その24
ここからは皆さんもご存知だろう。
この後、俺と高橋先生はジェシカのフライングラリアットを後頭部に受けて気絶した。
それから数分後、俺は目を覚ました。
「イデェデデデ・・・」
俺はまだ痛む後頭部をさすりながら起き上がった。
「おい!!チビデブ!!お前今までいったいどこにいたんだよ!!し、しんぱい・・・したゴニョゴニョ」
俺の目の前にはジェシカと高志がいた。
ジェシカは頬を赤らめながら下を向いてゴニョゴニョ言っていた。
「もじがじで・・・心配しておでのこと探じてぐれだのか?」
俺はジェシカにたずねた。
もし、俺のことを心配して探してくれていたのなら・・・正直少し嬉しく思う。俺は「そうだよ」という言葉を期待してジェシカの言葉を待った。
「・・・お前のことなんか誰が心配するかぁあぁあぁああああ!!!!!!身の程を知れ!!このデブ!!」
ジェシカは急に立ち上がり俺のことをデブ呼ばわりしてきた。
「じゃあおめぇごの店に何じにぎたんだよ!!」
「そ、それは・・・こ、このガリノッポとdateしてたんだよ!!そしたらたまたまお前がここにいただけだよ!!調子に乗るな!!」
「じゃあ何でおでにフライングラリアットをじたんだよ!!おでのことなんが気にせずにデートを楽しめばよがっただろ!!」
「Shut up!!黙れこのデブ!!!オラッ!!」
ジェシカは俺の三段腹の二段目をムギュっとものすごい強い力でつねり、さらにはひねりを加えて痛めつけてきた。
「いででででええでででででええええええええ!!!!離ぜ!!こんぢぐじょう!!」
俺は短い手を必至に振り回して抵抗した。しかし、俺の攻撃は向かいの席に座っているジェシカまで届かなかった。
「太志―、ジェシカさんー、喧嘩はやめてくださいー。」
高志は一人あたふたしていた。
「ムキィーーー!!!」
俺の怒りは頂点に達した。
「おめぇ、高橋先生から聞いだぞ!!おでがプールで溺れたのはおめぇのぜいらじいじゃねぇーが!!許ざんぞ!!」
突然、ジェシカは黙った。
「・・・何の話?私のせいであんたがプールで溺れたっていうの?」
「とぼけだってダメだぞ!!おめぇ、高橋先生をキスで誘惑じて俺の逆上がり特訓を手伝うように命令じたんだろ!?」
「あんたそれ本気で言っているの?高橋先生がそう言ったの?それをあんた信じたの?」
ジェシカがとても冷たい口調で言ってきた。
「キスで人を誘惑ずるなんでほんど最低だな。」
俺はジェシカの目を見ずに言った。
「パン!!」
突然、頬を叩かれた。
「最低。あんただけは他の人とは違うと思っていた。噂や見てくれだけで判断する他の人とは違うと思っていた。・・・あんただけは偏見なしに私を見てくれる人だと信じていた!!」
そう言うとジェシカは駆け足で店からでて行った。
気のせいだろうか?ジェシカの目にはうっすらと涙が浮かんでいた様に見えた。
「太志、お前最低だよ。ジェシカさんは一日中、いや1週間ずっとお前のこと探していたんだぞ。見損なったよ。」
高志は強い口調でそう言うとジェシカの後を追って店からでて行った。
この日俺は親友を失った。
「・・・」
俺はどうしていいのかわからず数分間ただうなだれた。
そしてとりあえず目の前にあったイチゴ&チョコレートのチョモランマパッフェを食べた。
とても甘かった。何故か涙が目から溢れて止まらなかった。