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界遊記  作者: かえで
巨悪との確執

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予兆2

 ファルガとレーテが、上空の巨大な≪洞≫に遭遇したのは、ラマ村の大広場で、村人達と祭りの準備に取り組んでいる真っ最中だった。


 ラマ村では、収穫した農作物などを村の備蓄用と輸出用に仕分けし、夏のうちにそれぞれの処理を施す。

 備蓄用の農作物は乾燥後、保存食として加工される。

 この時のラマ村の家の軒先には、様々な農作物が陰干しされることになり、その種類により色とりどりの装飾となって家々が彩られる。また、村に於ける建物の位置関係が、風の抜ける通り道により影響を受け、陰干しされた野菜などの味が家ごとに若干異なるのも、ラマ村の風物詩になっている。

 輸出用には比較的育ちが遅い物が選ばれ、半熟の状態で出荷される。『お上り』の移動七日間の道程でゆっくりと熟成させ、ラン=サイディール国の首都デイエンで店舗を構える頃に完熟となり、デイエンの民家の食卓に上る頃に食べ頃を迎えるように、出荷の時間設定を行う。

 だが、村人たちは、素材はやはりラマ村で調理して食べるのが一番美味であると信じて疑わない。熟れるギリギリまで栄養を補給し続けるのだから、理屈としては間違っていない。

 現在では、ラマ村の農作物を食べるツアーなども企画したいというアイデアを若者たちは持っているようだが、ラマ村の立地構造上、宿を完備する事も難しく、また、首都デイエンからの七日間の工程も仇となり、未だに実現せずにいる。

 実は、この計画の中心にいるのがナイル夫妻であり、何とか実現にこぎつけたいとは思っていた。だが、これはまた別のお話である。

 この村の農作物が、他の地域の農作物に比べ持ちがよいというのは、決して迷信ではない。ラマ村のはずれにあるパワースポットから溢れる不思議な力が、人々を健康にし、農作物を豊潤に育て上げる。

 聖剣を通じ、『氣』のコントロールを身に着けたファルガ。その彼が出荷の準備を手伝う傍らパワースポットを訪れた時、パワースポットに充満しているのが、『氣』であることに気づく。だが、それは生命体から感じられる『氣』とは若干違っていた。

 本来『氣』というのは、生命エネルギーではあるのだが、指紋などと同じように、完全同一の波動はほぼ存在しないと言われている。無論『氣』の波動は、親兄弟では当然似ているし、感情や性質にも強く影響される。当然、波動自体も生命体としての種によっても若干異なる。

 だが、パワースポットの『氣』は、全くの無情報だった。生命体に良い影響を与えるのは間違いないのだが、その『氣』の波動から生命の種や感情、そういった追加の情報は感じられなかった。

 ファルガは、パワースポットの『氣』の根源が何なのか調べたが、結局何もわからなかった。

 ファルガ自身は今年の『お上り』には参加しなかった。

 年齢的には『お上り』実施の主体年齢であり、ナイルもファルガの年齢だった頃には、年下の者を連れて『お上り』を実施したことがある。

 だが、今回の『お上り』に関しては、状況が状況だったのでファルガが参加を拒否した。件の事案が突然始まり、主体者が急に姿を消したなら、『お上り』実施の現場が混乱をきたすのは目に見えていたからだ。

 結果的に、ファルガより年下の子供達が主体者となり、保護者と共に『お上り』に向かい、無事に役目を終え、帰ってくる。

 ファルガとレーテはそれを他の村人と共に出迎えた。

 その日の晩は子供たちを休ませ、日を跨いだ後、収穫と『お上り』を無事に終えた感謝祭を実施する為の準備に取り掛かる。

 巨大な≪洞≫が、イア海に臨むデイエンの遥か先、海原の上空を覆い尽くすように出現したのは、感謝祭の準備に取り掛かろうとした、まさにその日の昼過ぎだった。


 最初に体の不調を訴えたのは、妊婦だった。つわりとは明らかに違う吐き気と眩暈を覚え、同時に、腹の子が異常に動き回ったという。

 その後、最高齢の老人が脈に異常を訴え、村の医者を呼んだ。だが、医者には原因がわからず、安静にさせるしかなかった。だが、その間も激しい不整脈と嘔吐は続き、老人の体力は著しく低下していった。

 この時には、ファルガもレーテも上空に何者かが現れようとしている事には気づいていたが、場所が判然とせず、上空を注視している事しかできなかった。

 まだ、精悍な女神フィアマーグからも可憐な女神ザムマーグからも招集が掛からなかった故、いつでも村を離れて駆けつける心積もりはあったものの、そのままラマ村での生活を続けていた。

 そして。

 村の広場で櫓を組み、災厄を祓うための祈りの太鼓を櫓の上部にレーテと共に運んでいたファルガは、背後で大きく広がる≪洞≫を感じ、思わず振り返った。

「危ないわよ、ファルガ! 余所見をしない……で……」

 そう言いかけたレーテだったが、語尾はほぼ消えかけていた。レーテの視界にも今まで見た事のない程の巨大な≪洞≫が飛び込んできたからだ。

 かつて刃を交えた『魔』の神勇者・神闘者に周囲を囲まれたとき以来の悍ましさを覚える。

 あの≪洞≫の目視での距離は余りに遠い。だが、伝わってくる波動の強さは凄まじい。それだけ≪洞≫の向こう側の存在は、強大な力を持っているという事なのだろうか。

 ファルガとレーテは櫓に太鼓を設置すると、大地に降り立つ。

「ザムマーグ様、フィアマーグ様、私たちはどこに向かえばよいですか?」

 ひしひしと不快さの増す周囲の雰囲気に辟易しながら、レーテは尋ねる。

 だが、そこで状況は一変する。

 悍ましさに溺れそうになる村人たちが、突然全快した。

 人々は先程までの不快さと、今の心地よさを比較し、しかし原因の分からないこの感覚に、恐怖を覚えざるを得なかった。不幸中の幸いだったのは、他の主要都市の人間たちのように混乱、発狂し暴徒と化す人間がいなかったことだ。

 別の所で感謝祭に向けての作業をしていたナイルが走ってくる。

「ファルガ! レーテさん! 今のおかしな感覚はまさか……?」

 ファルガとレーテは無言で頷く。

「『巨悪』の襲撃がいよいよ始まるみたいだ。

 なかなか難しいかもしれないけど、ナイル達は普通に生活してくれ。怯えても暴れても何も変わりはしない。

 さっきは一瞬おかしな感じがしたけれど、今は大丈夫だろう?

 恐らく、神皇ゾウガ様がこの地に来て、『巨悪』の邪気を中和してくれているのだと思う。

 俺たちは『氣』のコントロールをして、防御しているから『魔』の発する邪気に充てられることはほぼない。けれど、ナイル達は違う。

 なかなか難しいかもしれないが、出来るだけ奴らから距離を取って、できればあの黒い穴も見ない方がいい」

 ナイルは、右肩にファルガを、左肩にレーテを抱きしめた。

「……お前たちだけに戦わせてしまって済まない。特にファルガにはずっと世話になりっぱなしだ。

 この戦いが終わったら、ファルガもレーテさんもラマ村に住むといい。皆歓迎する筈だ」

 ナイルの突然の物言いに目を白黒させるレーテ。

 ファルガと一緒にこの村に住むという事が何を意味するのか、分からない年齢ではない。

 思わず赤面するレーテだったが、決して悪い気持ちはしなかった。

 ただ、無性に腹立たしいのは、≪洞≫を睨みつけたまま青年ナイルの言葉に全く反応を示さないファルガだ。

 レーテはファルガの向こう脛を蹴っ飛ばすと、≪洞≫に向かって駆け出す。レーテの身体が輝き、その光が霧散した後には少女の身体を包む『暁の銀嶺』。右手には『黄金の黄道』が握られている。

「いてて……。

 何だよ、人の足を蹴っ飛ばしながら気づかずに行っちまった」

 思わず悲鳴を上げ、脛を摩りながら痛みに耐えるファルガ。

「……ナイル、今後の事は勝ってから考えるよ。今は勝つことに集中する」

 そう告げると、苦笑いを浮かべるナイルを尻目に、ファルガは≪天空翔≫を使い、上空へと舞い上がった。

 先程まで櫓の組み立てや太鼓の運搬でも、飛行術≪天空翔≫を使っていたファルガ。村人も空を舞うファルガに、最初は驚いていたが、今はもう驚かない。ただ、羨ましいと思うだけだ。

 上空のファルガに四本の光が集まる。目が眩むような輝きの後には、蒼い甲冑に身を包んだ戦士がいた。超神剣の装備に身を包んだファルガはレーテを追う。

「生きて帰って来いよ、ファルガ。

 無事に戻ってきたら、俺にもその≪天空翔≫という術を教えてくれ。もっとも、俺にその『氣功術』とやらの適性があるかどうかはわからんけれどな」

 ナイルは、ファルガとレーテの飛び去った方向をしばらく見つめていたが、『いつも通りに生活してくれ』というファルガの言葉を思い出し、感謝祭の作業を再開するよう、村人たちに働きかけた。

 村人たちも一瞬不安そうな表情を浮かべたものの、いつかはこの不安も彼らが拭ってくれるものと信じ、作業を再開した。


「ファルガたちも、こちらに移動を開始しました。ですが、まだ彗星城との距離が遠すぎます。今この場に来ても彼らが具体的には何も出来る事はないでしょう」

 可憐な女神ザムマーグは、精悍な女神フィアマーグに告げる。

 仮面をつけているため、二人とも表情は窺えないが、醸し出す雰囲気から、どちらがどちらなのかは明白だった。

 黒い神殿で、状況を見守る女神たち。

 彼女たちにも、『巨悪』の動き、そして、神皇ゾウガの動きが読めない。

 本来であれば、女神たちもゾウガと合流すべきであり、悍ましい魔の『氣』を中和する為の何かをすべきなのだろう。

 だが、ゾウガの力は感じるが、居場所が判然としない。

 ゾウガに何か考えがあるのは間違いなかった。それ故、居場所を隠す必要があったのかもしれない。

 元々、神皇と魔神皇は、それぞれの力をぶつけ、削りあい、その削りあった際に発生したエネルギーをこの世界の、いや、宇宙の存在エネルギーとしての『真』(マナ)に変換するのが使命であった。つまり、宇宙が存在し続ける為に戦い続けなければならないという、何とも皮肉な存在同士だという事になる。

 残念ながら、グアリザムが先代の魔神皇を殺したため、この宇宙の永久存続は不可能になってしまったが。魔神皇以上の悍ましさを持ちながら、魔神皇の役割を『巨悪』グアリザムは果たすことができなかったのだ。

 この、ファルガとレーテが極限まで嫌悪感を示す『使命』がなければ、徐々に『氣』も『真』(マナ)も減少していき、いずれは宇宙その物を形成する万物のエネルギーが枯渇し、宇宙の存在も危ぶまれるようになってしまう。

 何とも不毛な所作のように見えるが、それは命を紡ぐ生命の活動にも似ているかもしれない。

 命を繋ぐことは崇高な目的であるが、それはこの星あっての物種だ。崇高な筈の命を繋ぐ活動も、星が消えれば文字通り無に帰す。

 星で育った命は、星を捨ててどこかに出たとしても、命というものは所詮、元居た星を基準にして作られている。星の外に出た所で長持ちなどしないだろう。

 それでも、命を繋ぐ行為は無駄だとは思えないし、思いたくもない。

 ファルガは、神皇からの『知識の強制収受』により、それを何となく察してはいる。

 だが、妖と魔の明らかに『何か』が違うエネルギーの衝突が、宇宙の存在エネルギーと化すという現象。それは、何十億年も続けられてきたという『妖』と『魔』の営み。

 互いに互いを消滅させようと活動するエネルギーこそが、必要だと言われても、矛盾としか感じられない。

 そして。

 それが忌むべき存在、悍ましさを覚えてしまう存在だったとしても、自分たちと同じように生活し、子を産み育て死んでいくために活動を続ける『魔』という存在を、心の底から憎み、彼等を嬲り、命を削り取っていく事で宇宙の存在エネルギーを担保していくというこの戦いの在り方に両手を挙げて賛同し、率先して協力する事は、少年神勇者には難しかった。

 その少年の思いは、神となったフィアマーグやザムマーグにも理解できない所ではない。

 だが、共存が難しいという事も、『巨悪の呪い』を経験した二人の女神には痛いほどよくわかっていた。

 二人の女神は、元は血を分けた姉妹であり、同じ目的のために切磋琢磨した仲間でもある。

 その二人が互いの存在を憎み、認めないとまで思い込む。むしろ、自らの手で確実に嬲り殺しにしたいとさえ思わせる。互いの存在が害悪であり、悍ましい存在として捉えられる。その瞬間は、確かに存在した。

 『妖』と『魔』。

 この、互いに一部たりとも存在を認めるわけにはいかない存在が、何故誕生したのか。

 それは神にもわからない。

 ただ、それぞれがそれぞれの為に必死に生き、命を繋いだ結果なのだろう。

 それは誰にも否定できるものではない。ただ、肯定もできないのが辛いところだ。

 神々は念じた。

 神勇者と神賢者に。

「ドレーノの北砂漠が、彗星城の到達点になる」

 と。


 ドレーノの北に広がる砂漠は、ラマ村からの移動でも、それほど時間のかかる距離ではなかった。

 丸一日経過した頃には、ファルガもレーテも、砂漠に集められた対巨悪の兵器たちと合流する事が出来た。

 不思議な光景だ。

 眼前にははっきり見えているのに、そこに到達する事が出来ないとは。

 ドレーノの北砂漠に集結した兵器たちと共に、レベセスやテマ、ヒータックたち『国家連携』の幹部の者たちも集結していた。

 唯一、古代帝国の旧皇帝にして現帝国イン=ギュアバの皇帝であり、大陸砲の運用実施管理者でもある皇帝兵器イン=ギュアバのみ到着が遅れていたが、非常事態に対しての対策の為の配置の結果であり、兵器群の運用は勿論の事、全体的な戦況についても影響は全くない状態だった。

 予想外の事態は、大陸砲四門の斉射が彗星城に対し、全く効果がなかったことだ。

 その原因が、物理的な距離の為なのか、はたまた、それ以外の理由なのかは判然としない。そこについては、皇帝兵器イン=ギュアバの到着を待って事象の説明を求めるしかない。

 だが、人々はその目で発射と着弾を目撃している。そうなると、この世界のある同一時空上に彗星城が存在することは間違いないようだ。

 時間だけが経過する。

 何か有効な手段を打てれば好ましいが、現段階では、彗星城に対しての攻撃手段は、大陸砲の斉射のみだった。しかし、それも効果があったかどうかの確認ができないとなると、現時点では打つ手がない。ただがむしゃらに大陸砲を斉射すればいいのかという問題もある。そして何より、大陸砲の運用については皇帝兵器イン=ギュアバの管理下にある。その皇帝が第二射撃をしないまま、待機をさせているのにも何か意味があるのかもしれない。

 そして、神皇ゾウガ。

 この宇宙の神の長とされる神皇が、この星を訪れて、あれほど距離がある彗星城からの『魔』の『氣』に因る被害を中和させているのは、ファルガたちの言葉を通じ、女神たちにより知る事が出来た。だが、肝心の神皇がどこでそれを行なっているのか。それを神勇者たちは愚か、女神達すら把握していない。

 この事態に対し、どう対処すればよいのか。

 現時点では何もわからない。

 レベセスやテマ、スサッケイ達帝国イン=ギュアバの兵器を扱うグループは、皇帝兵器イン=ギュアバの到着を待ち、精悍な女神フィアマーグと、可憐な女神ザムマーグ、そして神勇者ファルガと神賢者レーテは、神皇ゾウガからの接触を待つしかなかった。

 しかし、真っ先に動きがあったのは、ゾウガでもイン=ギュアバでもなく、彗星城だった。

 彗星城から発せられた、眼前を覆い尽くす程の『黒い稲妻』に似た黒い塊が、地表全体に無数に降り注いだのは、それからすぐの事だった。

 まさに、黒い雨。

 彗星城から放たれたのは『黒い稲妻』の術。

 『妖』の中の『魔』を覚醒、活性化させるための術。それを、長い距離を保った状態で使用するのには稲妻の形状を取るのが、都合がよかったのだろう。だが、術者と被術者が至近距離であれば、わざわざ稲妻の形状を取る必要はない。

 そのまま≪誘魔弾≫のエネルギーを球状にしてぶつけてやればよい。そして、放たれたその総数が無数であれば、躱すことはできない。

 ドレーノ北の砂漠にいる人間、動植物、そして、この星に住まう全ての動植物に対し、十分な量の≪誘魔弾≫を放つことが、彗星城の中で十分な休養を取ったはずのグアリザムからすれば容易な事だったのだ。

 雨に打たれた者は、徐々に体が黒ずんでく。

 その力は圧倒的で、黒い神殿にいる地球神フィアマーグとザムマーグにすら影響は及んだ。

 神を侵す力。

 その力は、当然超神剣の装備を持つ神勇者ファルガ=ノンと神賢者レーテ=アーグにも及んだ。

 人々は恐るべき吐き気と悍ましさの向こう側に、光を見た気がした。その悍ましさが、徐々に収まり快楽へと変わっていく。

 だが、そこまでだった。

 ≪誘魔弾≫の効果を自力で打ち破ったファルガとレーテ。

 だが、他の者たちが自力で打ち破る前に、無数の白い弾が彼らを打った。

 瞬間的に漆黒に近い闇に包まれていた世界が変わる。

 ≪招妖弾≫。

 魔神皇が放つ『黒い稲妻』≪誘魔弾≫と同じものを、神皇が放てば≪招妖弾≫となる。

 地上の全ての生きとし生ける者を包む環境が、エネルギー的にフラットな存在へと戻った。

「行け、神勇者ファルガ=ノンよ。グアリザムの≪誘魔弾≫は抑えた。何としてもグアリザムを退けるのだ!」

 どこからともなく少年の耳に届く言葉に、少年剣士は頷くと、背の竜王剣を手にした。

 先程の≪誘魔弾≫の術と≪招妖弾≫の衝突し、打ち消し合った空域には、とんでもないエネルギーが充満している。だが、このエネルギーを使用する方法が、ファルガ達にはわからない。

「これが……、この濃厚な何かが世界を作った力の源……。

 『氣』でも『真』(マナ)でもない、強い力……。この力が宇宙を形作ったと言われても、確かに頷ける……」

 ファルガとレーテの眼前に、≪洞≫が姿を見せる。

 女神たちが作った≪洞≫とは異なり、空間にぽっかり開いた黒い空洞から放電する稲光は強い黄緑だった。

 ファルガ達にはわかった。

 どこに通じているのかはわからないが、行先そのものは、魔神皇グアリザムの待つ地なのだと。

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