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界遊記  作者: かえで
新たなる世界

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破られた平穏

 早朝より響き渡るハンマーの音。

 恐らく、周囲の何よりも高い所から発せられる金属音だろう。

 誰が決めたわけでもなく、頼まれたわけでもないが、この音はラマ村における起床の合図になっているようだった。

 人々は、このハンマーの音で寝床から這い出し、朝の活動を開始する。ある者は台所の竈に火を入れ、ある者は朝食の前の農作業に出る。

 この地域で最も早く朝日の届く集落が、実際に活動を開始するのは、ラン=サイディール国の殆どの都市に住まう人々が起きだす一時間も二時間も前だった。

 以前と異なるのは、ハンマーが鉄を叩く音が和音になったことだった。槌を打つ人間が増えたからだ。


 ラン=サイディール国の首都デイエンから臨める、陽床の丘ハタナハ。

 だが、殆どのデイエン民が勘違いしているが、首都から臨める崖はハタナハではない。ハタナハは、崖下の丘を指し、丘に直立する崖には名称はない。通常ならば、早秋既に冠雪してもおかしくないはずの標高であるこの崖上には、常春の地があり、そこに人々が集い、集落を作っていた。強いていうなら、その集落こそがその崖の名称かもしれない。

 ラマ村。

 パワースポットにより冬と夏の気温差がないこの地では、農作物が四季を通じて大量に収穫できる。また、休耕地を作る必要もなく、様々な農作物が季節外れの時期でも収穫出来る為、敢えて時期を外した野菜を収穫して『お上り』という名の『市』に持ち込めば、それは目玉商品になりえた。ラマ村の民は、それらの農作物をデイエンで販売し、そこで得た金で、村では手に入らない様々な道具や食料品、衣服などの生活必需品を購入する。そして、それを村で分配する。もし、欲しいものが別途あるようであれば、それはお上り時にリーダーに発注する形になる。

 『お上り』は、大抵村の子供たちの年長者がリーダーとなり、執り行われることが慣例になっている。ラマからデイエンまでの道のりは、大人の足でほぼ七日かかるといわれる。それ故、ラマ村の高齢者ではデイエンまで到達できないからだ。

 そうはいっても、少年少女のみで編成された小規模隊商を行かせるのは、実際には様々なリスクが伴うため、道中の山道のチェックポイントには大人が待機し、その場所で発生した大小様々なトラブルに対して、ケアが行なわれる。

 青年の振るう槌は、『お上り』にて販売する農作物を栽培・収穫するための農具を生み出していた。耕すための鍬、収穫のための鎌、その他日常の生活で用いる刃物も、彼は創り出す。

 青年は、昨年と一昨年の二回、リーダーとしてデイエンを訪れた。リーダーをこなすことにより、村では成人として扱われるようになる。所謂通過儀礼の意味合いも持たせているようだ。

 師匠であるズエブ=ゴートンの鍛冶場内の道具をある程度引き継ぎ、自宅の横に六畳一間の窯を作ったファルガ。そこで、ズエブに来た依頼の半分をこなす毎日を送っていた。

 かつて最強の単身空中海賊といわれたズエブ=ゴートン。

 彼との鍛冶屋としての師弟関係は、まだ解消していない。それに加え、ズエブは育ての父親としての一面を前面に強く押し出し、娘ズーフの婿にすることも考えていたようだが、彼の妻であるミラノには、余計な事をするなと常々言われているようだった。

 実際、ズーフはファルガによく懐いてはいたが、異性というよりは年の離れた兄という認識のようで、自分の恋愛話を持ちこんでは、ファルガの目を白黒させていたものだった。加えて、どうも前回の『お上り』において、デイエンの衛兵と交際を始めたようで、来月に控えた『お上り』を、首を長くして楽しみに待っているようだ。

 ファルガ自身も、年の離れた妹という感覚のズーフの相手に興味を持ち、レベセスに探りを入れたところ、割と好青年だということらしく一安心した。

 ファルガよりも少し年上らしかったが、遠距離・年の差恋愛もありですね、とレベセスにしたり顔で語ったところ、凄い形相で睨まれた、とミラノに笑いながら語ったところを見ると、自分の事に関しては殆ど頓着しないというファルガ自身の性格は、少年時代と比べても全く変化はなさそうだった。

 ただ、レーテとの交流は続いており、どちらともなく会いにいっては都心と田舎村との情報の交換をしていた。お互いが氣功術≪天空翔≫を会得しており、大人の足で七日の距離をものの数十分で移動できることを考えると、二人の間には、物理的な距離などないに等しいのかもしれない。

 既存の医学に、氣功術を織り交ぜた医療ができれば、今は不治の病でも治せる可能性は十分にある。

 そう語るレーテを見て、ファルガも刺激を受けないはずがない。

 鍛冶屋見習いから弟子という地位になったファルガも、マナ術の効果を練り込んだ剣や、氣功術の効果を練り込んだ鎌を作り出そうとしているが、どうにもうまくいっていないようだった。

 レーテ自身が医者になるための目標に向かって努力している様を見て、ファルガも刺激を受け、いつかは竜王剣のような名剣を打てる鍛冶職人になりたいと思っていた。

 ただ、ファルガもレーテも自身の力……とりわけ術の力に関しては、周囲の人間にバレないようにうまく隠し通していた。特に意識を合わせたわけではないが、神皇より受け継がれた知識の中には、術が……とりわけ人々が用いることのできないような、力の大きな術が使うことができると周囲に知れた時、戦乱の世であれば讃えられ崇められもするが、平穏な時にはただの脅威として捉える傾向がある、というものがあり、そのことはファルガもレーテも痛感していた。

 人間……哺乳人類は、道具術と言葉術に長けた種族。本当は、爬虫人類であるガイガロス人とも共存する道を模索したかったが、あの戦いの後の三年間という短い時間では、ロールバックしてしまった魔族ガイガロス人のイメージを払拭することは不可能であり、彼らの得意としていた氣功術やマナ術が、人々の恐怖を煽るのは目に見えていた。

 本能的に刷り込まれた恐怖は、神皇ゾウガといえども、消し去ることはできなかったのだ。

 そんな社会で、氣功術やマナ術を使うことが可能であると広まった暁には、術者自身の通常の生活がおぼつかなくなるのは目に見えている。

 ファルガ達が如何に人々のためを思って使った術でも、知らない者の目からすれば、それは悪魔の法にしか映らず、知っている者であっても脅威にはなってしまうだろうからだ。

 術に限らず、圧倒的な力は、緊急時には役に立っても平常時は疎ましがられる。悲しいかな、人の世の常だ。

 とはいえ、隠し続けている力を使わねばならない時もある。

 ファルガもレーテも、数か月に一度ペースで発生する『魔』の仕業と思われる事件を何度か解決していた。残念なのは、その『魔』の事案を、全てガイガロスの仕業だと思われていることではあるのだが、それを否定も肯定もできない。それ故、秘密裏に動かざるを得なかった。まるでその事案には全く関わっていないという体にするため。

 現在、神勇者の超神剣の装備は、神皇ゾウガの居城に納めてあった。それをファルガが呼ぶことにより、装備が自ら≪洞≫の術を開き、ファルガの身体に装備される。ファルガが戦闘終了を認識したら、自動的にゾウガの元に戻るという形が出来上がっていた。

 レーテの超神剣の装備も、そのようにできたら便利ではあるのだが、法衣『暁の銀嶺』がレーテの『氣』で作られた糸で編まれているため、法衣自体はレーテの『氣』に照射されることで自己修復される。それを加味すると、レベセス邸に保管されている方が、劣化が防げるなどの都合がよかったのだろう。

 自分がこの世からいなくなっても、残ってほしいと祈ったレーテの意志は、残念ながら叶わなかったようだ。


 一番鶏が鳴くよりも早く起床するファルガとズエブだったが、その日の寝覚めは最悪だった。

 強烈な吐き気と頭痛、倦怠感により叩き起こされた二人は、ほぼ同時にそれぞれの家のドアを開け、寝巻のまま外に出た。

 ファルガは、隣の家から飛び出してきたズエブと目が合い、思わず驚く。

 ズエブは一瞬ニヤリとしたが、額にはファルガ以上の脂汗が浮かぶ。

「親方も、『氣』を捉えられるようになったんですね」

「いつまでも弟子に後れを取るわけにはいかんからな。

 しかし、一体この『氣』はなんだ? 凄まじい力を感じるが、同時に悍ましさを覚えるとは」

 ファルガは思い出す。

 ズエブは、三年前の『精霊神大戦争』を覚えている数少ない人間ではあったが、直接あの者と対峙したわけではない。感じてはいても、星数十個の距離を空けていたあの距離で感じる悍ましさは、今回のような耐えられない程のものではなかったはずだ。

 それに加え、転送されてきた白銀の戦士と玉の悍ましさに耐えることができたのだから、ある程度耐性はあるのだろう。

 そこここの家から、咳き込む音や寝床でのたうち回っている音、嘔吐する音が聞こえる。

 皆、寝起きに襲われた悍ましさに混乱し、対処できずにいるのだ。

 今まで、ファルガやズエブが目の当たりにしていた、一瞬の阿鼻叫喚と同じ現象が、デイエンや隣接するノヨコ=サイ国、現在では対等の立場となっているドレーノ国やカタラット国、ジョウノ=ソウ国でも起きているに違いなかった。

 毒が盛られたわけでもないのに、のたうち回り嘔吐せざるを得ない環境は、人々にとっては悪夢だった。

 不幸中の幸いだったのは、この突然の悍ましさに命を落とした者が、ラマ村に関しては一人もいなかったことだろう。

 だが、その悍ましさはほんの数秒で世界から消失した。

 ただ、悍ましさはほぼ消えたものの、生命体としては規格外に強い生命エネルギーの『氣』を持つ存在は、依然として周囲を汚染し続けており、高速で移動を続けている。その『氣』は酷く攻撃的であり、何かと争うつもりか、争っている最中のように感じられた。そして、その直後に悍ましさを感じぬ別の強い『氣』も出現する。

 一体何が起きているのか。

 その『氣』は、悍ましい『氣』について回るように移動している。ただ、仲良く飛んでいるというよりは、前者を後者が追跡し、前者はその追跡を振り切ろうとしている、といった感じだ。それほどに、移動方向が一定ではなく暴れ飛んでいる印象だった。

「親方、ちょっと見てきます!」

 崖に向かって駆け出すファルガ。

「気を付けていけ。

 今のお前なら、何者にも遅れはとらんだろうが、油断はするなよ」

 ファルガはちらりとズエブの方に視線を向け、にやりとした。そして、大丈夫です、という言葉を残すと、崖下に飛び込むように大きく跳躍する。

 ファルガの身体が崖下に消えて数瞬後、崖下から青白い光が溢れ、一筋の流星が上空に立ち昇っていく。やがて流星は、城塞都市デイエンを飛び越え、大海スロイの向こうに消えていった。


 ファルガが使ったのは、久しぶりの≪天空翔≫という飛行術。

 その速度は『氣』を用いる際の練度によって異なるが、現在のファルガであれば、少なくとも真・飛天龍……三年前の大戦で、帝国イン=ギュアバより提供された戦闘に特化した飛行円盤……よりずっと速く飛ぶことができたはずだ。強いオーラ=メイルを纏っているため、直接体に当たる風はほぼ遮断され、視界を遮られることもない。

 ラマを出てから数十秒で、首都デイエンの上空に差し掛かろうとしていた時、青白い光の流星がファルガの足元から一本立ち昇ってくる。

 明け方であることもあるだろうが、デイエン内はラマ村とは違い、まだ空が白みかけただけで街の中は闇に沈んでいるはずだ。道を歩くのは野良犬か酔っ払い位のものだろう。

 誰にも見られる恐れがないという確信と、人に見られることよりも遠くで争う大きな二つの『氣』配の正体の方が問題だという危機感の表れだろうか。

 誰に尋ねるでもなく、その青白い光はファルガと同じところを目指していた。

 青白い光にいよいよ追いつくファルガ。

「レーテ! 君も感じたのか」

「ファルガ! 貴方も来たのね。これほどの強い『氣』だもの。寝ているわけにはいかないものね。それに、この感覚……思い出したくはないけれど……」

 ファルガとレーテの光が並ぶ。

 二本の光の帯が、海上に滑り出た。と同時に、レーテの身体が更に別の光に包まれた。その光は白金の輝きを見せたが、その光が消滅すると、レーテの身体は、法衣『暁の銀嶺』に包まれていた。

 透けているのではないかと思われる程に薄い生地だと錯覚させるのは、レーテの『氣』に反応し、法衣が薄く光を発しているからなのだろう。両手に黄金の錫杖『黄道の軌跡』を持ち、既に戦闘の体制に入っていた。

「ああ。

 ……奴と同じだ。だけども、奴がまだ生きていたという話は聞かない……」

 三年前に滅ぼしたはずの、魔神皇を名乗る巨悪グアリザム。

 彼は、真の魔神皇にはなっていなかったが、その圧倒的な力は真の魔神皇のそれに勝るとも劣らないものようだった。

 だが、だとするとそれは厄介ではある。

 神勇者ファルガは、三年前も自称魔神皇に対して全力で相対した。だが、その結果、彼の者を倒すことはできなかった。

 巨悪を消滅させたのは、他でもないファルガだ。

 ただ、現在置かれた状況と違うのは、彼の者を消滅させたのは神勇者の力ではなく、ガイガロスの鬼子の力を使い、巨竜となりグアリザムを敗走させたのだということ。

 現在、巨竜の力はまだ制御できていない。というより、あの後で表面化したこともない。

 少なくとも、現在突如として出現した存在の力がグアリザムと同等だとするなら、現状の二人では太刀打ちできないということになる。

 飛行中のファルガは、超神剣の装備……光龍兜、蒼龍鎧、そして、竜王剣……を呼び寄せた。光の玉が四つ中空に現れ、それらがファルガに衝突する。

 眩い閃光が辺りを照らすが、その閃光が消え去るのは一瞬。

 その光が掻き消えた所には、蒼い全身用の鎧に身を包んだファルガが、赤いマントをはためかせながら飛行を続けていた。

 禍々しい『魔』の氣を発していた者が、突然進路を変えた。

 どこからかの悪意の視線が、ファルガを捉えたようだ。悍ましい雰囲気がファルガに集中した。物理的な距離は関係ない。

 ファルガ達から見て、右から左へと移動していた『魔』の氣。

 それがファルガとレーテに向かって加速しながら突撃してくるイメージだった。

 ファルガとレーテは中空に留まり、敵の襲撃を待った。海上での戦闘ならば、他者の目を気にせずに全力で戦える。

 「ヤツがエリアに入ったら、結界を頼む。ヤツの発している『魔氣』は、今もゾウガ様が中和してくれているけれど、戦闘になったらそれじゃ抑えきれない部分もあるだろう。『魔氣』の汚染は最低限に食い止めたい」

 ファルガは背から竜王剣を引き抜き、八相に構えた。レーテは黄金の錫杖を身体の前において牽制する。

 悍ましい巨大な氣の後に出現した、何者かわからない存在も、ファルガ達に向かって突進してきていることに一瞬気を取られたファルガだったが、それが災いした。

 青年神勇者が見せた一瞬の隙をついて、突然背後に現れた悍ましき何者か。『それ』からの攻撃により意識を失ってしまい、そのまま海へと墜落していった。

 まさか、背後からの不意打ちとはいえ、神勇者のファルガを一撃で倒すとは。

 眼前で起きた出来事に理解が追いつかないレーテだったが、まずはファルガを助けることが先決だと判断し、墜落していったファルガを追って海へと飛び込んだ。

 その直後、『魔氣』の主は、後から現れた存在に追いつかれ、交戦を始めた。

 だが、その決着は一瞬でついたようだった。

 その断末魔は、海中にいるレーテにすらはっきりと聞こえた。だが、その断末魔が果たして声だったのか、それとも脳に直接響いてくる呪いの咆哮だったのか、レーテには判断できずにいた。

 どのようなものなのか、全くわからない状態での一撃で気を失ったファルガだったが、突然水中に叩き込まれた結果、息を吹き返した。

 現状が理解できずに海中で藻掻くファルガだったが、後ろから羽交い絞めされた状態で、レーテに吊り上げられる。

「げほっ、ゲホゲホ」

 大量に水を飲んでしまったのか。

 ファルガを抱えて必死に海上へと逃れるために、周囲の様子を伺いながら海上に頭を出した瞬間、レーテは全く心当たりのない人影から手を差しのべられた。

 ここは海上のはず。だが、眼前の人影は水面に立っていた。

「大丈夫だったか?」

 意識を取り戻したファルガは、まだ咳き込みが収まらなかったが、海上に浮いている不思議な人影から視線を離せなかった。

 錫杖を構えるレーテも警戒を解かない。

 突然言葉をかけてきた存在。眼前の人影からは悍ましさは感じない。しかし、少なくともこの界元の存在ではないようだ。

 同じ界元の生物ならば、種が異なっても、基本的に生命エネルギーである『氣』の波動は同じものになる。だが、この人影の『氣』の波動は、この世界の何者とも若干異なっていた。

 光のない海上であることもあり、人影の顔は愚か、姿形すらもおぼろげだ。闇の中に黒ずんだ影が浮かんでいるに過ぎない。

 眼前の人影は、一体何者なのか。

 闇の中で、その人影は微笑んだ気がした。

 その直後、人影は薄黄緑色のオーラ=メイルに包まれた。

 人影の発するオーラ=メイルの輝きの中、ファルガとレーテは見た。

 左の頬に大きな十字傷を持ち、南国の海のような青い髪。鋭いながらもどこかにやさしさを持つ眼差し。赤いバンダナを額に巻いた青年。

 彼の身に着ける鎧は、甲冑というよりは胴を護る戦闘服のようであり、緩めの道着のようなズボンを履き、膝と肘に戦闘服と対のデザインのプロテクターを身に着けている。

 右手には五十センチほどの棒を持っていたが、その棒の先端が槍のように尖り、また柄の部分が伸びる造りになっているのだと、ファルガにはわかった。

「大丈夫そうで何よりだ。

 またそのうちに会うことになるだろう、ファルガよ。

 それまでに、戦いの勘を取り戻しておくことだ」

 人影は、低く凛々しい声でそう告げると、そのまま飛び去った。

 ファルガとレーテは、呆然と彼を見送ることになる。

 青い髪の槍使い。

 敵なのか、味方なのか。黎明時に現れ、先程の男に倒されたと思しき悍ましい『氣』の正体は一体何なのか。

 三年前に終わったと思っていた魔神皇との戦いが、実はまだ終わっていなかったのではないか。そして、何かがまた動き出したのではないか。

 海上に留まるファルガとレーテには、そうとしか思えなかった。

完全新章です。

話を考えながらまた進めていきたいです。

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