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ポンコツ作家と有能編集、自世界を行く  作者: 鍵っ子
二章:ポンコツ、新天地に立つ
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自分に言い聞かせるのだ!

……月が綺麗だなぁ。なんて。言う相手も何もいないけど。と言うか、落ち着かないのを某英語教師で誤魔化すのは止しなさいよ。俺。現実逃避してる暇も、ないんだからさ。あの偽物が、言った事とか。


「『これからも頼むぜ、上手くやってくれや』……何をなんだよ」


 恨んでる奴に向けていう言葉じゃない、よなぁ。これからも頼むぜ、とか絶対にワンだろうし、失敗しろとか呪詛的な言葉を投げつけても……全然……


「――分からん」


 現代日本と違って、明かりも無いから綺麗に見える夜空。何時までも見てられるけど気晴らしでなんか思いつかせてくれたりはしない、か。作家にとって夜空眺め始めるのは行き詰ってるサインだからなぁ。


「最終的に夏の大三角とかに行きつく迄止まらないんだよね」

「――先生の場合黄道十二星座迄行ってしまうと思いますけども」

「そうそう。自分のおとめ座二週まで行って……って」

「なんでこんな所に居るんですか。落ちたら危ないですよ、先生」

「別に俺が何処に居たって不思議じゃないだろうよ」

「不思議ですよ。さっき迄、全力で書いて頂く為に私がしっかり監視していたというのに食料を取りに行ったその一瞬でここまで逃げて来てるんですから」

「おう不思議じゃなくて不満だと正直にいえや」


 俺だって、そこまで言われりゃ分かるってんだ。


「……いえ、不思議は不思議ですよ」

「何が」

「偽物が運ばれていく時から、何と言うか、明らかに上の空じゃないですか。さっき書いてる時も、明らかに集中してるとは言えませんでした」

「それがカンヅメで疲れているからという可能性は?」

「――疲れているのであれば、寧ろ力を発揮するのが先生ですから」

「なんだその嫌な信頼……」


 追い詰めれば追い詰める程実力発揮するとかゲームのキャラ特性持ってる訳じゃないんだぞ俺は。やめてくれマジで。


「……それに、コレに関しては、直感ですよ」

「直感?」

「はい。明らかにおかしいです。何時だって先生はギャグマンガも顔負けな凄まじい頭の悪いテンションで行動してらっしゃるので。絶対に何か隠してらっしゃると思いますのでホレさっさと出せ吐け何を隠してる」

「良い感じの話だったと思ったらいきなりガッツリ詰めてくるやんけ!?」


 何度も行ってますけど情緒って言葉を知ってらっしゃるのだろうかこの人。今のはもうちょっと、小説風に表現するなら、『貴方の不調は、調子が狂って気分が良くない事になるから、話すだけでもしてくれない?』的なさ……もうちょっと、湿っぽいというか。


「もっとこう、他に無かった!? 凄いガトリングみたいな乾いた追及でオイラはもう色々萎えたよ!」

「萎えようが何をしようが隠しているのは確実でしょうさぁさぁさぁ早く吐いて何とかしますから一人で解決できなくても私が出来ますよ」

「ああもう分かりましたよ情緒とかはもう要らないって事だろう!? わっかりました承知いたしました! ドライクールめ!」


 冷静沈着も行き過ぎれば極限の厄介者に早変わりだよ!


「……移送中の偽物を見た時さ。アイツか、何かつぶやいているのが……聞こえた、いや違うな、見えたって方が正しいか」

「見えた?」

「口パクの動作を見ただけで分かったんだよ。脳味噌に、叩き込まれた……いや」


 叩き込まれたっていう表現は、絶対に違うな。感性的にしっくりこない。あそこ迄の納得感が得られたんだから……


「……頭の中に、自分の言葉として、浮かんで来た、って感じだった」

「自分の言葉?」

「自分自身に言い聞かせる時、口に出さずに自分の中に言葉を浮かべるだけの時だってあるだろ? そんな感じだったんだよ」


 本当に、アレが他人の言葉とは思えぬ程、俺はハッキリと、アイツの言っている事が頭に浮かんで来たのだ。口の動きを見ただけで。


「――確かに、気になりますね」

「おっかしな現象だろ? 軽く上の空にもなるってもんだよ」

「一応お聞きしますが、気のせいだった、と言うオチの場合は」

「それでいいと思ったなら、俺は笑って気のせいだったって言ってやるよ……こんな訳の分からん現象、どうやって手に負えってんだ」


 でも、今回の一件ととても無関係とは思えないから、忘れられんのだ。俺がこんな所に来た訳。俺が、自分でここに連れて来たのか。それとも、恨みか何かでここに連れてこられたのか。


「理由も訳も、初めに想像したのとは七転八倒して、着地点を見失ってる」

「……」

「原因不明程、不安な物は無いって、どっかで聞いた事ないかい。編集さんよ」


 どんなホラーでも、それが一番怖いのは、相手が正体不明の時。ホラー映画なんかでは結局最後までその本質が分からない事が多い。勿論、分かったからこそゾッとする、と言う場面もあるにはあるが、もっとあるのだ。別に。


「俺はなぁ……ここに来た理由を、そろそろ真剣に検討するべきじゃないかと思うよ。ただの推測で済ませる、だけじゃなくて……」

「我々の手で、探り出す?」

「そうだ。人為的な物か、事故か。恨みか、それとも愉快犯か、アイツの言った言葉が関係しているのかっていう。詳しい所をな」


 ただ気になるってだけじゃない。上手くやってくれ、って言うのはこの現状って事なんだろうから……奴は何かを知ってるんだ。いや、今頃は多分ひどい目に合ってる可能性があるから、一応は知ってた、って事にしておくか。


「もっと深い部分があるなら」

「それを探り出してしまえば」

「変える為の、ヒント位にはなるかもしれない……」

「当然、見所作りに関してもやる事はやるさ。これをクリアしていけば、もしかしたら帰る事が出来るかもしれない、っていう希望は捨てちゃいない」


 それじゃダメな場合は。


「俺達の手で、脱出する手段を、模索しないと駄目だろうから」

「――分かりました。目標、もう一つ追加ですね」


アンデルセン先生ごめんなさい。


回収しきれるか? わかんない。

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