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界遊記  作者: かえで
蘇る古代帝国文明

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帝国イン=ギュアバの啓蒙2 ~皇帝の国家訪問計画~

「イン=ギュアバ陛下には、まずはドレーノを訪れてもらいたい」

 絞り出すように口を開いたのは、かつての聖剣の勇者でありラン=サイディール国の近衛隊長、ドレーノ国の総督を経て、現在は『超商工団体』SMGの特派員『フリー』。壮年のレベセス=アーグだった。

 彼にとっては、母国であるラン=サイディールより、彼が総督として執政を行なっていたドレーノ国の方に、より思い入れがあるのだろうか。いや、実の娘から聞いているラン=サイディール国首都デイエンの惨状には心を痛めていた。だが、今の彼にとってその復興は彼の仕事ではない。彼は、今彼のすべき、彼しかできないことに注力すべきと心に鞭を打っていた。


 ディカイドウ大陸北部の巨大な入り江にあるカタラット国首都ワーヘ。

 イア海に面した入り江に沿うようにして建造された、世界でも最大級の木造建築の平城ワーヘ城の一室である円卓の間で、『国家連携』の首脳部の会議は日々行われていた。

 『古代帝国』であった筈の、帝国イン=ギュアバは数日前に突如復活を遂げた。

 遺跡であった筈の古代の街並みは突然蘇り、命を持っているのではないかと錯覚するほどの勢いで、自己修復を始めた。

 割れたガラス片は、時を戻したかのように窓枠に収まり、墜ちた瓦礫も宙を舞い、元々の位置に戻る。それどころか、破損した傷すら確認できぬほどの、原材料の強い結合を呼び戻した。そこには、再接着時の脆さなど微塵も存在しない。

 圧巻は灰色一色であった街並みに色が戻ったことだった。

 浮遊大陸の都市には、自己修復機能があった。

 瓦礫であったはずの塊はビルディングに戻り、石化した街路樹や街並みも本来の色を取り戻す。環境保全のため整備されたと思われる小川のせせらぎの『化石』には、それまでからからに干からびていた水路部に突然水が湛えられ、流れに身を任せる小魚の群れが蘇った。

 木々では小鳥が囀り、野山では小動物が駆け巡り、それを狙う陸と空の王者たちも、彼ら固有の堂々とした振る舞いをする。まるで、以前からずっとそうであったかのように。

 それを目の当たりにした人間はまだほんの一部だが、遺跡から生きて戻った者たちは、それを帰りの道中でも、自分の祖国でも貴重な体験談として人々に伝えた。自分たちが見たのは、『奇跡』だと。

 話を聞いた人々は瞠目するが、それでも、彼らの生活に直結するわけではないという意識だったせいか、話半分で聞いていた者が殆どだった。

 だが、話を聞いた人たちのその反応こそが、現在のこの世界の人々の『巨悪』や『精霊神大戦争』に対する認識の本当の実態なのだろう。

 遺跡に入ったこともない殆どの人たちからすれば、遺跡探索隊の生存者たちが目の当たりにしたという様々な出来事も、何処かで見知った単なる言い伝えレベルの絵空事をさも追体験したという、集団催眠か何かによる錯覚にすぎないだろうという理解。

 平たく言えば、勘違いであると思い込んでいるに違いなかった。

 それ故、一生懸命話を聞いてくれる人たちの瞳に宿る光は、憐れみ。余りに大変な調査故、精神に異常をきたしてしまった者に対する同情を覚えているのだろう。

 だが。

 それは『油断』。

 まさに、その表現が適切なのだろう。

 実際に、二年半後には今よりも状況が悪化することは大いに考えられるのだ。自分の生活に直結しない、という理由で無視していい問題ではない。

 『国家連携』の目玉であった、古代帝国遺跡探索隊は、数多くの死者を出すことになったが、それ以上に九死に一生を得た人々も多く、彼らが生きて戻ってこられたのが、復活した帝国の『皇帝兵器』イン=ギュアバの多大な協力があっての事なのは、皮肉以外の何物でもないだろう。

 そして、やはり国ごとに温度差はあれ、生き残って自国に戻ってきた国民の体験談を耳にした為政者達は、国民たちとは違い不安を覚えた。だが、それも本来『国家連携』のホストたちが危惧してほしいと望んだ状況について、ではなかった。

 実際、古代帝国が帝国として蘇ると、様々な問題が生じる。

 それはまだ、それぞれの国が国家として未熟であった為であり、扱うことが難しいオーバーテクノロジーの問題に留まらない。

 国土の問題、国民の問題、そして、技術や数多くの出土品の所有権の問題。そして、現存する技術を遥かに超越する、科学力を始めとする各種学問……憲法論から経済理論、その他もろもろの知識系統は、現在の国家の在り方の根幹を揺るがす可能性を大いに秘めていた。

 過去の栄華を極めた帝国の為政者が、血統でもなければ財力でもなく、純粋にその思想と能力とで選抜されていたという事実は、各国の為政者にとっては恐怖以外の何物でもなかった。何故なら自分たちが為政者として君臨する根拠を根こそぎ奪い去ってしまいかねないからだ。無私の為政者ならばよいが、人間である以上それはまずありえない。

 現存する国家との間に顕在化した懸案、あるいは潜在的な懸案を問わず、帝国イン=ギュアバの復活の事実は、帝国と他の国家の関係、そして帝国を除いた国家同士の関係についても大きな影を落としていた。


「わかりました。ドレーノの首都ロニーコ、三巨頭に会えばよいのですね。ハギーマ=ギワヤ、カンジュイーム、ニセモの三人。

 同時でよいのですか?」

 レベセスは詰まった。

 自分が行って段取りをするのは簡単だ。しかし、それではせっかく自立を始めたドレーノに水を差してしまうのではないか。自分がいなければ何もできない国家になって欲しくはなく、かといって、自分が訪れた時、誰も自分を知らないという状態も寂しい。

 三巨頭の面々と面識のないスサッケイを行かせるのか。はたまた、SMGの頭領となったヒータックを行かせるのか。

 彼らが能力的に劣っているとは思わない。

 だが、三巨頭の面々が、いきなり面識のない人間に「古代帝国復活しました。どうしますか?」などと言われても、正直困るだろう。自分がドレーノで総督をやっていたとしても、見ず知らずの人間がいきなりやってきて、そのフレーズを口にしたところで、返事に窮するのは目に見えている。

 下手をすると、三巨頭との会合の場を設ける事すら難しい。そうなると、消去法でレベセスが行かざるを得ない。

 では移動手段だが、やはりSMGの飛天龍を使うしかないだろう。となると、必然的にパイロットはヒータックになり、スサッケイは本部で待機、という事になるが、『国家連携』のホストとしては、外交についても経験を積んでもらった方がいいだろう。

 いくら腕が立ち、頭が切れると言っても、表舞台では実績はないに等しい。スサッケイという名を聞き、今は亡き先王ゴウ=ツクリーバの私兵集団の首領であるという知識がある人間はいても、公人としてのスサッケイはまだ駆け出しに過ぎない。

 そして、その意味ではヒータックも同様だ。

 才気煥発でありながら、経験不足の人材を抱え、レベセスは頭を抱えざるを得なかった。

 移動手段の問題はほかにもある。

 ドレーノには飛天龍を使って行ったとして、その燃料代はSMGに負担させるのか。そして、使った燃料の補充。果たしてドレーノで給油が可能なのか。

 ドレーノの訪問は暫定的に飛天龍を用いることで間に合ったとして、以後の国家訪問はどうするのか。飛天龍が使えなければ船を使うという方法もあるが、時間と費用が掛かりすぎる。

 それだけではない。

 一度解散させて手土産を持たせた形の遺跡探索隊の元隊員たちは、恐らく帝国復活を報告してくれるだろう。

 だがその後のアクションは、『国家連携』ホスト側が行なわざるを得ない。そういう意味では、本来国家の収入となるべき出土品を無償で持たせたカタラット国もかなりの損害が出ていることになる。

 所謂古代帝国の技術の粋であるはずの『出土品』についても、カタラット側では協力国家の取得物は、それぞれ等価になるように持たせたつもりではいる。しかし、各国が欲する古代帝国の技術について、そこまで調べての分配ではないが故に、様々な諍いを生んでいる可能性は否定できない。自国が欲しかった技術が他国に流れてしまい、それを入手するために謀略が行き交う状況を作ってしまったかもしれない。

 様々な事情を加味しての外交を行うべき年齢となってしまったレベセスには、その国力バランスの傾斜について、流石に大事の前の小事だと切り捨てることはできず、抱えた頭をさらに丁寧に抱えなおす必要に迫られてしまった。

 単純に、古代帝国の遺跡から、対『巨悪』向けの兵器を発掘し、各国で共有して大幅な戦力アップを図るはずの『国家連携』のシステムが、今は単純に国家間闘争の火種に成り下がっていた。


「移動に関してだけでいえば、私があの女神たちが作った黒水晶のようなものを作って移動すれば解決します」

 皇帝イン=ギュアバは、抑揚のない声で告げた。

 何を簡単に、と一瞬目をあげるレベセス。だが、その言葉の主は帝国イン=ギュアバの技術の粋。

 術に関しても精通しているはずだ。

 氣功術、マナ術、道具術、召喚術、鬼道術、話術の全て・六神通を司る神賢とまではいかなくとも、それに近いことはできるのかもしれない。

「女神が使った術は、召喚術の応用です。召喚術の逆をやって見せた、という事なのでしょう。

 本来、召喚術とは術者が被術者を呼び出す術であり、本来は被術者が自らの能力で召喚に応じます。その際、送るのが自らの力だけなのか、それとも自身がその場に行くのか、については術者との関係や、術そのものの強さにもよります。しかし、術者と被術者の間に特殊な疑似空間を作り、そこに自身を送り込むという術の大原則は変わりません。

 私はその逆をすればよい」

「……つまり、黒水晶を作り、そこを通じて向こう側に出ればよい、という事ですか」

 自信満々であるにも拘わらず、声の抑揚がないために、とてつもない提案が大したものではなく、誰でも実現可能な方法であるように聞こえてしまうのは、皇帝イン=ギュアバの発言故だろうか。

「術の性質としては召喚術ですが、対象の移動にヒントがあります。この術では、空間を歪めるのではなく、二カ所に同一の物質が存在する状態を作ります。その状態を、帝国の道具術を使い、再現します。

 このように……」

 十数人が円卓を囲って会議の可能な一室。レベセス側の腰かける手前の卓上に小さな黒水晶が出来上がり、卓の最も遠い部分にも同様の黒水晶が出来上がった。

 レベセスは、思わずその黒水晶を触れようとするが、まるで熱い物に触れそうになったかのように、手を引っ込めた。やはり未知のものに触れるのは気が引ける。覚悟を決め、ゆっくりと水晶に触ろうとするが、黒い水晶に触れた瞬間、レベセスの手首は水晶の中に飲み込まれるように消えた。

「おおっ!」

 その現場を目撃していた全ての人間から歓声にも似た溜息が漏れる。

 なんと、レベセスの手首から先が、円卓の最も遠い部分にできた小さい黒水晶から生えているのだ。

「レベセス殿……痛くはないのですか?」

 数多くの修羅場を潜った、現カタラット国王スサッケイ=ノヴィ。その彼が、顔面を蒼白にしながら尋ねた。

 レベセスの顔面も血の気が引いたように真っ白になっていたが、その目は正気を失わずその状況を捉えていた。

「不思議な感覚です。目に見える私の右手はあそこに見えますが、感覚はここにあります。

 ……ここ、というよりは、私の手の先ですね。

 思い通りに動きますが、目に見える手先は遠くにある。不思議な感覚です」

 一瞬躊躇したようにも見えたが、レベセスは立ち上がると、引き戻した右腕と左腕とで上半身を支えながら、顔を黒水晶に押し付けた。

 不思議な光景だ。

 レベセスの形の良い鼻より上の部分は、円卓の最も遠い部分に出現したが、それ以外は全く普通だった。

「レベセスさん、あんた大丈夫かよ」

 思わずヒータックが尋ねた。

 彼からすれば、ずっと年配のレベセスが躊躇なく自身の体を使って人体実験を行なっている事が、そもそも恐るべき事実なのだが、傍で見ている彼らより、実際にその空間を経験しているレベセスの方が余程精神的なダメージは大きいだろう。

 レベセスは、ゆっくりと自分の顔を抜き始めた。そして、ちょうど双眸が黒い水晶に掛かるところでその動きを止める。境界の所でどう見えるのか、確かめたかったようだ。

 少し固まっていたが、レベセスは慌てて首を引き抜いた。

「大丈夫ですか、レベセス殿」

 傍で不安そうに見ていた稀代の考古学者テマ=カケネエも、思わず声を掛けた。

 しばらく目を閉じて呼吸を整えているレベセス。

「……考えていたよりずっと不気味な視野でした。上半分の視界で遠くに離れた自分の体と顔をみて、下の視野で黒水晶から飛び出している自分の目と頭部を見るのは……」

 思ったよりずっと稚拙な回答が返ってきて、面々は拍子抜けしたようだ。

 だが、レベセスは続ける。

「皇帝陛下。この術は、誰でも可能なものなのでしょうか。それとも、特別な要件が必要になりますか? 黒水晶の距離についてはどの程度離しても保つことができますか? ピンポイントで黒水晶を発生させることは可能でしょうか? 私たちが見ている方向だけでなく、裏側からもアクセスはできるのでしょうか? 横からは?

 黒水晶の中には空間はないように見えますが……」

 少し早口になり、矢継ぎ早に質問を繰り出すレベセスに、何かアイデアが浮かんだのは間違いなかった。その場にいた誰もがそう感じた。

 だが、レベセスの勢いに気圧されることなく、無機質な状態でマイペースに応える『皇帝兵器』イン=ギュアバ。

「レベセス=アーグ。貴方が確認したいことの意図はわかります。

 しかし、結論から言うと、貴方の言う黒水晶『洞』の大きさと発生精度は反比例しますので、貴方が考えるような戦術としての使用は限りなく難しいでしょう」

 イン=ギュアバの答えが返り、その場にいる者達の視線がレベセスに集まる。

「……そうでしたか。

 ファルガ君たちが通っていった黒水晶。あの大きさが、所謂『神レベル』の術者でやっと、ということなのですね」

「その通りです」

 皇帝イン=ギュアバは、元々姿勢を変えずに直立で、円卓に腰かけるホストたちの横にいたが、明らかに集中を解く。無機質で無表情な皇帝から、そのような雰囲気を感じ取れたという事は、彼から大きな力の発生を感じさせる何かが漏れ出ていたという事か。

「ちなみに、先程のようなレベセス=アーグの行動は非常に危険です。

 もし瞬間的に『洞』のバランスが崩れ、『洞』同士の接続が切れてしまった場合、先程のような体の部位を別の所に残してしまうと、その部分が切断されたような状態になってしまうので、注意が必要です」

「……それは、レベセス殿の手首だけが向こうに残り、鋭利な刃物で切断されたような状態になる、ということですかな?」

 イン=ギュアバは、テマの問いに頷いた。

「この術では、作られた『洞』を早く通過する必要があります。

 ……それと、『洞』の距離ですが、厳密にはわかりかねますが、重要なのは距離よりも『洞』の設置先の環境をどれだけ把握しているか、という事になるようです。ほんの僅かのエネルギーの揺らぎがあっても、『洞』の成立は難しい。

 物理的な距離ではなく、そこに『洞』を発生させた瞬間に、エネルギーバランスが崩れるようであれば、大規模な爆発と共に『洞』は霧散します。

 あの神々が行なった術式は、流石『神』だと言える内容でしょう。『洞』を発生させる場所を限定し、その部分のエネルギーの流動性を一時固定しました。所謂安定した状態になったわけです。私が作った『洞』に魔法陣のような絵柄が浮かばないのはそのせいなのでしょうね。

 帝国イン=ギュアバでも召喚術を転用した移動道具術はありましたが、かなり不安定なシステムであり、更に高エネルギーを必要としたため、安価では実現できず、国民の移動や物資の輸送という点では、ほぼ意味を成しませんでした」

 レベセスは、イン=ギュアバの説明を受けて、少し考え込む素振りを見せたが、納得したように頷いた。

 何かわかったのか? という問いに対し、レベセスは答える。

「もし、先程の黒水晶の術を、ある程度我々のコントロール下に置く事が出来た場合、対『巨悪』にどの程度戦術として組み込めるかを考えてみたのだがね、まあ正直あまり使い道はなさそうだ」

「そんなものなのか? いろいろ用途がありそうなものだが」

 ヒータックは不思議そうな表情を浮かべた。

「……逆に、『巨悪』という存在が、あの女神様達にとっての更に高次の存在だとするなら、我々が思いつき、実現可能な内容ならば、当然実行に移してくるだろう。

 『洞』を使っての遠距離攻撃は勿論の事、事前に我々の誰かに対して、『巨悪』の手下を予め送り込んで、こちらに『巨悪』が到着する前に戦闘を開始した上で、制圧を完了させるか、それに近い状態まで戦局を決定づけておくとかするだろうな。

 あるいは、時間と距離を無視して、『巨悪』自らが出現してもいい。

 だが、奴がそれをやってこないという事は、実際は技術的に不可能なのか、或いはこちらの女神様か、それよりも高次の存在が妨害してくれている、という事なのだろう。

 やはり、残された後二年半ほどの時間を使い、『洞』を使った攻撃以外で『巨悪』に対抗する手立てを幾つか見繕っておかねばいかんということだろうな」

「完全な検証は行なっていないので、断言はできませんが、十中八九間違いないであろうと思われる現象があります。

 様々な国家に堕ちたとされる『黒い稲妻』。

 この黒い稲妻こそ、『洞』を通過してきた『魔』の覚醒のエネルギー。はるか上空で環境が安定している箇所に『洞』を作り、そこから対象者に『黒い稲妻』を落とし、『巨悪』の配下を増やそうとした行為の結果です。

 今までその現象の結果、『巨悪』の意図通りに動いている『魔』の配下は、皆さんがご存じの女性、ギラ=ドリマと『神闘者』を名乗るあの男だけですね。現時点でギラという女性と『神闘者』が行動を共にしているかどうかは不明ですが」

 ……成程。

 カタラット国の会議の場に、一つの大きな納得が落ちた。

 『国家連携』のホストたちは、皆『黒い稲妻』に悩まされ、傷つけられた人間ばかりだ。特に、スサッケイは主ゴウ=ツクリーバを『黒い稲妻』で結果的に失っている。

 あの原因不明の不思議な現象に、何となく説明が与えられる事で、失った者を受け入れられず未消化なままだった心が、形はどうあれ収まったという印象は拭えない。

 暫くの沈黙の後、この席では最年長のテマが口を開き、それぞれの追憶の時間の区切りとなった。

「……だが、イン=ギュアバ殿が我々の移動に手を貸して下さるというのは、朗報だな」


 レベセスとヒータック、テマは移動の準備を始める。

 スサッケイは、『国家連携』のホストでありながら、カタラット国の為政者であり、公務もある為、やはり残ることになった。

 更に一日の準備期間を経て、三人のホストはドレーノへと旅立った。

書いているうちに問題がどんどん出てきてしまい、それをクリアする案を書いているとちょっと冗長になりそうなので要注意ですね。

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