部活動4 早くも私、部活退部!?
製菓部が廃部を免れてから何日か経過し二人で部活動をしていたある日、真子はいつになったら部活動をさせてくれるのかと聞こうとするが、天野先輩の様子がおかしかった。
友達の堀川さんに相談をするがその話を聞いて真子は疑心暗鬼となる。堀川さんが言ったこととは‥‥‥。
校長先生の説得により、製菓部は無事に廃部にならずにすみ、これで天野先輩はこれからも続けられるようになった。
そして私もこの春から製菓部の新入部員となった。
あれからまだ5日しか経っていなく、未だに部員は増えず私と天野先輩の二人だけで部活動をしている。
天野先輩はとても嬉しいのかなんだかこの前私が初めて会った時よりいい笑顔をしている。生徒会からもほんのわずかだが部活の予算をもらっている。
昨日もらった予算がたったの1500円。これだけでどうしろっていうのよと思った。これじゃあ安月給なところでバイトをしているのとなんら変わりが無い。
美紗姫学園は基本的にバイトは禁じられているが、私は事情があって今特別にバイトをしても良いと学校から許可を得ている。
さらに私は気になっていることがある。
それはいつになったら私にお菓子を作らしてくれるのかということである。
この前何を作っているのですかと天野先輩に聞いてみたが、その質問には答えてくれなかった。
気になってしょうがない‥‥‥。もう一度同じ質問をしてみる。
「あのう、天野先輩。聞きたい事があるんですけどー」
「白井さん、その道具僕が洗っておくから君は帰ってもいいよ」
「えっ、ちょっと‥‥‥」
「じゃあね、また明日」
天野先輩は私の話を無視する。
「‥‥‥分かりました。失礼します」
もうこれ以上聞いても無駄だと思って諦めた。
私はいつも通っている廊下を歩きながら考える。
製菓部が正式な部活になってから天野先輩は私の話を無視し始めた。
しばらくそのことを考えながら無言のまま家に下校する。
「姉ちゃん、おかえりー!」
私は弟の健太のあいさつがまるで聞こえなかったこのようにそのまま部屋へ向かう。
「姉ちゃん?」
健太はきょとんとする。
「母さーん!姉ちゃんが無視する!」
「あらあら、きっと真子はあなたのことうるさいって思っているのよ」
「あーそっか‥‥‥って、何でそうなるんだよ!姉ちゃんはいつもあいさつを返してくれるんだよ!」
「確かにこの頃変なのよねぇ」
いつも私のことを思ったこともない母が珍しく心配をする。余計な心配だ。
食欲も取らなくなり、そのままその場を後にした。
翌日、堀川さんに相談をしてみる。
「へぇそうなの?真子ちゃんはその先輩の好みのタイプじゃないからじゃないんですかね?」
「よく分からないけどさぁ、製菓部の廃部を免れて次の日からずっとあんな調子なのよ」
すると堀川さんとんでもないことを言い出す。
「もしかして、真子ちゃんのこと用なしじゃないんですか?」
「え‥‥‥」
「だって、真子ちゃんが製菓部に入ったり、真子ちゃんの頑張りで廃部を免れたんですよねぇ。つまり、製菓部が正式な部活になってから、もう真子ちゃんは用はないということになるんじゃないですかねぇ」
「‥‥‥」
私は息を飲み、少しぞっと感じた。
天野先輩はそんなことを思っているの‥‥‥。いや、そんなはずはない。あんなに優しい天野先輩がそんなこと思っている訳がない。
私はそう信じながら、今日も部活をしている調理室へ向かう。
やはり今日も天野先輩はいた。
「こんにちわ、先輩!」
「やぁ、こんにちわ白井さん」
私が部屋に入ったらもうすでに部活動を行っていた。
「先輩!私の話を聞いてください」
「悪いけど今手が離せないんだ。後にしてくれないかな」
「じゃあ作業しながら耳を傾けてください。先輩は一体何をー」
「あっ、白井さんごめん!今日大事な用事があったんだった!」
天野先輩は慌てた様子でその場を去ろうとするが、私は逃げようとする先輩の腕を掴んだ。
「!?」
「どうして私から避けようとするんですか?」
「別に避けようとしたわけじゃないけど‥‥‥」
「もしかして私がここにいると迷惑なのですか?」
「そ、そんなことは‥‥‥」
天野先輩は私を見ずに目を逸らしている。あきらかに何かを隠しているような表情であった。
「ちょっと私たち同じ部活の部員なのですから、困った時は相談するものじゃないのですか?私は邪魔者なのですか?先輩は製菓部が復帰するためなら人をゴミみたいに扱うのですか?」
「な、なんのことを言っているんだか全く理解できないよ?」
「先輩は他の人を利用して製菓部が復帰したらその後おまえは用済みだって言ってすぐにやめさせようとするのですか?」
「ちょっと、白井さん。落ち着いて‥‥‥」
私の耳には天野先輩の声が聞こえていなく、涙がぼろぼろとこぼれていく。
天野先輩は腕を掴まれたまま暴れている私を止めようとするがそのとき、バチンッ!と天野先輩は平手打ちを受けた。
「最低っ!こんな部活やめさせられる前にこっちからやめてやる!」
「待って、これは何かの誤解ー」
私はすぐに部室から出て、涙を流しながら長い廊下を走り続けた。
そしてやがて我慢をしていたのか急に泣き始め、その声は学校中に響き渡った。
いきなり真子が部活をやめるという展開になってしまいました。でもまだまだ終わらせるわけにはいかないよ。なぜなら、始まったばかりなのですから‥‥‥。
次回のお話は誤解が解けるのであります。お楽しみ♪