その39
「太志さんって、大きくて、やわらかくて、暖かくて、私、大好きです」
……何故私は逃げたのだろう? わからない。
気がついたら、クラウチングスタートの、姿勢をとり、パンチラを、サービスし、全速力で、逃げていた……のだ。
自分で自分がわからない。
こんなの初めてだ。
私は神原に渡された手紙を握り締めながら、学校から飛び出した。
神原から手紙を貰ったとき、正直嬉しかった。
この手紙を受け取って、屋上へ行き、神原の土下座をしかと見届けた後、「しょうがない、許してやるよ。」と言う。
そうすれば、また今までと同じ関係に戻れると思った。
そう思うと、いてもたってもいられずに、放課後まで待てずに、昼休みに屋上へ向かった。
鼻歌を歌いながら、スキップで階段を上った。
すると、踊り場に、神原がいた。神原は、転校生と、相撲をとっていた。
転校生が、神原を好きだと、言った。
そのとき、相撲をとっているのでは、なく、抱き合っているのだと、わかった。
そして、私の2段目を、転校生が、つまんでいることに、気付いた。
あれは、私の2段目なのに。
それを、見たとき、あまりにも、ショックで、その場に、しりもちを、つき、パンチラのサービスをした。
神原と、目があった、急に、頬が熱くなった、それと同時に、すごく、惨めな気持ちに、なって、涙が、でた。
そこからはあまりよく覚えていない。
気がつくと、走っていた。