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ポンコツ作家と有能編集、自世界を行く  作者: 鍵っ子
一章:ポンコツ、自世界に立つ
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大ループモード

「――作戦会議だ!」

「ですね。完全に目論見が外れましたが、それについてコメントはありますか?」

「吐きそうだよ……! ループ入るなんて欠片も想像してなかったからなこちとら!」


 もうあのまま稼いでお隣に逃げて終わりにする積りだったからね! そしたらなんだ一体これは! えぇっ!? まるで意味が分からんぞ! 何日逆行させられてんだオイラ達はよぉ!


「あんだけ……っ! 危ない橋を渡って、漸く対策の一つも出来たってのに! それの果てがこのザマか! 畜生、何処で間違ったってんだよ!!」

「私には分かりませんよ。分かりませんが、こうして叫んでいるだけではいけませんから先ずは何処でミスをしたかの考察と、それらに対する策を考えてですね」

「慟哭ぐらいさせて??????」


 こう、なんでだよー、落ち着きなさい、煩いお前に何が分かる―、的な展開すらなくさっさと対策をしろって。ドライ過ぎない?


「……はぁ、分かりました分かりました。やればいいんだろ。感傷にくらい浸らせろっていう人の心の機微が分からんのかね」

「分からない、というより理解している暇があれば、その分やるべきことをやって、早めに幸福を掴んだ方が、自分も相手もハッピーになると思うので。意図的に理解しないという方が正しいです」


 うーんド正論。


「で、問題は、どこで間違ったかだ。俺、何かおかしな判断したかなぁ」

「二人で考えたんですから、私達、ですよ。それは兎も角……私としても、そう悪くないとは思ったんですが。リスクを減らし、最大限のメリットを取りに行けて」

「だろう!? あれ以上となると……」

「可能性があるとすれば、やはり王様に直接会う必要がある、位でしょうか」

「リスクを態々拾いに行く!? それは新しいな!」


 良い事だとはひとっことも言ってないけどな!! 絶対そうじゃないだろう、というか直接会いに行く難易度の方が高いわ、人魚姫助けるより。


「まぁ流石にないですけど」

「冗談だったらよかった。うん。とても良かった」

「となれば……他にやる必要がある事が、存在する?」


 特殊条件下じゃないと突破できないとかどこのRPGかな? 時代とかだけ考えれば実質RPGみたいなもんだけど。


「他にやる事がある、としたらなんだ?」

「考えられるとすればやはり、見せ場ですか? 見せ場を作り損ねてしまったのが致命的だった気がしないでもないですが」

「どうやって見せ場を作れというのだ王様を止める流れの中で!」


 それはさぁ、俺が王様の所に殴り込みをした挙句、壮絶二審で終わる未来しか見えないんだけども。壮絶って言っても、俺が断頭台に送り込まれて終わりっていう感じだとは思うけども。


「はー……要するに、ちゃんと現場に乗り込んでやれって事なのかね」

「いえそんな現実的でないですし。それに、王様に何かしら陳言するのは宜しくない気がするのですよ」


 んー?


「なんか、そう思う理由でもあんの?」

「今まで、私達は結局の所、本編に直接かかわってきたわけではないんですよ。なんだかんだ言って。人魚姫に会った時にしても……例えば、そうですね。『周辺の村人から国内で自らを探している、という噂を聞いた』とでも小説内で書けば、私達の代役は誰にでも出来ますし」

「……成程、俺達はその他大勢のうち一人でしかなかった、と」


 ここは物語の中な訳だ。で、その物語を、より理想にそって修正するのが目的だとするなら、そりゃあ、俺だったら余計に登場人物を増やすのは、良しとしない。モブだったらまぁ必要経費ではあるけど。


「王様に陳言した物語の語り部かぁ……これはネームドですね」

「絶対良しとしないでしょう。展開成り立たなくなってキャラ増やすとか私からして却下ですよ全力で」

「それを悟って俺は提案すらしないと思う」


 キャラの緊急登用は本当に作者の最終手段(執筆時)だからな。本当にヤバイ、展開どうしようもない……って時しかやらないのよ。本当に。因みに締め切り時の最終手段は県外逃亡なんだけど、大抵通用しないのよね。


「という事で、取り敢えず突破する為の、仮の目標は三つ。王様に接触せず、しっかりと見せ場を作り、尚且つ人魚姫から手を退かせる」

「成程ね。目標が随分とハッキリしてるなぁ……無理ゲーかな?」

「それでもやるしかないでしょう」


 迷わずやるしかないって言える辺りは本当に有能。しかし注目するべきはそこではなくその回答に掛かるリスクを完全に度外視している点であると申し上げればいいのか……


「はぁ、そうじゃなけりゃ、この人らしくはないか……」

「何か?」

「いいや。そう言って『やる』以外の発言が無いアンタだからこそ、安心するし、酷いとは思うけど、信頼する事も出来るなって」

「――そんな事言っても原稿に関して一切の手加減は致しませんけど?」

「はいはい。そんなつもりで言ったんじゃないですよーってな」


 さて意識を切り替えよう。問題を解決する為に、まずどうすればいいか。書状の内容を変えれば何とかなるレベルか……? それとも、もっと別の方法で、王様に人魚姫から手を退かせるか。


「まず、書状を送って相手をどうにかする作戦は悪くは無いと思います」

「あ、其処は変更しないんだ」

「えぇ。最も現実的な方法ではないかと。この時代に置いて」


 ふむふむ。


「じゃあやっぱり内容を変更する方向で行くか……?」

「いえ、内容も間違ってはいないかと。書状の内容だからこそ、かの王には通じる一手だったと思われますので」

「……じゃあどうすんの?」

「要するに、読者に魅せる展開が作れれば宜しいのですから、もう一枚ほどお手紙を送れば宜しいのでは?」


 ……いや、それはちょっと分からない。


「それでどうやって見せ場を作ると?」

「お手紙の役割は王子にやったように焚きつけるモノ、王様にやったように牽制するモノなどありますが……あるじゃないですか。一番良い役割が」

「なんだよ」

「それすなわち、恋文、です。先生」

「……恋文ぃ?」


アンデルセン先生ごめんなさい。


最強の兵器は恋って事なんですよ

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