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ポンコツ作家と有能編集、自世界を行く  作者: 鍵っ子
二章:ポンコツ、新天地に立つ
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これからはあの姿で。

「……それで? お望みの机、持ってきましたけど、書けましたか?」

「書けませんでしたよバーカ! 言い訳してました申し訳ありません書きます書きます全力で書かせて頂きますはい!」


 書けないのに必死こいて書こうとする愚かな小説家の姿が、其処には合った。いや正直な話、アイデアは未だ湧いてないからね。ハハハ。いやだって! だって! 偽物の俺の事とか気になってそりゃあ出ないよ!


「先ずアイデアに集中するしかないかっ……!」

「そうですね」

「いやアンタが書きながらも考えるみたいな事を言ったんですけれども???? それを聞いて私がんばったんですけど幾らなんでも理不尽じゃないですか? 寧ろご褒美を頂いても問題ない立場では?」

「ではそうですね。私の体でも使います? 色々と」

「分かった分かったからもうやめろ! 負けだ! 大人しく書くよ!」


 だ、ダメだっ。この人相手には常識は通じない。なんか刃向かおうとして、コレはって

一手が打てても、その一歩先を行かれてしまうっ……!


「使ってくださっても良いんですけど 男好みする体だとは思ってますけど」

「ばっ、おまっ、えっと……アンタジェンダーレスって言葉知ってる!? その言葉、それを知ってたら決して出ない言葉だからね! 分かる!? いや、いやいや、その辺りよりも何よりも! もうちょっとご自分を大切にしてくださらない!?」


 体の安売りとか、ダメよ! あのね、あのね? 人間、体を売る行為はアウトなの。そもそもそこからなの。倫理的にそれは終わってるの。いや、この物語が中世モチーフな以上、体を売るって商売はもう、黙認って言うか、普通の時代だけど!


「分かる!? 今の俺の気持ち!?」

「はぁ、下らない……使えるものは全て使うのが最も合理的かつ、理知的な方法だと思うのですが?」

「あれー? 何時になく辛辣!? 俺正しい事言ってない!?」

「確かに先生は正しいです。ですが、正論だけでは物事は動きませんから」


 それ悪役のセリフゥ!?


「私は、そんな一時の感情に囚われてチャンスを逃したくはないので」

「一時の感情じゃないと思うんだよなぁ体を大事にするって言うのは! 体は資本ていうのをご存知でない!?」

「だからこそ、使える時には豪快に使っていかねば」

「屁理屈ゥ!? もうちょっと大事にして! そのセリフは大抵男が女の人をだます為に使う下衆なセリフなの! 貴女が言っちゃいけないの! 分かる!?」


 全く、この人は! なんで俺がこんなセリフ言わないといけないんだ! 俺は注意される側! する側じゃないの! いや、俺も女性差別とかしないし、男はクソとかも言わないけど……一般人が俺達二人を見たら、多分八十人は俺を差別する側と回答する!


「はぁぁあああああ……もう体使うだとか禁止ね。じゃねーと書かねぇぞ俺は」

「分かりました。先生は寧ろ貞淑な方が好きと。分かりました」

「そういう問題じゃねぇっつってんだろうが! 書いて欲しいのか!? 欲しくねぇのかはっきりせんかい!」

「書いて欲しいので貞淑に行かせて頂きますね」


 そうじゃねぇっていってんのに……まあいいや。この人がトンチキな発言しなけりゃなんでもいい。ったく。しかし、発言一つでここまで人間取り乱すもんだなぁ。まぁ、ああいう常識はずれな発言は。


「……なるほど、しかしこの発想は……ふむ、ふむ?」

「何か思いつきましたか先生」

「悔しいがアンタとのやり取りでな。閃いたよ。まぁ任せろ。この隣国でまず一発デカい花火を打ち上げてやるってんだ」


 組み合わせる作品は……これで良いか。結構セリフが有名な話だからなぁ。問題はそれをどういう風に、刺激を、抑えるかって話だけど。刺激が強すぎても受けないって言うのはホラー作品の時に学んだ。


「では、先生のサポートする為にも、今日の夕飯を買ってまいります」

「おう頼むわ」

「前の村より大きいですからね。お店も揃っておりますから。干し肉やらなにやら、沢山買えてありがたいです」

「あ、インクも切れそうだから頼むわ」

「それに関しては仕入れ先が全く把握できていませんので。申し訳ありません」


 あっ、そうなの。


「じゃあ暫くは、節約して使うから、出来るだけ早めにお願いします」

「承知しました。というか、今以上に節約して使うんですか? もう文字が掠れませんかそこまで行ってしまうと」

「ははっ、大丈夫大丈夫。もう慣れて来たから。なんとかなるなんとかなる」


 ……あの偽物野郎さえいなけりゃ、こうやって硬い石の上から色々頼む必要も無く、ベッドの上で休みつつ、のんびりと現地調査と言うか、ループ対策も出来たというのに……そーだよループ対策もあるってのに! 面倒くさすぎるだろうが!


「固い床の上で、すみません」

「あーいや、そりゃああの偽物野郎が一番悪いからいいんだけど」

「このままでは先生が痔になって、何時か丸いクッションが必要になる様に」

「そんな心配はしないで宜しい! まぁその心配も有り難いけど余計なお世話でございますれば! はい!」


 はー、まぁちゃんと帰った後の事を考えてる編集さんから考えれば、そういう病気に関しても気になるのかもしれないけど。それがよりにもよって痔かよ。小説家の友達みたいなもんだけど痔なんて。


「それよりはループが起きたら全力でサポートしてくれればいいから」

「この状況でアレが起きたら、どうすればいいんでしょうね」

「編集さんに動いて貰うしかないんだよ。俺は基本何も出来やしないんだ。と言うか何かしようとして目立つとアウトだろうよ。頼りっぱなしで情けない限りですけども」

「ああいえ、そっちの問題は大丈夫ですよ。私が気にしてるのは別の事で……」

「えっ?」


 大丈夫って?


「先生には必殺のアレがあるじゃありませんか」

「アレ? アレって……? えっ、必殺? 全く見当もつかないんだけども? 俺は何時の間にそんな主人公チックな物を手に入れたっての?」

「やってらしたじゃないですか。浮浪者の真似」

「あんな陳腐な真似を必殺と申す!? あまつさえもう一度やれと!?」


 それは自殺行為と言いませんかお嬢さん!?


「使える人材は最大限使わなければいけません。分かりますか?」

「分かりたくない……っ!」

「まぁ余程の緊急事態じゃなければここから出ろとは言いません。でも緊急事態の場合は何の躊躇いも無く出て頂きますので」


 ……悪魔だ……悪魔が……っ……いや、普通なのか……っはぁ……やるしかないのか。この国でも、そんな綱渡りな真似。


アンデルセン先生ごめんなさい。


固い地面と痔の関連性はあるんでしょうか。

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