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ポンコツ作家と有能編集、自世界を行く  作者: 鍵っ子
二章:ポンコツ、新天地に立つ
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ループへのフルアクセル

「……なんだろう、こうやって荷物を詰め込むと、アレだな。既視感が出てきた。案外馴染んでいるというか。どこで見たんだろこの景色」

「先生の部屋とかこんな感じではありませんでしたっけ?」

「あーそういえばそうだな。結構狭い間取りにゴチャゴチャした物が……っておい」


 俺の部屋こんな石造りの立派な……あれ? もしかしたら俺の部屋の方がみすぼらしいまである? いや、流石に現代日本のマンションだぞ? 華やかさも……いや、でもこっち総石造りの……


「どうなされました?」

「いや、ちょっと俺自身の人生が惨めになったとかでは無くてね?」

「何言ってるんですか先生……?」


 アンタにいう事はあっても、俺に言う事は初めてかなぁ……あっはっはっ。まぁ、今のは確かに俺が可笑しな事言ってるのは間違いないけれども。


「とっ、兎も角だっ! これだけ良い場所を確保できたんだし、今後はここを拠点に活動していけば良いと……今度こそ! 安寧の地を得た訳か!」

「まぁここでお尋ね者なのは変わらないので、気を張っておくに越したことは無いです」

「……何処へ行ってもお尋ね者ってどういうこったよホント」


 いや、王子様の国では自発的に偽証罪を働きましたけど。それはそれとして、こっちに関しては俺一切関わりないんだけどなぁ……っと、そう言えば。


「結局、俺の偽物は一瞬現れただけだったか」

「そうですね。今の所、召し捕らえたとか、そういう話は聞いていません」

「しかし、なんで俺が街に出てくる、正にあのタイミングで……ドンピシャにすぎるだろよ、幾らなんでも」


 俺への恨み説とか、そんなバカな、とか思ってたけど。あそこ迄、俺のピンチに狙いを澄ませて狙撃するとか、本当に信憑性出てきた気がする。俺をここに連れてきて、追い込んだり、それこそ死の危険に直面させたりして復讐する、的な。


「復讐なんて……そんな事まで出来る努力量を、全部自分が成功する事に向ければきっと俺の事なんて見返せたと思うよ犯人くん……」

「いえ復讐じゃないでしょう」

「ご自分で説を提唱なさっておいてそれはないんじゃないですか??????」

「あくまで冗談ですから。それこそ、普通の人間がどれだけ努力した所で、他人を強制異世界転生させられる能力を手に入れられませんよ。そんな事出来たら気に入らない課長社長その他が多分纏めて異世界行き、上司だけが集まる勇者パーティ爆誕。悪夢です」


 スッゴイ他人に厳しく自分に甘いパーティが出来上がりそうだぁ……アレだな。自分へのバフが主体じゃなくて、他者にデバフアホみたく蒔くのが得意なタイプの地雷の様なパーティだ。俺は詳しいんだ。


「兎も角、コレは間違いなく、隕石直撃並みの奇跡(悪意)が起きた結果ですよ。それを受けたのははたまた、極限に運が良いのか悪いのか、分かりませんね」

「間違いなく不運だと思うよ」

「そうですね。コレで幸運とか言ったら先生の事尊敬してしまいます。ポジティブシンキングの御強さに」


 その尊敬に多分いい意味は含まれていない。コイツ頭ピーカンだろ間違いなく、的な嘲り思考が透けて見えるような感じだよ。まぁ俺も同じような事やったら間違いなくコイツ脳味噌ホイップクリームだと思うからな。


「兎も角、先生の偽物はまるで図ったかの様に消えてしまって、その足取りを追いかけるのも絶望的と来ました。ピンチを乗り越えても、チャンスは掴めませんでしたね」

「その代わり、当面の安全は手に入ったろうに」

「当面は、ですよ。あくまで」


 そこ迄当面を強調する事ないじゃないの。


「……なんか懸念でもあるの?」

「あります」

「あっ、あるんですか」

「無い訳がありません。寧ろこの先最悪の事態が起きる可能性が十分にあります。行きつくところまで行ったら山狩りですよ」

「山狩り!?」


松明持って!? 出てこいって!? 怖すぎない!? 稲刈りの鎌と、あの、農作業で使うデカイフォーク構えて!?


「そうされない為にも、ご自分の偽物を早めに捕まえて、無実を証明しなければけないと思うのですけども、生憎あっさりと何処かへ消えてしまったので」

「犯人として捕まったらお姫様に蹴りで圧殺される事が確定してるけど……それはそれで怖いなオイ!? アレじゃん、集団の脅威にさらされる、人間怖いクローズドサークル系の映画のラストじゃんか……」


 町ぐるみで怪しげな儀式やってる奴。まぁこの話にそんなカルト登場しませんけど。真・人魚姫は健全なバトルと血風吹き荒ぶラブコメ小説となっております。何というジャンルの交通渋滞。


「兎も角、もう事はこの隣国全体に広がる大事件となっている、先生は、まだその自覚がない様に見えますよ」

「……」

「王族が出張っている、と言う意味を、ちゃんと考えないと」

「だからってアンタは今から必死に探すって言ったって反対するんだろ?」

「探すのに熱中しすぎて捕まっては元も子もありませんし」

「じゃあどうしろと言うんですか」

「別に行動を起こさずとも自覚を持つ事は出来ると思いますけど」

「あ、自覚を持てって本当に言葉通りの意味なのね……なるほど……?」


 この国全土に広がる大事件。王族が出向く程の凶悪犯。確かに唯のコソ泥も、ずっと捕まらず数を重ねりゃそうもなるか。ん、いや、編集さんが言ってるのは果たしてそう言う事なのかと……?


「……アレ?」

「どうなされました?」

「いや、俺の偽物がそこまで影響を与えてるんだろう? なんか、なんか」


 引っかかる。どこだ? 編集が言ってる真意? いやそんなのは凡そ分かる。だから違う。じゃあもっと前? 凶悪犯? 窃盗だって何回も繰り返せば凶悪なのは当然、そこじゃないんだ……国、全土に……


「――マズイ」

「……やっと真剣な顔に」

「そういう場合じゃない。コレは、マズイ。このままじゃループが確定する。どれくらいの所まで戻されるか分からないぞ今回は!」

「ループが……?」


 そうだ。当然だ。だって、隣国の姫が登場する二部。それは人魚姫関連の事件が始まり隣国が乱れる所から始まる……なら、裏返せばそれまでは確実に平和な状態が続いていたんだ。こんな大事件は、()()()()()()()()()()()()()! 

アンデルセン先生ごめんなさい。


絶対に平和にはさせないという強い意思。

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