表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ポンコツ作家と有能編集、自世界を行く  作者: 鍵っ子
一章:ポンコツ、自世界に立つ
45/285

熱血作家人生

「案外あっさりと行きましたね」

「まぁ、紹介もあったし、モノを渡すだけだからなぁ。渡すって言うか、潜ませるって方が正しいけれどもな……これで犯罪三件目だぜ俺ら」


 ――商人さんに頼んで、会わせて貰って……そして、何とか仕事は終わらせられた。いやぁ、後はちゃんと渡しをつけてくれるとありがたいが。


「とはいえ、王城に運び込まれた品に紛れ込ませるのが、一番王の目に触れる可能性が高いのですから、必要な措置だと思いますよ」

「その措置の責任は俺が負う事になるのかな」

「いえ、私と折半ですね。先生一人に背負わせたりはしませんよ」

「へっ……編集さん……っ!」


 くっ、泣かせてくれるじゃあねぇか。アンタと俺、編集と作家は二人三脚だ。一緒に仕事を熟そうじゃ……いやちょっと待て、一瞬感動したけど、二人三脚だったら俺を削り取る様な仕事させるなよ。俺の心を少しは読み取ってくれ。




「どうだった?」

「はい。紙を安く仕入れられるところを無事教えて貰えました。商人さんのお陰です」

「そうか。良かった良かった。いやぁ、紙に関しては私も詳しくないからねぇ。アイツに連絡を取れてよかったよ。しかし、前回に続き、紹介するだけなんて、君達も欲がないねぇ。もっと高い商品が欲しいだとか、言っても良いんだよ?」

「そんな、ご迷惑になるような事は出来ませんよ」


 する必要もないしねぇ。


「全く出来た娘さんだこと。もし私の所で買い物がしたくなったら、何時でも言いなさいな。値下げは出来ないけど、取り置きくらいはするよ」

「いえそんな……本当に大丈夫ですよ」

「まぁそう遠慮しないで、君はこれからも稼ぎそうだからね。人格的にも信頼できるし、私にも利のある提案だとも。だから迷惑などではないよ」


 いや、アンタにとってはマジで迷惑になると思うから。止めとけ。其処の人、利用しようと思ったら何でもする人だから。変に弱みを見せちゃ……


「――いいえ、稼ぐと言っても不安定な身。私達を助けて頂いた人に、迷惑をかける可能性が少しでもあるのであれば、やはりそう簡単には頷けませんよ」

「お嬢さん……」

「ですがもし私達に情けをかけて頂けるのであれば……私達のお話に、偶に耳を傾けて頂ければ、それだけで幸いでございますので」


 ええぇぇぇぇええええええ!? アンタ、アンタ、そんな殊勝な発言出来たの!? 俺に一切の容赦をせず、兵士から金を搾り取る為に全力で講演し、更には城に向けて偽の書状を……い、いや。そのアイデア元は俺だったか。


「そうか。君がそう言うのであれば、それ以上は言うのは無粋かな。分かった。この街に居る時は、出来るだけ君の語りを聞きに来るよ」

「そうしていただけると本当にありがたいです」

「約束するとも。それじゃあまた。あの話の続き、楽しみにしてるから」


 あ、はい。それでは、さようなら……うん。良い話だったな~……じゃなくて! アンタ! そこのアンタだよ! なんかいい子ぶった表情で送り出した其処の女性! グラマーウーマン!


「あの、どうしたの。そんな急に」

「何がですか?」

「何がですかじゃないんだよ、アンタ、凄い勢いで猫被ってるやんけ。いや、猫被るのは何時もの事だよ。そう言う事じゃなくて……良いのか?」

「商人さんの提案に乗らなくて、ですか?」

「そうだよ。アンタだったら、普通に乗るかと思ってさ」

「――何言ってるんですか先生。私たちは帰る予定の人間なんですよ?」


 ……まぁ、確かにそうだけども。


「それとこれと、なんか関係あるのか?」

「帰る予定の私たちが、余計なコネだとか作っても仕方ないでしょうに。あくまで必要最低限、生き残るために必要な物だけを得て行くべきですよ」

「あー、まぁそう……なのか? そういえばそうか?」


 確かに、立ち去るのであれば、不必要だけどもさ。

 けど、にしたって一回位でも使えそうなら、ゲットしておく、位の勢いが良いんじゃないかって思うんだけども。


「はぁ……先生は理解していないようですが私達は犯罪者な訳です」

「いや言い方よ。間違っちゃいないし、正直バッチリ当たってるけれどもさ」

「誰かと関係して居ればしているだけ、私達はそこから存在を把握されたりしてしまうんですから、寧ろ余計な関係を作るのは悪手までありますよ」

「なるほど」


 俺達にとっちゃリスクしかない、って事か。確かにそう考えると、俺が考え無しに見えてくるなぁ。ううむ、ここは素直に反省。


「しかし、そこまでよく考えてる事で」

「先生が考え無し過ぎるんですよ。私だってそこまで深く考えられる訳でもないです。明らかに危ないな、って事くらいは気が付けますけど……」

「いやいや、普通は思いつかないだろうよ。こうして、ここで……」


 っと、いかんいかん。またここで生活する前提みたいな。いかんな、慣れて来ちゃってるからか。さっき編集さんに言われてたってのに。この辺りは、特に気を付けないといけないな。


「――これは、しっかり仕事をさせた方が宜しいでしょうかね」

「えっ?」

「向こうでやる仕事を忘れて此方に馴染むお積りなら、全力を賭して思い出させて差し上げるまでです。久しぶりに……三徹カンヅメ、いっときますか? 良いですよ? 先生の根性に喝が淹れられるなら、全力をもって相手をして差し上げます」

「あっ、いえ、その、別に、なんでしょう、そう言う話になんで……」

「大丈夫ですよ先生、とても辛かったですけど、耐え抜きましたよね?」


 耐えきったからって、そもそもアンタが耐えさせたんでしょうが! というか逃げられなかったから、必死こいて耐えながら仕事したんだよ! 止めろ! 思い出させんなマジでお願いだから!


「何だったら帰りたくなくなって来たわお前の所為で!」

「そんな言い方はいけませんね。もしや、仕込みがたりなかったのでしょうか……?」

「あの、すいません。一応お聞きしますけど何の仕込みですか?」

「そうですね。根性とか。根性とか。根性とか」

「まさかの根性三原則!? どんな前時代的な思考なの!? 馬鹿なの!?」


 鬼だ! こんなに現代人なのに! 鬼が居る!


アンデルセン先生ごめんなさい。


根性って別に悪いWordではないんですけどね

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ