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第21話「データとセッション」

特訓の日々が終わり、僕たち大喜利部は、確かな手応えと、チームとしての一体感を手に入れていた。 もう、期末テストに怯えるだけの集団じゃない。僕たちの目は、はっきりと「大喜利甲子園」の頂点を見据えていた。


そんなある日の放課後。 その日の活動の終わりに、神田部長が、重大発表を切り出した。




「お前ら、朗報だ。腕試しをする相手が見つかったぞ」


「「「え!?」」」




僕たち四人の声が、綺麗にハモった。




「練習試合だ。今週末、オンラインで、ある高校と一本勝負する」


「マジすか!どことやるんすか!?」



山田君が、興奮を隠しきれない様子で尋ねる。 神田部長は、その名を告げた。その名前は、僕のような門外漢ですら、聞き覚えのあるものだった。




私立修明しゅうめい学院。市内でもトップクラスの進学校だ。去年の、別の小規模な大会じゃ、優勝もしてる」




それは、僕たち名城葉月高校とは、何もかもが正反対のエリート校だった。 そんな強豪校と、いきなり…。僕の喉が、ゴクリと鳴った。




***




そして、運命の土曜日。 僕たち五人は、緊張した面持ちで、

部室のノートパソコンの前に座っていた。 画面には、ビデオ通話の待機画面が表示されている。心臓の音が、やけに大きく聞こえた。


やがて、接続音が鳴り、画面が切り替わる。 そこに映し出されたのは、僕たちの想像を絶する光景だった。




相手の背景は、僕たちのような雑然とした部室ではない。まるで企業の会議室のような、清潔で、整然とした空間。五人の生徒は、全員、寸分の隙もなく制服を着こなし、静かにこちらを見ている。




僕たちの、少し着崩した制服と、散らかったお菓子の袋が、急に恥ずかしく思えた。


相手チームの中心に座る、眼鏡をかけた、理知的な顔つきの男子生徒が、代表して口を開いた。 彼こそが、修明学院大喜利部の部長、一条蓮いちじょう れんだった。




彼は、僕たちに、笑顔一つ見せずにこう言った。




「……そちらが、名城葉月の皆さんですか。今日の対戦、有意義なデータが取れることを期待しています」




データ。




その、あまりにも無機質な言葉に、僕たちは息を呑んだ。 僕たちの「セッション」と、彼らの「データ」。




これから始まるのは、全く思想の違う、二つの大喜利の激突だった。

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