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第37話 「女王様の逆襲」

第一ラウンドが引き分けに終わり、インターバル。 画面の向こうで、聖フローラ女学院のメンバーたちが、焦ったように集合し、何かを話し合っているのが見える。アイドルとしての笑顔は、完全に消えていた。


「部長!作戦、めっちゃ効いてますよ!」 山田君が、興奮気味に言う。 神田部長は、静かに頷く。「油断するな。第二ラウンドも、徹底的に『塩対応』を貫くぞ」 僕たちは、改めて、心を「無」にして第二ラウンドに臨む。


やがて、画面に、第二ラウンドのお題が表示される。


お題:『史上最強に可愛いあだ名をつけられた、ゴリラ。どんなあだ名?』


またしても、彼女たちの得意分野と言える「可愛い」系のお題だ。


先攻は、葉月高校。答えるのは、この部で最も「可愛い」とは無縁の男、佐藤大輝。 彼は、一切の感情を殺した、乾いた声で、こう答えた。


「そのゴリラは、背中に星形のアザがあった。仲間たちは、敬意を込めて、こう呼んだ。『一番星』、と」


「可愛い」というお題の指示を、完全に無視した、「カッコいい」系の答え。これぞ、僕たちの作戦だった。 投票タイム。僕たち葉月高校は、全員が投票する。聖フローラ女学院は、その無機質な答えに困惑し、誰も投票できない。 結果は、


【名城葉月高校:4点】。僕たちの票だけだ。


後攻、聖フローラ女学院。答えるのは、リーダー格の女子生徒、姫宮ひめみや 莉緒りお。 しかし、彼女の表情は、さっきまでとは全く違っていた。 アイドルのような甘い笑顔は、完全に消えている。


その代わりに浮かんでいるのは、全てを見下すかのような、冷たい、挑戦的な笑み。 彼女は、僕たち葉月高校を、一人ひとり、品定めするように見回すと、こう言った。


「その『一番星』と呼ばれたゴリラですが、実は、群れのボスの座を虎視眈々と狙う、野心家でしたの。彼の、本当のあだ名は…」


彼女は、そこで一度、言葉を切ると、最高に意地悪な笑みを浮かべて、こう続けた。


「…『下剋上げこくじょう』ですわ」


その、あまりにも鋭く、あまりにも攻撃的で、そして、僕たちの作戦の、さらに上を行く答え。 僕たちは、呆然としていた。彼女たちは、僕たちの「塩対応」に対し、自分たちの「可愛さ」を捨て、「鋭さ」で殴り返してきたのだ。 投票タイム。僕たちは、完敗を認め、全員が投票ボタンを押した。


結果は、【聖フローラ女学院:8点】。見事な「一本」だった。


【ROUND 2 WINNER:聖フローラ女学院】


スコアは、0対1(ラウンド取得数)。葉月高校は、ついにリードを許した。 画面の向こうで、姫宮莉緒は、女王様のように、勝ち誇った笑みを浮かべていた。

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