プロローグ
西暦2018年。今の日本では新たなプロジェクトが秘密裏に蠢いていた。
それは、日本を再生させることが目的であり、対象者は高校生である。
選ばれた高校生が、ある試練に参加させられる。そして、その中から、より優秀な人材を確保する。それが、このプロジェクトの大まかな内容だ。
これを、JAPAN REBORN PROJECT 通称JRPと呼ばれている。
教室は静寂の渦に呑まれ、重たい空気が流れている。誰もが、この空間から逃げ出したいと思いながらも、どこか安堵のため息を漏らすものが多くいた。
しかし、1人の少年は人生が終わったとばか
りに、うなだれるのだった。
「このクラスの代表になったのだから、精々頑張れよ。神谷は成績も優秀だから大丈夫だよ」
教壇から担任が、神谷という生徒に励ましの言葉を述べる。担任の声は震え、まったく勇気づけられるようなものではなかった。
先程の少年は担任の言葉を聞き、無性に腹立たしくなり、勢いよく立ち上がる。
「俺はあんたらのように、怯えてなんかいない。だから、先生の言葉なんて、何の意味もなさない。俺は生きる」
少年は教室に流れていた重い空気を、払いのけるように言った。
少年の名は神谷悠里。一学年トップの成績を叩き出す優等生である。
放課後の体育館といったら、バスケットボールが床を叩きつける音、バドミントンのシャトルが打たれる音、要するに騒がしいものだ。
だが、今日は、そのどれもが聞こえない。
人が呻く声、泣き叫ぶ声、狂ったように吠える声。何か不自然な光景が広がっていた。
広い体育館に集められた20人。彼らに特別な共通点があるわけではない。成績優秀なものから劣等生まで。学年も様々。
だが、彼らは皆、これから何が行われるかは理解している。だからこそ、自分自身を勇み立てなければ、やっていけないのだろう。
ステージの上に黒い人影が現れる。彼らも気づき、自ずとステージの周りに集まりだす。
「君たちは選ばれた。それは、とても光栄なことでもある。ここで、生き残れば、将来のキャリアは期待してもいいだろう」
黒服の男は淡々と述べる。
「ルールを簡単に説明しよう」
それから、黒服の男が説明した内容はこうだ。
1、まず、生き残ること。
2、5人一組であること。
3、試練は5つあり、5人がそれぞれ、1つの試練に参加すること。
4、あくまで、団体戦であること。
5、生き残っている人数が多い、グループが勝利する。例え、生き残っていたとしても、団体戦で負けた時点で、死が決まる。
6、トップのグループの生き残り人数が同じである場合のみ、複数のグループが勝利することもある。
これが、ルールだ。結局、負ければ死ぬ。これが、今の日本が作り出した制度だ。
選ばれれば、もう逃げることは出来ない。現在の日本では、高校を生き残れば、何とかなるという風潮があるくらいだ。
「では、今からグループを発表する」