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第34話 「アイドル大喜利」

【MATCH WINNER:名城葉月高校】


スコア、3対2。 画面に僕たちの勝利が告げられた瞬間、部室は、爆発した。


「うおおおおお!!勝った!俺たち、勝ったんだ!」


山田君が、僕の肩を掴んでガクガクと揺らす。高橋さんが「…あんた、やる時はやるじゃない」と、最高の笑顔で僕の腕を叩き、佐藤君も「…悪くなかった」と、彼なりの最大級の賛辞をくれた。


神田部長は、そんな僕たちを、満足そうに見守っている。 初めて掴んだ、チームでの公式戦勝利。その喜びを、僕たちは、日が暮れるまで分かち合った。


***


数日後の放課後。 あの日の興奮も少しだけ落ち着き、僕たちは、改めてトーナメント表と向き合っていた。 「次は、二回戦…。相手は…」 高橋さんが、画面を指差す。そこに書かれていたのは、僕たちの度肝を抜く、あまりにも可憐な名前だった。


せいフローラ女学院」


「え、女子高!?」と山田君が、分かりやすく色めき立つ。 お嬢様学校として有名な、あの聖フローラ女学院。彼女たちが、どんな大喜利をするんだろう。全く想像がつかない。


「『聖フローラ女学院』…これだけキャラが立っていれば、ネットに何かしら動画が上がっているはずだ。探すぞ」 神田部長の冷静な指示で、僕たちは、スマホで、聖フローラ女学院の名前を検索する。


すると、すぐに見つかった。彼女たちの、公式SNSアカウントだ。 そこには、練習風景や、決めポーズの写真と並んで、数本のパフォーマンス動画がアップされていた。 僕たちは、そのうちの一本を、固唾をのんで再生した。


画面に映し出されたのは、お揃いのリボンをつけた、五人の女子生徒だった。アイドルのように、完璧な笑顔を振りまいている。 そして、お題が出された瞬間、彼女たちの動きは、一糸乱れぬものに変わった。


お題:『超人気猫カフェの、誰も知らない秘密とは?』


リーダー格の女子生徒が、カメラに向かって、人差し指を自分の唇にそっと当てた。「しーっ」というポーズだ。他の四人も、完璧に、寸分の狂いもなく、同じポーズを取る。 そして、彼女は、内緒話をするように、こう答えた。


「このお店、実は…」


彼女は、そこで一度、言葉を切った。そして、全員で、声を揃えて、こう続けた。


「猫同士の、恋愛は、禁止なんです!」


その、あまりにも可愛らしく、あまりにも計算され尽くした「アイドル的」な大喜利スタイルに、僕たちは、開いた口が塞がらなかった。


動画が終わる。部室には、重い沈黙が流れていた。 僕たちが戦ってきた、愛工大附属の「技術系大喜利」とも、修明学院の「データ大喜利」とも違う。 これは、全く理解不能な、異文化との遭遇だった。


神田部長が、ゴクリと喉を鳴らし、そして、不敵に笑った。


「…なるほどな。面白くなってきたじゃねえか」

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