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デブ、宙を舞う  作者: たこき
29/66

その29

まさに運命の出会いだった。

本来未成年が手にしてはいけないエロゲーム『ワンルームLOVE ~三つ巴の恋模様~』を俺は手にした。

どうやって入手したかって?

それは企業秘密ということで。

とにかく俺はその日以来無我夢中で『ワンルームLOVE ~三つ巴の恋模様~』をプレイした。

このエロゲーでは最初に3人のヒロイン達が登場するのだが、最初の登場時点で俺はトモ子に一目ぼれした。

トモ子は黒髪で純日本人をイメージさせる雰囲気を持っている。

顔は色白で小さく、鼻はとても低い。いつも微笑んでいてとてもおしとやかな印象の口もと。

その口から発せられる言葉の一つ一つに品があった。

俺は数ある分岐点でトモ子を選んだ。

他の2人のヒロインには目もくれず、とにかくトモ子だけを選び続けた。

トモ子は本当におしとやかでかわいらしくて欲のない凛々しい女性であった。

俺がトモ子にダイヤの指輪をプレゼントすると


「そんなものはいりませぬ。気持ちだけで十分でございまする。」


と丁寧に断った。

俺が弱音を吐くと


「そんなことではいけませぬ。わたくしはあなたの良いところをたくさん知っておりまする。あなたは素晴らしいお人でございまする。自分のことを信じてあげてくださいまし。」


と励ましてくれた。

俺はそんなトモ子のことをどんどん好きになっていった。

それと同時に俺は少しずつ元気を取り戻した。

俺は不眠不休でゲームをした。

そして長かったエロゲームもついに終盤を迎えた。

トモ子は俺と他のヒロインが事故でキスしてしまったところを目撃して俺のもとから去ってしまう。

そして、最後の3つの選択肢が俺の目の前にやってきた。



『トモ子を追いかける』

『このままアリサとキスを続ける』

『トモ子を信じて待つ』



俺は迷わず『トモ子を追いかける』を選んだ。

その結果俺はバッドエンドを迎えた。

誰もが一度は味わうであろうエロゲーの洗礼を俺は受けた。

正解の選択肢は『トモ子を信じて待つ』であった。

しかし、俺は二週目に入ることはなかったし戻るボタンを使うこともなかった。答えを知った上でエロゲーをやる意味はないと思ったから、あの時『トモ子を追いかける』という選択肢を選んだことを間違いだとは思えないから!!・・・その日以来、俺はエロゲーの戻るボタンとスキップボタンを使うことを封印した。

俺はこの気持ちを誰かに伝えたくてホームページ『2次元アイドルの館』をつくった。

そして、トモ子の魅力についていろんな人とネットを通して議論した。

俺は議論に夢中になった。

自分の気持ちを発言してそれに誰かが答えてくれるという環境は俺のことをさらに元気にした。

そんな感じで俺は完全に元気を取り戻し、ひきこもるのをやめて学校へと通った。


『俺には2次元という世界がある』


そう思うだけで少し強くなれた。

それに自分でつくったホームページを通して俺を必用としてくれるネット上の友達ができたことも俺の支えとなった。

これが、俺とトモ子との出会いの一部始終だ。


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