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天蓋の眠り姫
カツカツ・・・
どこまであるのか分からない長い長い螺旋階段。
入口からずっと吹き抜け状態の塔の中。
その最上階には美しい娘が、何百年もの間眠ったままだという。
男が一人、規則正しい靴音を響かせて登っていく。
最上階と思われるところに一つの扉。
そして、取っ手には無数の茨。
少し触れただけで、男の指はあっという間に赤く染まった。
ああ酷い・・・
男はそうつぶやきながら、棘のある茨を掻き毟っていく。
やっと、扉を開くことが出来た時には、男の手は無数の酷い傷。
奥へと足を進めると、薄暗い部屋に一際目立つ白い陽光。
その光の下、天井から下がる天蓋の中に眠る一人の娘。
そっと近づき、絶えず出続ける血のついた手を娘の白い頬に塗り付け、不気味に笑う。
はじめまして、おひめさま―――――