その3
さて「逆上がり!!頑張るぞ!!」と叫んではみたがいったい何から始めよう?
俺が頭を抱えていると
「ピンポーン」
チャイムの音が聞こえた。
「はいー。ぢょっどまっでー。」
はて?誰だろう?俺は新聞の勧誘か何かかと思いながら玄関へと向かった。
玄関に着いたとき俺は訪問者が誰であるかすぐにわかった。
「神原!!どうした!!体調でも悪いのか!?逆上がりの特訓はどうした?」
熱血体育教師の高橋先生だ。
俺は玄関の扉を開けた、と同時に腕をガシッとつかまれた。
「さぁ!!いくぞ!!」
「先生、ちょっとまってくだざい、体調が悪いので今日も学校は休みま・・・」
「ばかやろう!!そんなヘナチョコ精神で逆上がりが出来るか!!ついてこい、デブ!!」
高橋先生は嫌がる俺を無理やり家からひっぱりだし、車に押し込んだ。
「ブォオォオォオオオオ!!」
150キロの俺を乗せた車はとても燃費が悪そうな鈍い音を立てて走り出した。
「先生・・・どこに向かっているんでずか?」
「・・・」
高橋先生は運転中終始無言だった。
「着いたぞ。」
終着地点は学校だった。
当たり前か、不登校の生徒が連れていかれる場所は学校しかないもんな。
「ついてこい。」
高橋先生は汗の滲む俺の二の腕をつかんで俺を誘導した。
行き先は教室ではなく体育館だった。
何故体育館に?俺は疑問に思った。