部活動1 部活に入部‥‥‥そして部活が廃部!?
引き続き「春菓愁糖」をご覧下さい‥‥‥。
桜の木から桜が舞い上がっていて実にいい光景だ。左右を見渡すと桜の木がたくさんあって、一本道になっていて、学校まで桜吹雪で全然見えない。
私は白井真子。この春地元の学校「私立美紗姫学園」に入学した。この学校はととても綺麗で施設も充実しているという理由で希望をした。
「わぁ~、きれぇ」
私は歩きながら桜の景色を眺め続けて、しばらく歩くとやっと校門が見えた。校門に入ると大きな掲示板がありそこには新入生の名前が書かれてあってその隣に出席番号と組もあった。組は番号ではなくアルファベットで1組はA、2組はBというふうになっている。
私はD組と名前の隣に書いてあった。さっそく履いているローファーを下駄箱に入れ自分の教室に入る。
教室の中もとても素晴らしいというぐらい綺麗だ。
あ~、高校って最高!
私はあまりの感動でついつい踊ってしまう。でも周りには私以外まだ誰も来ていなかったので平気だった。
実は私は女子高生にはすごい憧れがあった。
小学生の頃学校を通学の途中で転んでしまい、あまりにも痛かったので泣き喚いた。
そのとき一人の女性が私の方へ近づいて来て声をかけてきた。
「大丈夫!怪我はない?」
こえをかけてくれたのは女子高生だった。その人は他の友達と一緒に学校へ行く途中で見つけた。
その女性は友達に先に行ってと伝えて、私の方に来たのだ。
「うっ‥‥‥、足が‥‥‥」
「足を怪我をしたのね‥‥‥。ちょっと待っててね」
女性は鞄から救急箱が出し、包帯と消毒液と丸い綿を取り出し怪我をした足を応急処置をしてくれた。
「少し痛いけど我慢してね」
「う、うん‥‥‥」
私は痛みをこらえ、女性は消毒をした後に包帯をきれいに巻いた。
「ハーイ、これでもう大丈夫♪」
さっきまで痛かったのが魔法をかけたかのように痛みが治まったのだ。
「学校の保健委員でバレー部のマネージャーをしているからいつも持っているの」
「わぁ、全然痛くない。ありがとうおねぇちゃん!」
「どういたしまして、それじゃあ私は学校へ行く途中だからそろそろ行くわね」
女性は私に手を振り、去っていった。
あぁ、あのとき最後に名前を聞けばよかった。
それから私は女子高生に憧れたのだ。小学生の頃のことだからとっくにこの学校を卒業をしている。新しい仲間となるクラスメート達も教室に集まり、体育館へ移動して無事始業式が終わった。
入学式の後といったら一人ずつでの自己紹介がなによりの定番でもある。
自分のクラスメートの名前を頭の中で暗記をする。そしてついに私の番が来て、教卓の前に立つ。
「白井真子です。よろしくおねがいします!」
お得意の元気な声で自己紹介をすると、教室中はたくさんの拍手をおくられ私は思わずニコッと自然に笑う。
自分の席に座ると隣にいる子に声を掛けられる。
「白井ちゃんってとても元気なんですねぇ」
「ありがとうよく言われるの」
「あたしは堀川ルミ、よろしくね」
「うん、こちらこそよろしく」
もう新しい友達ができてとても嬉しすぎのあまり思わずまた、クルクルと踊りだす。
私はクラス中の人たちに注目された。
「あ‥‥‥あの‥‥‥えっと‥‥‥」
もはや、口から言葉を吐き出せる状態ではなくて赤面する。
「クスクス白井ちゃんって面白い♪」
堀川さんが笑いそれに続きみんなも笑い出し、緊張感があった自己紹介の場の空気が一気に和んだ。
クラスの自己紹介が終わり、放課後に入る。
「ねぇ白川ちゃんこのあと一緒に部活見学しない?」
「いいよ、私もちょうど行こうとしたところなの」
スポーツ系の部活から見学をした。
「あたしスポーツ系はあんまり苦手なんです。白井ちゃんは?」
「中学の時陸上部に入ってたの。いつも体育祭とかでアンカーに選ばれるの」
「すごいじゃないですか!アンカーに選ばれるということは足が速いっということじゃないですか」
「まぁそうなんだけどね‥‥‥でも、本当は野球やサッカー部に入りたかったんだよね」
「そっか、その部活のマネージャーにはなれるけど実際にやらせてくれないですもんね」
私は堀川さんに中学の時のことや今の心情を話し、最後にその部活の様子を見た。
バドミントン部にバレー部、柔道部なども見学したけどなかなかこれといっていいなと思った部活は見つからなかった。堀川さんは体育系より文化系なので一緒にそっちの部活も見学した。
文科系の部活はスポーツ系よりたくさんあり、囲碁・将棋部に放送部などお馴染みの部活以外にここでは珍しい百人一首部や麻雀部などがあった。
「すごいわねぇ‥‥‥。ねぇ、堀川さんはもう入る部活決まってるの?」
「えっ?えへへへ実は‥‥‥、まだ決まってないんですぅ」
堀川さんは自分の頭部を軽く叩き「てへっ♪」と可愛く見せる。
しばらく長い廊下を歩いていると堀川さんはお手洗い行って来ますと言い残して慌てながらトイレに向かった。余程我慢をしていたのだろう。
私は堀川さんがトイレから戻ってくるのを待っていると、なんだか良い匂いがしてきた。とても甘い匂いだった。匂いを頼りに移動すると、目の前には「調理室」と書かれてあった。どうやらこの部屋からとてつもなく甘い匂いがする。よく見ると部屋のドアに隙間が開いていた。
入り口のドアに貼ってある張り紙には「製菓部」と書かれてある。
製菓部‥‥‥、私にとってはこれもまたとても珍しい部活であると思った。
どうも気になってしょうがなかったので、ドアをゆっくりと開けた。
流し台が10ヶ所あって、お菓子を作るときの調理道具がたくさん置いてある。しかも火をおこすときに使用するガスコンロではなく、電気で動くIHクッキングヒーターであった。さすがは私立綺麗だけではなく設備も万全である。私にとってIHクッキングヒーターというものは神みたいな存在だ。買おうとしても数十万かかる代物である。
もう少しここを調べてみようと思い調理室に入り探索を始める。
するとなにやら音が聞こえ、耳を傾けると水を出す音も聞こえた。そこには、誰かが作業をしていて、部活動をしているだろうと思いこっそりその人の方へ行くと、なんと一人だけであった。しかも男子であった。
私は我を忘れて、男子生徒が集中している様子をずっと眺めていた。
すると、その男子は私がいることに気づきこちらを見た。
「え、えっ‥‥‥と」
男子の目が合ってしまい、赤面してしまう。
「君、どこのクラスの子かな?」
その男子はとても爽やかな声をしていた。
「い、1年D組の‥‥‥白井‥‥‥真子‥‥‥でしゅ‥‥‥」
緊張のあまりいつもの元気な声が出なかったうえおまけに噛んでしまった。
「あぁ、じゃあ新入生だね」
「は‥‥‥はい」
一体どうしたということなのだ、いつもの私らしくない。これはもしかしてこの人に惚れてしまったというフラグが立っているのではないだろうか‥‥‥」
そんなことは有り得ない、私の好きなタイプはスポーツマンオンリーよ。別に彼がイケメンだから赤面したわけじゃないんだからね。
「白井ちゃんどうしたんですか~?」良いタイミングで堀川さんが来てくれた。
「い、いやなんでもない‥‥‥。し、失礼しましたー!」
大急ぎで部屋から出ていき、堀川さんは後を追った。
「どうしたんですか?お顔が真っ赤ですよ」
「そ‥‥‥そう?おかしいわねぇなんだか急に暑くてたまらないわ」
「‥‥‥?」
堀川さんは首を傾げたが笑って誤魔化した。二人で文科系の部活を見学して1時間経過した。
「どう堀川さん見つかった?」
「いや~、今のところはまだです。白井ちゃんは?」
それを聞かれた瞬間心臓がドキッ!?とした。
「わ、わたしもまだかなぁ‥‥‥。で、でも気になってる部活はあるけど‥‥‥」
「へぇそれはなんですか?」
「‥‥‥製菓部なんだけど」私は弱気で言った。
「製菓部?あぁ、白井ちゃんがあの時入ってた部屋ですね。お料理とかするんですか?」
「いつも家事の手伝いをやってて、そのうちに料理が好きになってきたの」
「すごいなぁあたしは料理はあまり作れないですけどねぇ」
そのまま堀川さんとの話が弾み部活入部を後にし、下校をした。帰りの途中堀川さんと別れて一人になった私は部活のことを考えていた。
ずっと考えていたらいつの間にかもう家に着いていた。家に着いた私は深くため息をしながら家に入った。
「ただいま」
「あっ、ねぇちゃんおかえり」
私を出迎えたのは弟の健太だった。まだ幼い5歳児だが生意気な性格なところは天下一品だ。
健太にあいさつした後、リビングに移動した。リビングは家族みんなが集う場所でもあってそこにはお父さんがお気に入りのソファーでのんびりと座っていた。
「おお、おかえり真子」
「ただいま」
「今日母さんは食事会があって向こうで済ますって」
「うんわかった、いまから準備するね」
私のお母さんはお父さんと同じく忙しい共働き夫婦である。今日はいつもより早く帰れたみたいだ。
晩御飯の支度をしながら、まだあのこと考えていた。
熱心に部活動をしていた先輩の姿を思い出す。
なんだろう、この胸が弾けそうな感じは‥‥‥。こんな感じは初めてかも‥‥‥。
「ねぇちゃんどうしたの?手が止まってるぞ」
「いや、な‥‥‥なんでもない!」
私は晩御飯の支度の続きを始めたが、手が焦ってしまって包丁で指を切ってしまった。
「いったーい!」
だめだ‥‥‥頭の中が先輩のことでいっぱいになり、集中できなかった。
「どうしたんだい真子にしては珍しいな」
「いやいや、私にだってたまにはこんなことだってあるのよあははは‥‥‥」
「そうかい?」
晩御飯を作るのは今日はやめて、出前を頼む事にした。
夕食を食べ終え自分の部屋に行って寝ようとしたが、やはり眠れなかった。
「はぁ‥‥‥、どうしたんだろう私‥‥‥」私は大きくため息をした。
次の日の放課後、また堀川さんと一緒に部活見学をしようとしたけど堀川さんは用事があって学校が終わった後急いで帰っていった。
私は暇だったので、また例のあの場所へ向かうことにした。
製菓部。私が昨日から気になっていた部活だ。
私は製菓部の部屋の前まで来たが、ずっとその場に立ち止まる。
ドックン‥‥‥ドックン‥‥‥ドックン‥‥‥
部屋の前にいると昨日より遥かに心臓の音が大きかった。下手をすれば病院送りになるかもしれない。しかし、私は勇気を振り絞り目の前のドアを開けることを決意する。気を落ち着かせて深く二回深呼吸をする。
よし!心の準備が出来た私はドアを力いっぱい開ける。
そこには昨日と全く同じ風景だった。部活動をしている先輩の姿が目に焼き付ける。
「あ、あの‥‥‥!」
「あぁ君は昨日の‥‥‥どうしたんだい?」
「わ‥‥‥わた、私‥‥‥その‥‥‥」
やはり言えない。だがここで今伝えなければならないのだ。私は赤面になりながらも担任の先生からもらった部活入部届のプリントを先輩に差し出しながら大きな声で言った。
「あぁあの、私を製菓部の入部をお願いします!」
「‥‥‥うん、いいよ」
言った。言えた。やったーーーーー!
私はあまりにも嬉しすぎてピョンピョン跳ね上がった。
「自己紹介がまだだったね、僕の名前は2年B組の天野爽一ご覧のとうり部長の僕一人だけ」
「じ、じゃあ天野先輩。まず最初私は何をすればいいのでしょうか?」
私は猛烈に張り切っていた。
「いや、特にないよ。ゆっくりしといて‥‥‥」
「そうですか‥‥‥」
天野先輩は私にそう言って準備室へ入った。
さすがにいきなり製菓作りはさせてはくれない。そのことは既に承知済みである。しかし、何もしなくていいというのは変だ。ここは製菓部なのだからお菓子を作るのではないのか‥‥‥。
部室中をうろうろしていると机の引き出しからなにやらプリントが出ているのが見えた。気になった私はそのプリント引っ張り出した。
そこには「部活廃部のお知らせ」と大きく書かれてあった。下には部活リストがあってそのリストにはたった一つしか部活名が書かれていなかった。見てみると、部活廃部リストには「製菓部」と書いてあった。これを見た私は急いで先輩がいる準備室に入る。
「せ、せせせ先輩!こ、これは一体どういうことですか!?」
「あぁ、見つかっちゃったか‥‥‥」
先輩は困ったそうな顔をして頭をかく。
「えっ?」
「実は明日で製菓部は廃部になるんだ‥‥‥」
「えーーーーーーーーーーーーーー!?」
みなさ~ん、いかがでしたか?私の趣味はスイーツを作ることから生まれた物語であります。主人公の白井真子はツンデレっという設定になっておりますが今後のツンデレっぷりが期待です。
この物語はスイーツを作り、甘酸っぱ~い恋をするというなんと見るだけでお腹がいっぱいになってしまうかもしれませんが今後も私ゴキポンをよろしくお願いします!m(_ _)m