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ポンコツ作家と有能編集、自世界を行く  作者: 鍵っ子
一章:ポンコツ、自世界に立つ
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夜逃げの準備

ゆか きもちいい しずか いい もう なにも かんがえたくない ねていたい あたま からっぽ もう ねていいよね ゴール していいよね ゴール ってどこだろうか なにも なにもわからないのだ。


「……」

「只今帰りました、ってまだ回復していませんか」


 ……喋れないのだ。すまない。いや、本当は喋れない訳でも無いんだけども。すまん。喋りたくないだけなのだ。頭が限界なのだ。あの、頭狂ったスーパーモード、そりゃあ代償が無い訳じゃないよね。


「マッサージします?」

「いいえ結構です。大丈夫です。ほら、もうこんなに元気。全然要りませんからだいじょう……う……うぃぃぃぃ……」

「……本当に重傷ですねコレは。冗談で言ったつもりだったんですけど、コレは本気で試した方が宜しいのでしょうか」


 藪突いて蛇を出しちまったこん畜生! カラ元気とか出さずに、上手い事言葉誤魔化しておけばよかったのに余計な事を言うから! クッソ! マジで!


「……それは、後で良いとして。どう?」

「えぇ。上々です。資金も集まって、隣国まで言ってもしばらくは生活するのに困らない程度は。それに、途中で着替える為の服等も、十分に買えるかと」

「リバイバルだけでそれか。結構人気、出て来てたんだなぁ」

「先生が頑張ったからこそですよ。まぁ直にその人気放り出して夜逃げ同然で逃げるんですけどね、私達は」


 うぅ、勿体ない。なんだったら、ここら辺で活動してれば安定して家持てるかもしれないけど……そんな悠長な事してる間に間違いなくバレる。もう限界なんだ。弁えろ俺。逃げる事だけ考えろ。


「でも、そんだけ稼げたならもう行っちゃっていいのでは?」

「一応、貯えを増やしておくに越したことは無いので、書いた分は全て話し切ってから行きますよ」


 そうかぁ……向こうでも似たような事をやる予定ではあるから、その時に取っておいたアイデアを使えないかとか思ったけど、ダメっぽいか。まぁ、仕方ない。宵越しの銭はなんとやらって奴だ。


「……とはいえ、状況次第では予定を変更して出発しますけど」

「状況次第?」

「えぇ。お客さんの中に、まだ兵士の皆さんが居るんですよ。それで、その兵士の方にお城の様子を伝えて貰う事になって居るので。その代わり、タダで話を聞いて良い、という事になって居ます」


 ほーん、スパイ作戦をして貰ってる訳ですか……いや、ほーんとか言ったけどそれ大丈夫なのか兵士さん!? 危ないどころの騒ぎじゃないぞ! やってる事、要するに職場への裏切りだぞ! 産業スパイだぞ!


「バレたらしこたま殴られるんじゃないか?」

「それどころじゃないかもしれませんけど……まぁ、大丈夫ですよ。対策はしていますからハイ。大丈夫ですよ」

「対策?」

「えぇ。その兵士さんが経路だとバレるとマズいので、お友達を誘って貰って、誰から漏れたか経路を特定されないように、集団で見ていただいています。分散戦法です」


 お、おう。割と真っ当な事やって……んんんん? いや、いやいやちょっと待てお前さんよぉ、ちょっと、ちょっと待て。その人数をいっぱい呼んでるのって。


「もしかして、その人数呼んだのって、その分おひねりを、的な意味も?」

「当然です。資金はあるだけ良い物ですよ」

「おいいいいいいいいい! 俺の感心をけぇせ! この守銭奴!」


 その資金欲が! 資金欲が! 俺達を助けてくださってるんですよありがとうございますねぇ! チクショウ、でも言っちゃう! 守銭奴って! 守銭奴って!! とはいえちゃんと対策にはなってるのでよろしおす!!!!


「――まぁ、それは置いておこう。言っても仕方ない」

「という事で、こっちへのガサ入れの時期は凡そですが分かります。そして、時期を察した時点で、あの商人に便乗して逃げるつもりですよ」

「というか、本当に頼むのかこんな事」

「えぇ。彼も、ここらで商いをずっとして貰ってるのはちょっとアレだというので、我々が活動を終わらせたあたりで出発したい、というのを、金で顔をはたいて言って頂きました、はい」

「やり方が成金なのよなぁ」


 パァンッ! っていう音じゃない気がする。バシィンッ、っていうイイ音がしてらしたんじゃないですかね……? そもそも札束で叩く、叩かないの前に札束は存在するかどうかっていう……まて、金で、としか言ってないから、まさか金の入った袋で……?


「訂正する、やり方がグラップラーだよ」

「何を想像しているんですか。金貨を弾いて額に叩き付け続けただけですよ」

「いやそれはそれで鬼の所業じゃないのかな……というかどんな説得の仕方?」


 すっごい額腫れてそう。いや、それは、もういいか別に気にしなくても。


「――ま、時期的にも丁度いいのかな」

「?」

「いや、王の追撃が始まる……その直後、それは物語の転換点、まぁ分かりやすく言えば()()()、と呼べる部分に入る辺りなんだよな。俺の人魚姫の物語の」

「第二部と、申しますと、何かあるのですか?」

「あるさ。人魚姫のライバルは王子だけじゃない。もう一人、隣国の姫が居る」


 彼女が出てくるのは、丁度この辺り……いや、もうちょっと後か。王様が人魚姫への追撃を初めて、一月ほど経った辺りだったはず。


「彼女も物語の重要なファクターだ。彼女の国に逗留しながら、隣国の姫と人魚姫、そして王子の物語を、修正する必要あれば、していく、って感じか」

「なるほど。所で隣国の姫と言えば……」

「あぁ。人魚姫のライバル、つまりは()()()()()だよ」


 何処まで行ってもバトルと飛び散る汗と筋肉。いやそれだけじゃないんだけども。とはいえ、こっちの国よりは、まぁのびのびと過ごせる。それならまだ隣国の方が全然マシってもんだ。


「こっち来てから、ピンチ、ピンチ、ピンチ。後この国ではいつ捕まるかっていう緊張感が付きまとって来たけど、漸くだな」

「えぇ。ループ脱出も、よりスムーズにできるようになると信じましょう」


 ……向こうに行ってもトラブル続き、とかは流石に勘弁してもらいたいんだけども。まぁ無いだろうな。俺らは向こうで何もしていない訳だし。うん。


アンデルセン先生ごめんなさい。


とらぶるがないといいなぁ(フラグ)

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