じさせた大規模な爆発によって崩壊してしまっていた。しかしながら災害救助隊の本部は、爆心地からはかなりの距離があるため、ほんの僅かながら、デモガメの都市の面影を残している箇所も見られた。

 恐らくドメラガ国は、その卓越した技術により、乱立するビルディングと、それを地下で結ぶ地下道網を発展させることで、人々の猛暑を凌ぐ手助けをしていたに違いない。そして、乾燥したこの地で、独自の文化を築き上げたのだろう。

 一度始まってしまえば、どの程度継続するかわからない乾季と雨季により、ドメラガ領の境界となる渓谷には大量の水が流れたこともあったという。

 それでも、ドメラガ領のデモガメという都市は、そういった自然環境に負けない都市づくりを行なっていた。

 その都市づくりの根幹を支えるのは、排水技術であり、固い地盤に根差した高層の建造物の建築技術であり、それを使いこなす人々のあくなき探求心の賜物であったといっていい。

 だが。

 それらはすべて消滅した。

 ファルガが出会った超妖魔・エビスード。

 かの存在は、自身を神皇に最も近い存在と喧伝する。

 そして、その力によって、自身を討とうとする何者かを排除し続けた。

 恐らくドメラガ消滅は、エビスードの活動の目的ではなく、副産物だったはずだ。

 そこでふと疑問に思う。

 ドメラガは、一体何をして、そこまでエビスードを怒らせたのか。

 そう考えた時、一つのアイデアが浮かぶ。

 エビスードが攻撃した対象はドメラガではなく、全く別の何かだったのではないか。

 結果ドメラガは消滅してしまったが、エビスードは何者からかの攻撃を受け、反撃した結果だったのではないか。

 ファルガは、何となくそう感じた。

 そんなことを考えながら、二人の兵士の後についていくファルガは、いつの間にか周囲のものより一回り大きいテントの前にいた。

 テントの中へ入る事を促され、甲冑を身に着けたままでよいのか尋ねようとしたが、今更外すのも時間がかかる。

 こういう時に、超神剣の脱着が容易だとよいな、と思い描いたファルガだったが、次の瞬間光に包まれた超神剣の装備は、四つの流星となり上空に飛び去った。

 こういう機能もあるのか、と驚くファルガだったが、それについては後ろにいた兵士二人も驚いていたようだ。ファルガがテントの中に入り、姿が見えなくなるまで、その驚愕の表情が消えることはなかった。


「ファルガ君。今回のドメラガ潜入の任務、ご苦労だった。

 敵国であるドメラガの一都市であるデモガメの消滅は、想定外の事態だった。

 同時に、膠着状態になっている戦況を打開するのにはよい機会になる」

 足を踏み入れる時に見た、他のテントより大きいテントの内部は、思いの外普通だった。

 薔薇城で見た謁見の間のような仰々しい装飾もなければ、ただパイプ椅子が並ぶだけの質素な運動会の受付とも異なり、簡易ではあるがデスクが準備された最低限の本部。

 背の縮まった老人が、背後に参謀を控えさせた状態で椅子に腰かけている。言葉を発していなければ、眠っているのではないかと思われる程の高齢者にも思えたが、その先入観を払拭する眼光。司令官の席に座る前の彼が、歴戦の戦士だったからだろうか。

 この男が災害救助隊の司令官なのだろう。

 その小さい老人の発した言葉の意図を、ファルガは測りかねていた。

「実戦はもう六十年近く行われていないと聞きます。

 これを機に一気に攻め込むつもりですか? それとも、このまま和平交渉に移行するつもりですか?」

 完全に部外者であるファルガの口振りに、宰相が何かを言いかけたが、司令官は右手を上げそれを制する。

「恐らく、ドメラガとの最後の戦闘を行なった世代が、私の年代だろう。

 我々の代以降は、ドメラガとの交戦はない。

 ……既に我々も疲弊している。これ以上の戦争状態の継続は、国家の損失だ。

 今回、君の要請を受け、我が国から災害救助隊を出したのは、この救助活動を和平の第一歩とするためだ。

 戦争状態というのは、実際の戦闘が行われていない状態であっても、国力を消耗させるものなのだ。常時、攻撃された時の事を考えて様々な項目を設定しなければならず、それが杞憂であった時も、必ず費用は掛かっている。

 金だけではない。

 戦争が行われていないといっても、戦地に赴く兵は、それだけで死との隣り合わせの恐怖を常時抱えていなければならず、実際、それを解放する事もままならない。

 是非はあるだろうが、やはり戦争状態下の軍事演習と、それ以外の軍事演習では兵士たちの士気にも差が生まれ、長期的な視点で見れば兵士の疲弊に繋がる。

 恐らく、実戦の戦死者より訓練中の不慮の事故による死者の方が多いだろう。

 国家間のいざこざがなければ、そこまで軍備を整える必要はないはずなのだ」

 ファルガの表情が少し緩む。

 もし、ファミス国の司令官が、敵国とはいえこの混乱に乗じて一気に攻め込み、雌雄を決しようとするような人間だったならば、ファルガはファミス国に技術提供をするつもりはなくなっていただろう。

 鋭い眼光ではある。

 しかしこの司令官は好戦的なのではなく、むしろ厭戦的な大将なのだ。

「……ただ。今回の中規模都市デモガメの消滅が、果たしてどう転ぶか。

 もし、ドメラガ陣営が、中規模都市デモガメの消滅をファミスのせいだとして、軍事行動の継続という選択をする可能性も十分にありうるのだ。

 ファミス国首脳陣は、ドメラガ国首都メガンワーダの大統領に何度も接触を試みている。

 しかし、通信上でも使者による実際の会談計画の提案でも、リアクションがないのだ。

 受信はしているようなのだが」

 災害救助隊の司令官グパは、重く垂れ下がった瞼を見開き、ファルガに強い視線を投げ掛ける。

 それは、ファルガにある種の予想をさせた。

 その予想とは、ドメラガ国メガンワーダも、デモガメ同様消滅またはそれに類似する状況になっているのではないか、というものだった。

「俺にはよくわかりませんが、もし、敵国が消滅している場合、一体どのような状況になるのでしょうか?」

「正直、仮説は幾つかあるが、現時点ではドメラガの首都の消滅というデータは、推測にすぎないので、具体的にはまだドメラガ消滅の際の対応策というのは検討されていない」

 先の見通しが全く立たない、というマイナスの内容ではあるものの、短いタイミングではあるが司令官グパとのやり取りの中に、ファルガは真摯さを感じざるを得なかった。

「一つお聞きしたいのですが、やはりパクマン司令官の戦死という情報は本当なのですか?」

 もはや確定事項である筈なのに、未だに希望的観測を胸に、ひょっとしたら違う情報が得られるかもしれない。パクマンの現状について、災害救助隊司令官グパに尋ねるファルガは、正に藁にも縋る思いだったはずだ。

 やはり、ファルガにとっても、パクマンの死が意味する事が大きすぎた。彼にとって、パクマンの生き方は、一人の人間として尊敬に値するものだった。例え、戦士としてはファルガの方が強かろうとも。

 だが、グパの言葉はいい意味で、ファルガの予測を裏切ったものとなった。

「パクマンは生きておる。

 あの爆発の後、一度だけ目を開いたそうだ。だが、それ以降は全く反応が消失し、現在は予断を許さない状況が続いている」

 生きているのか。パクマンが。

 ファルガはいてもたってもいられなくなった。

 もし、意識が戻っていなくとも、身体が生命活動を続けているならば、ファルガにはどうにかする事が出来るだろう。

 ≪回癒≫。

 氣功術の回復術。

 本人の生命活動を氣の波動で強化する事により、治癒力を高める術。

 本当ならば、マナ術の≪修復≫と合わせて使いたいところではあるが、流石のファルガもまだマナ術と氣功術の併用はできなかった。

 ガガロの息子、ギュー=ドンならば、ひょっとすると≪修復≫の術がファルガよりうまく使えるかもしれない。だが、今それを選択に加えるのは難しい。

 それでも。

 もし、パクマンが命を取り留めたのならば、その命が再び失われる危機を未然に防ぐためにも、行ってファルガは≪回癒≫の術を施したかった。

「パクマンさんはどこに?」

 災害救助隊隊長兼司令官であるグパは、思わずため息をつくと、口を開く。

「この宿営地内の救護テントだ。そこに、パクマンと共に負傷した兵士がいるはずだ」

 ファルガは、司令官グパへの挨拶もそこそこに、救護テントを目指した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ