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ポンコツ作家と有能編集、自世界を行く  作者: 鍵っ子
一章:ポンコツ、自世界に立つ
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文字を書け、さすれば救われん。

「――王様に人魚姫が邪魔される。それが俺の懸念だった訳だ。それで二人の接触の機会がまぁ大幅に減る、更に接触しても邪魔される……そんなのをな」

「それをどうにかする為に物語を破壊して見せたという訳ですか」

「いや、それは……うん。ぐうの音も出ないけども」


 その言い草だと俺破壊神か何かだと勘違いされかねないんだけども。それは、許してくれないかなぁ……ちょっと傷付くどころの騒ぎじゃないんだけども。


「と、兎も角だ。邪魔されるなら、更に燃え上がらせればいい。邪魔されても全然問題ないくらい……二人がヒートアップさせるようなバトルをここで挟む!」

「具体的には?」

「イベントを作るのだ! 二人で定期的に出会うイベントを!」

「――成程。減らすのではなく、増やしに行くと。破壊神では無く、やはり創造主らしいことをしたいという事ですか」

「いやそう言う事ではないけどもさぁ……まぁでもそう言う事でいいや面倒だし」


 破壊神呼ばわりされなければ。もうなんでも。


「それで? それにどう書状を活用すると?」

「ひひひ……なぁに、人魚姫が王子の事に反応して出てくるっていうなら、こっちが餌を撒くのさ。王子に向けてな」

「王子に向けて、ですか?」

「そうだ。絶好の餌を、俺らは見つけてる筈だぜ?」

「王子に向けての格好の餌、そんなの……ん? いえ、そういえば」


 そうだ。俺らが人魚姫を見つける切欠……あの、盗賊団さ。真面目に居るとは思ってなかったあの野良の盗賊団。


「アレが居て、人魚姫はアレとぶつかる。それが分かってるなら、それこそ王子にチクらないといけないっていう話だ。治安を考えてね?」

「……そこに丁度人魚姫が居合わせると、偶然にも」

「お気に入りのスポットの近くで、な……?」


 ふふふふ……黒幕っぽい事やってるかもしれないけども、コレは黒幕の行動じゃない。あくまで、あくまで俺が親切の為にやった事ですから? 善意からですから? そんな誰かをハメる積りも無いですし!


「今までで一番黒幕ムーブでは?」

「いいや? 俺はあくまで善意に厚い一市民としてね? 仕事をしているだけなんですけども? それに黒幕なんて言われるのはなぁ?」

「いえ、それ完全に黒幕のセリフですよ……ですけどまぁ、言う通りですね。それなら善意のモブキャラとして、仕事が出来ますか」

「そうだろう? これこそが完璧な仕事だよ」


 そして、今度こそこのループを脱出する目途はたった。しかも、今度はしっかりと目途が立った上で。今までよりは、しっかり目標を目指して頑張れるってもんだ。


「さぁ、始めよう。これで、今度こそループ突破って奴だよ!」

「最初の一回でそれが出来れば、苦労は無かったんですけどもね。あと一歩、格好がつかないと申しますか」

「うっしぇ……ええいそんな事はどうでもいい! 先ずはこの仕事を成功させるためにもやらなくちゃいけない事があるんだ!」

「ほう、何時になくシャキシャキと進めますね。それで? 何をするんですか?」


 ふふふ、それはな……




「次のループまでに文言を考えるんだよぉおおおおおお! 王子を騙す二枚の書状のなぁアアアアア! オラオラオラオラ書け書け書けぇええええええ!」

「結局こうなりますか。まぁループも後半でしたしね。やっぱり恰好つかないというか」


 相も変わらず、恰好つかないというのは全くその通り! その辺りまでキッチリ考えられてたら文句は無かったんですけども、それでも俺は書くしかないんだ! 所詮は小説家ですから!


「うぉおおおおおおっ! 今までで一番筆が進む……訳でもない!」

「さらに格好つきませんね」

「結局頭を掻く回数が増えただけ! とはいえやる気には溢れていますよ! 今まで以上にね! それが書く速度につながれば文句ないんですけどもね!」


 全然つながってくれないし文言も全く浮かばないと来た! フゥッ! 楽しい!


「なんか変なテンションに入ってませんか先生」

「もうね! もうね! 次で突破できないと余裕ないからね! 光明見つけたテンションと混ざって脳内麻薬ドバドバよ! 良い意味でも悪い意味でも頭おかしくなってるよね今ホント!」


 だからと言って書く力も文言も全然決まらない! 文言が浮かぶけど、なんだったらテンション上がって溢れて来てるだけだから、後で冷静になったら『何だこの文章クソ以下の汚物じゃん……』ってなるの必至だし!


「あー頭に溢れてくる言葉選ぶの気が可笑しくなりそうぅゥゥゥ!」

「やっぱり小説家というのは頭を冷やしながら仕事をした方がいいんでしょうねぇ……そう考えると、嫌でも頭が冷えるカンヅメ、という方法は間違ってはいなかった?」

「いやそれは間違ってるから」


 あっ、今一瞬で頭冷えた。背筋に液体窒素注ぎ込まれたみたいになった。ヤバいヤバい頭冷やさないとまたぞろ部屋に閉じ込められて熟成させられる。


「あっ、でも筆が進むようになったぞ」

「冷静になれたようですね……残念」

「オイマテ残念とはどういう事だ。マジでカンヅメするつもりだったのか?」

「カンヅメって先生と二人っきりになれるので結構わくわくなんですよね」

「無表情パーフェクトクールな表情で言われても全く説得力に欠けるんだけども?」


 それを恋する乙女の表情で言われたらそりゃあ『おっ?』と思うかもしれないけれどもさ。それじゃあ『お』とも思わんわ!


「まぁ冗句はここまでにしておいて。では、私も少し手伝いますよ」

「手伝うって」

「もう夜も遅いですし、食事もマトモに取ってないでしょう。何か貰ってきますよ。スープでもなんでも、お腹に入れるだけで大分変わりますし」

「あー、そういう……じゃあ、頼めるかな」


 ……ああやって、一々ちゃんと会釈返して出て行く所とか、だからカンヅメにされたりしたことが多々あっても信用できるんだよなぁ。


「ま、ああやってサポートしてくれた分は働かないといけないかなぁ」


 おーしっ! 書き上げるまで根性据えて行くぞォ!


アンデルセン先生ごめんなさい。


逆にそれ以外では救われない。

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