部活動5 迷いの進路
疑心暗鬼により、部活をやめることになってしまう白井真子。やめるのはいいがこの先どうすればいいのか考えていなかった。
そこで友達の堀川ルミに相談をのってみるが‥‥‥。
ー最低っ!やめさせられるくらいなら、こっちからやめてやるわよ!
「言ってやった。これで私は雑用されなくていいんだ。そう私は心の中でそう思っている。そうよ、本当は私料理なんてあんまり好きじゃないし。お父さんとお母さんはいつも忙しいし健太の面倒も見ないといけないから、し‥‥‥仕方なくやってるだけんだから!」
私は独り言を言いながら長い廊下をせっせと歩く。
先輩にやめてやるってあんなこと言っちゃったけどこれからどうしよう‥‥‥。なにも考えてなかった。
後先のことを考えないで行動するのは私の短所である。そしてこれからどうしようか私は考える。そのとき私はあることに気づいた。
退部届を出していないということを。
「あぁ、やめる前に退部届提出していなかったわ。退部届部室にあるのに‥‥‥」
私は大きく溜め息をした後に仕方なく部室に戻り、退部届を取りに行く。
部室に入るとそこには部活動をしている天野先輩の姿があった。天野先輩は微笑ましい顔で私を見る。
「白井さん。戻ってくる気に‥‥‥」
「勘違いしないでよ、部活の退部届を取りに来ただけだから!」
「‥‥‥」
私はキツイ目で天野先輩を睨みながら、部室を出る。
自分の下駄箱に入っているローファーに履き替えようとすると、クラスメートのルミちゃんが駆け寄ってくる。
「真~子ちゃあん!」
「堀川さん‥‥‥」
「私ねこの前部活見学して気に入った部活があったんですよ」
「へぇそうなんだ、よかったね」
堀川さんはまだ部活に入っていないためいろんな部活を見学している。やっと堀川さんの気に入った部活が見つかったんだね。
私は堀川を激励する。
「それでね真子ちゃんが入ってる製菓部にも興味があってね、そっちも見に行こうかなと思っているんだけど今度見学しに行ってもいいですか?」
「だめっ!」
「!?」
思わず大声で言ってしまい、堀川さんは驚いた。
「ごめん、急に大声を出しちゃって‥‥‥」
「いいよ気にしないでください。ところでさっきのだめってどういうことなのですぅ?」
「実は‥‥‥」
私は今の状況を堀川さんに説明した。
「あちゃ~そんなことがあったのですか。まさか私の予感が当たるとは思いませんでした」
「まだわからないんだけど、一体どうすればいいのかな?」
「やめればいいんじゃないですか?」堀川さんは即答した。
「え?」私は堀川さんが即答したことに戸惑いを隠せなかった。
「自分がやめたいのなら素直にやめて別の部活に入部すればいいのです」
「そうかな‥‥‥」
私はおおきく溜め息をする。
「大丈夫だですよ、真子ちゃんならどんな部活でもやっていけますよ!」
堀川さんは必死で私を励ます。私のこと心配してくれている堀川さんの励ましを応えなければならない。じゃないと私のマイナスオーラが堀川さんにまで影響を及ぼしてしまう。ここは笑顔でいないとと私はにこっと笑う。
「うん。堀川さんありがとね」
「気にしないでください。困ったときはお互い様ですから、遠慮しないでいつでも私に相談にのってくささい」
「うぅ‥‥‥本当に‥‥‥ありがとう‥‥‥グスッ」
私は涙が出ないように堪えていたがとうとう限界がきてしまい、涙を流しながら堀川さんに抱く。
「よしよし今のうちに涙をたくさん流してください」
「うん‥‥‥うわぁぁん!」
私と堀川さんはしばらくその場に留まり、涙を流し終えるまでルミちゃんは一向に動こうとせずずっと私を抱いていた。
こうして夕暮れまで続きようやく涙が止まり、二人は横に並んで一緒に下校をする。
「よかったねぇ真子ちゃん」
「堀川さんあのさ、このことは他の人たちには内緒にしてくれない?」
私は顔を赤面しながら堀川さんにお願いをする。
「えぇどうしてですか?涙を流したこともですか?」
「な‥‥‥ななな涙!?違うもん、あれは汗だもん!今日はやけに暑かったのよ。私がいつ涙を流したっていうの?」
堀川さんは黙り始めて考え事をした。
「じゃあさっきのことは全て水に流すということにしましょうか。ね?」
堀川さんは私に可愛くニコっと笑顔を見せる。
「まぁ、堀川さんがどうしてもっていうのならそういうことにしてもいいわよ‥‥‥」
私は目を閉じてぷいと横を向く。その姿を見た堀川さんはクスクスと笑う。
「ちょっと堀川さん、どうして笑うのよ!」
「フフフ真子ちゃんカワイイ‥‥‥」
「えぇ?今なんて言ったのよ?」
「なぁんでもないです♪」と堀川さんは答え、私を走り抜いた。
「ちょっと!なんでもないってなによ?待ってよー!」
「ハハハ」
私は堀川さんと一緒に帰るはずが追いかけっこになっていた。そして二人とも笑うようになった。
堀川さんのおかげで悩みを打ち明けることができ、さらに私を笑顔にさせてくれた。
堀川さんから元気をもらったおかげでもう大丈夫。明日からまた人生をやり直せばいい。
翌朝早出をした私は部活の朝練の様子を見学すると、一人の教師が話しかけてきた。
「おう白井じゃないか」
「あ、高橋先生。おはようございます!」
この人は高橋 雅先生で今年私のクラスの担任をしていて、ちょっと厳しいけどとても綺麗な女性教師である。
「しかし白井、こんなところでなにをしているんだ?」
「部活見学をしているんです」先生に対して大きな声で答える。
「見学?おまえ今部活入っているんじゃなかったっけ?確か‥‥‥製菓部に」
さすがに私が入部してる部活を知っている。でも今は違う。これは良い機会だと思った私は高橋先生に部活のことを話した。
「何ぃ、製菓部をやめるだってぇ!?どうして突然。入部してからまだ一週間しかたっていないのに」
「すみません先生!こんなわがままな自分を許してください!」
私は部活をやめたことを高橋先生に深く謝る。
「はぁ‥‥‥、しょうがない子だねぇ」
高橋先生は頭を掻きながら呆れたなというような表情を見せる。
「なぁ白井」
「は、はい!」
「おまえそれでいいのか?」
「え?」
高橋先生の目つきが変わり、いつもノリノリな感じが急に雰囲気までもが変わった。
「だから、おまえは本当にそれでいいのかと聞いているのだ」
「そ、それは‥‥‥」
高橋先生の表情が怖くて口から言葉が出せないだけでなく、製菓部をやめてそれでいいのかと聞かれた後の返す言葉がない。
すると高橋先生はゆっくりと手を私の肩に乗せてきた。
「いいか白井。部活をやめる理由はいくらでもあるしこれまで私は部活をやめた子をいろいろ見てきたさ。自分に合わない、つまらない、先輩や同じ部活の人たちからいじめられるなどという理由で部活をやめて以来他の部活に入ろうとせずに帰宅部になったやつらはごまんといた。白井にもやめる理由はあるかもしれないが、だがこれだけは言わせてもらう。一度部活を入部したからには最後までやらなければならないんだ。おまえはもう高校生なんだからそこのところはわかるな?」
「はい。3年間部活をやることです」
「そうだ。高校3年間部活をやりとおせば、大学へ進学するための第一歩に繋がるんだ」
そう今の私は高校生。後3年で私も社会の仲間入りになり、さらに大学へ行くか就職するかで私の人生がおおきく変わっていく。でも‥‥‥、
「‥‥‥」
「はぁ‥‥‥まっ、まだ一年生だし入ったばかりだからまだ間に合うよ。そう落ち込まないの♪私が泣かしたように見られるんだから」
「す、すみません‥‥‥」
まただ‥‥‥。もう泣かないって決めたのになぜかかってに涙が出てしまう。
「おい白井本当に大丈夫か?」
高橋先生は泣いている私を慰めようとする。
しかし私は自分の腕でこぼれている涙をごしごしと拭く。
「大丈夫です先生!ご心配をお掛けしましてすいませんでした!」
「そっそうか、大丈夫ならいいのだが‥‥‥。まぁとにかく部活選びは慎重にな」
高橋先生は私にそう捨て台詞を残して職員室のある方向へ行った。
やっぱり私がやったことは自分の首を絞めているようなものだからね。私ったら自分勝手だなぁ。
すると、突っ立っている私の姿を見たジャージの服を着ているいかにもスポーツ系の先生な人に声をかけられた。
「そこの君どうしたの?見かけない子だね」
「えっえ~と‥‥‥」
「あ、わかった!さては部活見学者だね。いいだろう我が部に案内してやろう!」
「ああの違うんです。ただここを通りかかっただけなので‥‥‥し、失礼します!」
私は急ぎ足でその場を後にする。
仕方なく私はもう少し考えようとまた出直すことにして、自分の教室へ向かう。
こんな時間だからルミちゃんや他のクラスメートたちもまだ教室にはいない。時間がくるまでのんびりしようと教室の戸を開けるとなんとそこにはあの教頭先生がいた。
「あら、白井さんではありませんか」
「きょ、教頭先生!」
「そんなに驚くことはないのではありませんか?まるでこの世には存在しないものがいるかのような目をして」
それは驚くのも無理はない。なぜなら、本来滅多に生徒の教室を訪れないはずなのにこの場にいるから。
「教頭先生はどうしてこの教室に‥‥‥。なにか用があるのですか?っていうかどうして席に座っているのですか?そこは私の席ですよ!」
「べ、別に大した用事はありません。ただこの席から見れる町の景色が綺麗ですなと思っただけです。部活をしている生徒たちの様子もこの目で見られますしね」
「ここは一階です!この窓から町の景色は見れません!」
全く教頭は本当に嘘をつくのが苦手のようだ。
「あら本当ですねぇ。私ったら老眼鏡をかけていませんでしたわ」
「わかったなら私の席から降りてください。私が座れませんから」
「いやです。私はまだこの席が気に入ったのでもう少し座らせていただきます」
これはどう見ても私に喧嘩を売っているみたいなものだ。力ずくでもどこうとすると、教頭先生はすぐに席から立ち上がった。
「もういいです。これ以上あなたの席に座ってしまうとあなたと同様におバカがうつってしまいますのでこれで失礼します」
ようやくどいてくれた。さすが教頭先生だ話がわかるお人だ。暇つぶしに1時間目の授業科目を準備をしようと鞄から取り出し、机の中に入れようとすると、机の中になにかがあたっていた。
なんだろう。中になにか入っているのかと探ってみると口紅がでてきた。
「あーっ!白井さんなんですかそれは?な、なんと口紅!?あなたという人は学校でお化粧をしているのですか?まぁはしたない!汚らわしい!これは今すぐにでも退学させるべきです!」
「ちょっとそんなにいっぺんに言わなくてもいいじゃないですか!しかもこれは私のではありません!」
しかしよく見るとこの口紅には「K.S.」と書かれている。なんだこれは‥‥‥。ひょっとすると頭文字をとってつけたものなのだろうか。となるとこの口紅の持ち主と考えられるのは‥‥‥、
「教頭先生、これ先生のでじゃないですか!」
「な、なんのことでしょう?私そんなもの持ったことありませんわねぇ」
「自分で鏡を見てくださいよ!思いっきり唇にこれと同じ色しているじゃないですか!」
「ちっ!バレちゃいましたか‥‥‥。紛れもなくそれは私の物です。さっさとお返しなさい」
教頭先生は私の手に持っている口紅をすばやく取った。
「どうしてこんな真似をするんですか?」
「きまっていることでしょう。あなたをこの学校から追放するためです!」
「どんだけ私のことが嫌いなのですか?」
「あなたが嫌いです。最も嫌いです!」
この人本当に言っちゃいけないことを口にしたよ。私が一体教頭先生に何をしたというのだろうか‥‥‥。
そして教頭先生は話題を変えてくる。
「あなた、製菓部をやめようとしているのでしょう?」
「!?どうしてそのことを‥‥‥」
「私の耳はこの学校のあらゆる情報が集まってきているのです。勿論あなたのことも全てお見通しです」
どうして教頭先生がそんなことを知っているのかは大体見当はついている。おそらく私と高橋先生の話を盗み聞きしているか。あるいは、高橋先生からその話を聞いたかどちらかだろう。
「全くあなたときたらなにが廃部させないでくださいですか。三日坊主じゃないですか」
「そ‥‥‥それは、」
「そんな口から出任せするような人はさっさとこの学校から出て行けばいいのもです」
「‥‥‥」
「退部届は持っていますね?提出期限は明日の放課後までとします。あの人に最後のお別れの挨拶でもしていきなさい」
教頭先生はそう言い残して教室から出て行った。
すると教頭先生が出て行った後に堀川さんが教室に入ってきた。
「真子ちゃんどうしたのですか?さっき教頭先生が教室から出たの見たんですけど」
「な、何でもない‥‥‥」
「でも‥‥‥」
「本当に、なんでもないの‥‥‥」
教頭先生の言うとおり私はあのとき私は製菓部を廃部しないでと土下座までしたことあった。おまけに私は中学生時代では女子のなかでは最強のスポーツマンとして生活をおくっていた。
そんな私がどうして陸上部などのスポーツ系の部に入らず製菓部という部活に入ったのだろう。
あのとき私が堀川さんと一緒に部活見学をしたときのことを思い出す。
天野先輩を見てそれから先輩のことで頭がいっぱいで離れられなかったことがあった。
私は恋愛ということに関してはあまり知らないし、好きな子と一緒に遊んだりしたことはせいぜい小学校のときぐらいである。
やはり私は天野先輩に恋をしているのだろうか。
う‥‥‥嘘‥‥‥よね?
私は顔をカァッと赤面してしまう。
「どうしたんですか?顔が真っ赤ですよ。保健室に行きますか?」
「ふぇ!?そ、そうね。熱があるかも‥‥‥。ちょっと保健室行って来ようかなぁ」と私は保健室へは行かず、近くの洗面所へ向かう。
頭を冷やそうと顔を洗い、これからどうしようか考える。
お久しぶりです、ゴキポンです。今度こそやるぞと思ったらもうあれから2ヶ月が経ってしまっているではありませんか。
月日が経つのは本当に早いものですねぇ。
私も過去に部活を途中でやめたこともあるんですが、今思えばやっぱり続ければよかったなと思ったこともありました。
やっぱり、部活は続けるものだなと自分も思っております。
後ブログを作りました。
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