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Blood  作者: 緋
7/7

Discovery

 セアが電話を切ってしばらくすると、政府から処理班が到着した。完全防備の防護服で、はたから見るとあからさまに怪しい外見に、クロエは思わず息をのんだ。

 彼らは、どうしても好きになれない。自分がもし処理対象だったら……そんな根拠のないどうしようもない不安に駆られてしまう。簡単にいえば、気分が悪い。

「クロエ」

 一瞬息が止まった。冷や汗が頬を伝う。

 その声がセアのものだと分かった瞬間、緊張が嘘みたいにほぐれた。

「大丈夫かい?」

「……はい、すいません」

 セアは小さく微笑むと、現場を片付けている処理班を横目に小さな路地に向かった。その後を小走りで追いかける。ふと見た腕時計は、午前七時十分過ぎを指している。一般人が活動を開始する前に片付けないと、面倒なことになる。

「軍長、やっぱりあれは……、っ」

「クロエ」

 セアは、突然振り返ったかと思うと、クロエの頭に手を置いた。身長170センチないくらいの自分が、180センチの男に見下ろされると流石にビクッとする。

 何をされるのかと硬直していると、ぽんぽん、と頭をたたかれた。

「二人でいるときくらい、普通にしてていいのに」

「……」

 分かってる。意味は、理解できている。でも、あくまでも上司と部下という立場がある。この人と一緒にいると、普通でいる方が違和感がある。彼がそれを望まないということは、分かっているのだが。

「……まぁ、追々かな?」

 セアは頭から手を離し、いつもの笑顔で微笑んだ。その言葉に、表情に、罪悪感を覚える。

「さっきの質問、犯人のこと?」

「あ、はい。やっぱり……“妖魔”、ですか……?」

 セアは突然踵を返して歩き出した。慌ててその後をついていく。細い道を時折曲がりながら進む。不思議なことに、一片の迷いなく。 

 何か、あてでもあるのだろうか。

「多分、ね」

 短く答え、尚も迷わず進んでいく。

 “妖魔”とは。

 俗にいう化け物のことで、お化けだとか幽霊、妖怪なんかと呼ばれることもある。その実態を知る者は政府でも上層部の人間や、ごく一部の一般人のみだ。

 いわゆる、“政府内機密”である。

 妖魔は人間に憑りつくことでその力を増していく。つまり精神的なものを好むのだ。妖魔に憑りつかれたら初期段階では引き剥がすことができるが、それを過ぎるとゲームオーバー。そのまま妖魔に取り込まれて、その存在がこの世から抹消される。

 政府は、そうなる前に妖魔の早期発見、駆除を行わなければならない。この世界の政府が政治の監視しか行わないのは、この為なのだ。

 しかし――。

「クロエ、危険だと思ったら、逃げろ」

「え……。ッ!?」

 いつの間に広い道に出ていたのだろうか。いや、そんなことより。

「よ、妖魔……っ」

「全く……」

 顔に影がかかる。上を見上げると、想像もしないような化け物が、そこにいた。

 冷や汗が伝う。その感覚が鬱陶しい。

 セアは彼らしくない、僅かに動揺した様子だった。

「調子の悪いオジサンを、是非とも労わってほしいもんだね」

 

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