壊れた家
僕達一家は、つい先日に家が壊れたから引っ越した。
けど、愛着があったから。
こっそりまた昔の家に戻って来たんだ。
まだまだ住みたかった。
たくさんの思い出があったのに。
すぐに新しい家に慣れるなんてできないよ。
昔の家に戻ってきて、何もない家の中で寝そべった。
しんとして、音がない。
家電の音も、人の音しない。
だけど妙に心が落ち着いた。
ずっとここにいたいな。
大人達は古臭いから早く、新しい家に住みたいとか言ってるけど。
こっちの方がずっといいのに。
また、この家に住む事できないかな。
そう思いながら天井を見つめていたら、いつの間にか眠ってしまった。
黄色いテープが張り巡らされた家の周りで、人々が騒いでいた。
「うわっ、家が崩れたぞ!」
「かなり古い家だったからな」
「中の人は大丈夫だろうか」
「いないから心配しなくていいよ。つい先日引っ越したからね」