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どんどろ

作者: 夏花

[どんどろ]

一部の地域では雷などのことをどんどろ、また水っけの多い場所をどんどろという名をつけているそうです。そしてこの物語でも違う「どんどろ」が現れるようです

ミーンミンミンミーン


しつこい日差し、鳴きわめくセミ、生ぬるい風、、、

典型的な夏がまたやって来た


この辺りは俗に言う「田舎」だ

周りを見渡せば田んぼとボロ屋と用水路しかない


少し変わったことといえば「かかし」が一つもない


普通田んぼにはカラスとか害鳥避けにかかしなどを使う、しかしこの辺りではかかしが一つもない、

そのせいでカラスやら害鳥やらそこらじゅうにいる。

米を育てる気がないのだろうか、、、


康介(こうすけ)!!起きなさい!」

『なんだよぉ、休みの日ぐらい寝させろって』


俺は今夏休みということで実家に帰省している、と言っても田舎すぎてやることが何も無い、寝ることしかない


「あんたぁ父さんの田んぼの手伝いでもしてきなよ、カラスがわんさか湧いてんだから」

『嫌だよ汚いし、かかしとか害鳥避けの置けばいいじゃんか』

「あんたバカだねぇ、かかしは()()()()()()()

『何がダメなのさ、絶対その方が楽だって』

「もしかしてあんた知らないのぉ?かかしを田んぼに置いたらねぇ


どんどろさんがおいでになるんだよぉ」


『あ?どんどろ?ゲームのやつじゃん、あの妖怪の』

「バカっ!!妖怪と比べるんじゃないよ、どんどろさんはねすっごい方なんだよぉ」


急にお袋の顔が鬼の形相に変わった

かかしが地雷とか意味わかんね


『なんだよそれ、変なの』

「いいから父さんの手伝いして来なさい!」

そう言ってお袋は俺のケツを強く叩いた


『はぁ、めんどくさ。

ただでさえ暑っついのになんで自分から外に出なくちゃいけないんだ。

しかも親父どこだよ、場所くらい教えろっつーの』



ガタッ!!ゴロゴロ グチュクチュ



『ん?なんの音だ?』


家の前にある道沿いを歩いているとふと左から大きな物音がした

周りが田んぼしかなく見晴らしが良いため音の根源はすぐに分かった


『おいおい笑 ()()()()()()じゃねぇかよ』


うらめし倉庫は俺が小学生の頃、友達とつけたボロ屋の名前だ

見た目がおばけが出そうなくらいボロボロのため、「うらめしやー」からとってうらめし倉庫になった


『いやだなぁ、いくら大きくなったとて怖ぇもんは怖ぇもんなぁ』


もちろん小学生の頃にうらめし倉庫に入ったことは無い、そして大人になった今の今までも入ったことは無い


『まぁあの中に親父がいて、事故ってたら嫌だし、

見に行くかぁ』


そうして俺はうらめし倉庫に入っていった


『お、おーい!誰かいんのかぁ?大丈夫かぁ?』


返事がない、というか静かすぎる

さっきまでセミとカラスの鳴き声がうるさいくらいだったのに、今は何も聞こえない


パサッ


『うわっ!なんだよびっくりすんなぁ』


足元に1冊のボロボロの本が落ちてきた

普段ならこんなもの読む気にもならないが


何故か今はそれを読まないといけない感情になった


『なんだよこれ、、、結構古い本だなぁ』


[「どんどろ」]

雷雨とともに現〇る

〇色で異臭を放っている

〇〇〇を〇くと「どんどろ」はお〇でになる

それ〇見つ〇〇とそれを操〇村を歩く

選ば〇るとその年は豊作と〇〇

代わりにそのものは〇が無くなる


『なんだよこれ、文字が潰れててところどころ読めねぇな。てかどんどろってお袋も言ってたな、、、てか、どんどろってやつ豊作にしてくれるとか最高じゃん!!来てくんねぇかなぁ』


俺はボロボロの本を片手に持ってうらめし倉庫を出ようとした

その時、出口にかかしが5つあるのを見つけた


『え、かかしあんじゃん、、、あ!かかし置いたらどんどろが来るってお袋言ってたな!!よーし、、、』



ダンダンダン!!


「おい!誰だ!!田んぼにカカシを置いたやつわぁ!!」


『うるせぇなぁ』

親父が家の扉を叩いている

しかも村中の家に聞いて回っている


『なんだよ親父、寝てんだから静かにしろよ』

「おい康介!!お前かかしについてなんか知ってるか!?」

『ん?あぁー!かかしね!俺が置いたんだヨ』

「お前、、、何しとんじゃゴラァ!!」


親父の怒鳴り散らす声が村中に響く


『な、なんだよ!!かかし置いたらどんどろが来るんダロ?そしたら豊作になるって本に書いてあったゾ』

「お前、、、今すぐ鈴木さんとこ行くぞ!!」


鈴木さんは村に唯一ある神社の宮司さんだ

なんでそんなとこに行かなくちゃいけないのか


「鈴木さん!!俺の、俺の息子が、、、かかしを!」

「話は聞きました!!すぐに奥の部屋へ!」


鈴木さんは顔が広く、情報網が広い

今回のこともすぐに耳に入っている


「康介さん!かかしを置いたのは何時ですか?」

『え、えーと、夕方の17時くらいかナ?』

「ではあと1()()()()、、、」


どうやら鈴木さんの話を聞くと

かかしを置いて2時間でどんどろは来るらしい

今は18時だからあと1時間で来るらしい


楽しみだナ


「康介さんよく聞いてください、今から私がいいと言うまでこの部屋から出ないでください!!お父様も一緒ですので何かあったらすぐ報告してください。私は部屋の扉のすぐ外にいますから」

『そんなにやばいんですカ?どんどろって良い奴だと思ってたんですけド』

「良い方だったらこのようなことはいたしません。とにかく今はこの部屋にいてください」


そうして鈴木さんは部屋の外から出ていった

そして間もなくお経のようなものが聞こえ出した


『親父、俺そんなやばいことしたかナ?』

「お前にどんどろさんの話をしてなかった俺が悪かったな、すまない。確かにどんどろさんがおいでになった年は豊作にしてくれるんだ、だが、、、」


ザー ゴロゴロ ザーザー


『あ、雨ダ。結構強いネ』

「あー、始まったぞ」


親父が身構えている

でもなんだろ、、、何故かすごくワクワクしてる

早く会いたい


『ん、くっサ!!何この臭イ?』


部屋の壁にある小さな小窓から外を覗いて見た

すると茶色いスライムのようなものが一瞬通った気がする


『くっサ!!!!』


激臭だ

もしあれがどんどろなら少し萎えるな

それにしてもなんでこの臭いに親父はビクともしてないのだろう


いや、寝てる?


『親父?寝てんノ?』


ビクともしない

呼吸はしている


『鈴木さーン!!親父が寝たんすけドー、それに臭いガ、、、』


反応がない

気づけばお経も聞こえなくなっていた


これはチャンスだ

だってだってこの隙に外に出ればどんどろに会える!!


俺は扉を開け素足のまま外に出た

鈴木さんは居なくなっていた

大雨が降っている

地面がビシャビシャだ


気持ちーーーーい!!


おいおい気持ちいな!!程よい冷たさで最高だ!!


はしゃいでいたらうっかり神社のそばに飾ってあった3本の矢を折ってしまった

まぁ、安っぽいし大丈夫だろ


俺は少し雨を堪能し辺りを見渡した

茶色いスライムのようなものは見当たらない


『あれ、かかしが居なイ、、、』


俺が置いたはずのかかしが消えている

親父が片付けたのかな?


コッコッコッ


『なんダ!?』


後ろを振り返ると


かかしが立っていた


『おいおイ!かかしじゃねぇカ!!久しぶりだなぁ』


もう一度辺りを見渡すと俺の周りを

5体のかかしが囲んでいた


『オー!!人気もんだナァ!!俺』


嬉しい!!!!嬉しいよ!!!!かかしだぁ!!!!

どんどろは?どんどろは?!


ベチャベチャ


また後ろを振り返ると


『どんどろダ!!』


茶色いスライム、いやどんどろがいた

臭いは雨でかき消されているのか何も臭わない

するとどんどろは体に大きな穴を作り


俺を手招きしている


『え、入っていいの!?ほんとに!?』


嬉しい!!!!光栄だ!!!!どんどろに入れるなんて!!!!

俺はどんどろの穴に足を入れた


「康介くん!!」

『ン?鈴木さン?』


どんどろに入る瞬間鈴木さんの声がした気がする

まぁ気のせいか


そうして俺はどんどろに取り込まれた



きもちぃ〜冷たくて〜ヌルヌルしてて〜


いつの間にか俺は服が全部脱げていた

そして耳・口・鼻・尻にどんどろが入り込んできた


あっ!きもちぃ!痛い!!苦しいィ!きもちぃ!!


どんどん体の中にどんどろが入っていく




『イダァーーーーーーーー!!!!!』

『グギャァーーーーーーーーーー!!、!!、』




突然強烈な痛みが身体中に走った

そして俺は気を失った



気づけば俺は道の真ん中で全裸で倒れていた

周りのカカシも倒れて

どんどろの姿も無くなっていた


「「康介!!」」


2人の男女が近づいてくる


「大丈夫!?怪我は無い?」

「すまない!!父さんが気を失ったばっかりに」

『あの』

『どちら様ですか?』



「「えっ?」」


俺は2人に病院に連れていかれた

診断結果は軽い記憶障害だという


2人の男女はどうやら俺の両親らしい


俺はしばらく入院することになった






「次のニュースです、◻︎◻︎県△△市で◇◇神社の宮司、鈴木さんを始めとする5名の男女が亡くなっているのが発見されました。警察によりますとこの5名は、まるでカカシのように立って亡くなっていたとのことです。原因は只今解析中とのことです。続いては天気予報です、昨日突然現れた熱帯低気圧、午後からは日本に到達し、強い雨が予想されます、、、、、、」


さっきまで俺がいたところだ

大変そうだなぁ、最近の世の中は物騒だなぁ


「康介」

『あ、えっと、お、母さん?』

「そうよ、果物買ってきたから食べな」

『ありがとうございます』

「軽い記憶障害でよかったわ、いつか戻るんだものね、でも退院してももう実家には来ない方がいいかもね」

『そうですね、色々物騒ですし』

「大変よぉ、5人も亡くなるなんて、、、」

『お父さんは?』

「あんたを病院に送ったあと仕事に行ったわ」


『あの、どんどろって結局なんなんですか?』

「あー、そうね説明しなきゃね、どんどろさんはね私たちの村に昔から伝わる謎の生物なの。かかしを置いた人間をそのかかしを操りながらその人間を取り込む。そして人間の代わりに村の田んぼとかを豊作にしてくれるのよ」

「でもね、メリットよりもデメリットの方が大きいじゃない?命なんて何よりも大切じゃない!だからどんどろさんの気に触らないように、かかしを飾らずに関わらないようにしていたのよ」

『そうなんですね、、、』

「でもどうしてあんたは生きて帰ってこれたのかしら?()()()()()()()()()()()()()()()?」

『わかんないですね、、、どんどろは僕たちの村からは出ないんですか?』

「あー、それは大丈夫よ!亡くった鈴木さんの神社があるでしょ?その隣に()()()()()3()()()()がどんどろさんを封印してくれているらしいわ」


3本の矢、、、


気づけば外は熱帯低気圧のせいか大雨が降っていた

僕はテレビに急いで目を向けた


「速報です、全国的に謎の死が広まっています。症状はかかしのように立って亡くなっているそうです。そして事件が起きた場所では多くの植物が急成長しているとのことです」



「どんどろ」いかがでしたでしょうか?

いやー、ニュースで言っていた内容はどんどろと関係があるのでしょうか?

初めて書いたホラー系物語ですが上手くかけたのか不安です、でも皆さんがもし楽しんでいただけたのであれば嬉しいです!!ではまた次の作品でお会いしましょう!!

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