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デブ、宙を舞う  作者: たこき
12/66

その11


「先生、これを見てくださいー。」

僕は神原がつい先ほどまでここにいた証拠を先生に見せた。

「何だこれは!?ここだけ壁の色が違うじゃないか!!」

「きっとー、神原は暑かったからーヒンヤリとして気持ちいいこの壁にー引っ付いていたんですよー。」

見事に人型の水滴のついた壁。

これだけ大量の水滴、もとい汗の持ち主は太志以外には考えられない。

それに高さもちょうど僕の腹くらいの位置だから太志の身長とも一致する。

さらに言えば横幅も僕の倍ほどあるから間違いなくこの汗は太志のものだといえる。

「とにかくこれが神原のものだとしたらそう遠くへは行ってないな。」

「僕のー推理ではー・・・・」

高橋先生は僕の推理を最後まで聞かずに行ってしまった。

僕の推理は、というか太志の性格から推測すると、とにかく太志は動くのが嫌いだからそう遠くへは行っていないということだ。

家、学校、近所の公園あたりを探せばすぐに見つかると思う。

もしかしたらまだこの病院にいるかもしれない・・・いや、もしかしたらじゃなくてきっと太志はまだこの病院にいるな。

僕は何故だか知らないがそう確信した。

「太志ー。太志ーどこだー。」

僕はとりあえず病院内を探した。

しかし、なかなか見つからない。

あんなに大きい肉団子がこれだけ探しても見つからないなんて・・・やっぱり病院内にはいないのだろうか?まぁ、そのうち「お腹ずいた」とか言ってヒョッコリとひょっこりひょうたん島のようなお腹とともにあらわれるだろう。

そう思った僕は家に帰ろうと思い、病院の玄関口へと向かった。

「あ!!そこのでかいの!!あんた神原の友達でしょ?」

突如声をかけられて僕は驚いた。

「あ、はいー。そうですけどー・・・」

しかも声をかけてきた相手があの学園のアイドル、ジェシカさんだったので僕はさらに驚いた。

それにしてもジェシカさんは何で僕と太志が友達であることを知っていたのだろう?

学校ではほとんど太志と一緒に行動していないのに・・・

「あのデブ、入院したってほんと!?どこにいるの?」

ジェシカさんは万歳するように僕のむなぐらを掴んでそう言ってきた。

「た、確かに入院したんですけどー・・・」

「けど!?どうしたの!!何があったの!!」

ジェシカさんは俺の胸板に向かって頭突きをしながら叫んだ。

「逃げましたー。」

「逃げた?」

「はいー、高橋先生の逆上がり特訓があまりにも厳しくて逃げ出しましたー。」

「特訓が厳しくて逃げた・・・」

ジェシカさんは僕のむなぐらから両腕を離すとうつむいた。

「あのデブゥゥウウウウ!!!!おい!!ガリノッポ!!」

「はい!!」

ジェシカさんは突如僕のことをガリノッポと呼んでにらみつけてきた。

「あのデブを探せ!!生死は問わない!!とにかく見つけ出せ!!」

「ラジャー!!」

僕はジェシカさんの命令により強制的に太志を探すはめになった。

まぁ、どうせすぐに見つかるだろうからいいかぁ。

そう思いながら僕は病院から一番近い公園へと向かった。

しかし、太志は見つからなかった。

『まぁ、明日家か学校を探せばすぐにみつかるだろう』そう思った僕はその日は何とかジェシカさんをなだめて帰宅した。

しかし、僕の予想とは反して太志は六日間見つかることはなかった。


太志が消えた六日間の一日目、僕は太志の家に行ってみた。

しかし、家にはいなかった。


二日目、学校をくまなく探してみた。

しかし太志は見当たらなかった。


三日目、めんどくさくなって探索はしなかった。

この日、太志の担任の先生である唐沢先生から「神原が3日も学校を休んでいるんだけど、心当たりはないか?」と聞かれたので事の全てを話した。

すると昼休みに「高橋先生は今すぐ唐沢のところまで来てください。

もし、こない場合は・・・殺す。」という放送が流れた。

それを聞いてクラスが盛り上がった。


四日目、この日は前から予約していたエロゲー『ハラハラ!!ドキドキ!?そのハラドキはほんとに恋?』の発売日だったので太志のことは完全に忘れていた。


五日目、「神原―!!神原どこへ行ったんだー?でてきておくれよー。グスン、俺が悪かったよー。」

高橋先生が泣きながら神原を探していた。

きっと唐沢先生にものすごく怒られたのだろう。

僕は「神原が行きそうな場所を知らないか?」と高橋先生に聞かれたので、「知りませんー。とりあえずー、病院と家と学校は調べましたー。」と言った。

すると高橋先生は「病院・・・明日行って見るか。何か手がかりがあるかもしれない・・・」と呟いて去っていった。


そして六日目、この日はジェシカさんと一緒に町中を探した。

けど太志はやはり見つからず夕刻を迎えた。


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