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ポンコツ作家と有能編集、自世界を行く  作者: 鍵っ子
二章:ポンコツ、新天地に立つ
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ピンチがチャンスに……?

「はっ、はっ」


 急げ。間に合わなければ、俺の巻き添えであの人まで死ぬ。


「もし、もしあの姫が戻ってきたら……逃げられない! 速攻で報告されて詰む! いや顔晒さなければ大丈夫だけど、晒さないっていう保証はどこにもない!」


 ああいう超人の怖い所は、足の軽い所だ。というか、俺がそういう風に設定したんですよ! 人魚姫、王子に隣国の姫! 自分に自信を持ってるからこそ、行動に躊躇いも無いも無いっていう話である。


「下手すると、自分一人で行動して軽々と俺を発見するまである。もし、もしそうなったら……うぅぅうううっ! 洒落にもならん!」


 裏路地の向こう、見えたっ! 編集さんは……居る! 良かった、直ぐ取って返して来たからかまだ離れてなかった! 不幸中の幸い! とはいえ、大声を出したらマズイ。限界まで近づいてから、こっそりと。


「へっ、編集さん! 緊急じたむぎゅぅ」

「黙って、私の後ろに。動いてはいけません。静かに、です」


 な、何急に!?


 ――ガシャン コツコツ ガシャリ――


 ……! 今の音。鎧の男にハイヒールっぽい……もう来たのか!? 早い! 早すぎる! やると言ったら即実行は確かに美徳だが、ここまで行くと最早恐怖だよ! 落ち着くんだ俺。


「――本当にこの街にまた現れたのですか? これだけ警戒されている町で態々」

「えぇ。正直迂闊と言うしかありませんが、どうせ盗んだもので満足しきれなんだのでしょう。それで、一番慣れているこの街でてっとり早く済ませようとした」

「まぁ、そう言われてみれば、信憑性も出てきますか」

「今回は姫様のお力になる為にこうして大量の兵隊を連れて来たのです」

「逃がしはしませんとも! お任せあれ!」


 いやぁその数はちょっと多いどころの騒ぎではないですねぇ!? ズラッと、ズラッと揃ってるじゃないですか! もう何人どころの騒ぎじゃないし、何十人じゃないの!? やめて!?


「……どっ、どうするんだよコレ……!?」

「――落ち着きましょう。ここで焦って逃げ出すのは余計に疑惑を深めます。二手に分かれて離脱しましょう」

「ふ、二手って……?」

「私が向こうの視線を引きます。何とか。頑張って。その間に離れて」


 つまり……編集さんを囮に逃げろって事か?


「でっ……出来る訳ないだろ!」

「大きな声を出さないでください。バレますよ」

「アンタねぇ……っ!」

「大丈夫ですよ。私は犯罪者じゃないんです。取っ掴まってボロカスの様にされる訳ないですから。何とかなりますよ。多分ですけど」


 そんな凄い澄んだ瞳で良く言えるなそのセリフ。この人、頭のどっか片隅にでも怖いって感情はあるんだろうか。この人が恐怖で震えてるのなんか想像も出来なくなってきたいよいよ……いやでも。


「怖くないの?」

「ないですよ。相手は私に襲い掛かる心配のない……檻に入った猛獣の様な物です。相手が自分より圧倒的な上位者、と言うだけで怯えるのは、それこそ原始的な証拠です。理知的に考えれば、恐怖を考える必要もありませんよ」


 ……なんでこの人、俺みたいな奴の編集さんをやっているのだろうか。その考え方をこの状況で出来るような人は、もっと会社の要職に付いてるべきだと思うんだけど。


「後は先生が、無事に逃げられるかですが……」

「――任せろ。編集さんのサポートがあって逃げられなきゃ、それこそ無能だってんだ」「気を付けてください。万が一、町の入り口等が封じられていれば……」

「それはねぇ。姫様を引き付けて下されば、こっちは何とか出来るはずだ」

「確信がおありで?」


 ……さっき言ったことに繋がるが、超人の行動原理は、恐ろしい程の自分への自身だ。故に、自分を信じた単独行動が多くなるのもまた事実!


「つまり、あの人たちは人を動かす事は知っているが、人を使って人を追い詰める事を知らぬのだ……! 王者故の弱点よ」

「そう言う事であれば。分かりました。信じてますよ」


 因みにもし人を動かして人を追い込むジャッカルの如き知恵があればエライ事態になるけど、そん時はそん時で、もう豚の様に食われてやるさ! 怖いけども! 覚悟決めて突っ込もう!


「じゃ……っ! また後で!」

「お任せください」


 よし、出来るだけ走れ俺。間に合わせるんだ! 




 ――まぁ、そんなジャッカルの如き知恵は無かったのですけど。肩透かしレベルでなんにもなかったですよ。はい。で。


「……逃げきれは、したが」


 もう、お空が赤くなって言ってるんだよなぁ。それでも編集さんが帰って来てないっていう……やっぱり、一旦町に戻って、様子を見に行った方が良いのかな。それとも。ううぅうううう折角逃がして貰ったというのに!


「――下手すると乱暴な事をいやされてる訳がないな。そんな事したら味方の蹴りでちっちゃなブロックに圧縮されてしまいだし。怖いのは……俺との繋がりがバレて酷い目に合ってる可能性が、ないでも無いんだよなぁ」


 それを考えると、やっぱり――


「……よしっ! 待ってろ、今行くぞ!」

「先生。お疲れ様です。無事に営業終わりましたよ」

「あ、はーいお疲れ様でーす。先方さんはどんな感じの……じゃなくて!!!!!」


 ご無事でしたか!!! 良かった!!!! けどもなんでそんな、仕事終わりのOLさんみたいな気軽な言い方をされてるんですか!!??


「ご、ご無事でしたか!?」

「私、武将か何かなんですか? 全く……大丈夫でしたよ。それに、ピンチがチャンスに変わりました。コレから、成果をお話ししますのでもう少しお待ちください」


 成果って? 足止めをしていただけでは無かったって事か? って言うかもしかして、足止めってそれ!? 話でやったの!?


アンデルセン先生ごめんなさい。


超人は自信に満ち溢れてないと解釈違い

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