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ポンコツ作家と有能編集、自世界を行く  作者: 鍵っ子
一章:ポンコツ、自世界に立つ
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作者の俺が神から犯罪者になった件

 いやしかし、相変わらず凄いお城だなぁ。まぁ、ここに王子様がいらっしゃるから仕方ないというか……いや、それは兎も角として。


「俺、ついてこなくても良くなかった?」

「先生は放っておくと碌な事をしないので、ずっとこうして監視するのが一番効率が良いと思って居たんですよ」

「あのー赤んぼみたいな扱いはさすがに抗議したいんですけども」


 別に碌な事しないって言われても、別に家に引き篭もるだけじゃん。ちょっと汚部屋にするだけじゃないの。ちょっと、お金を無駄に使うくらいじゃないの……まぁ、ロクでもない事は、してるかな?


「でも自己管理は出来てるから」

「はいはい。いいですからさっさとついて来てください。間に合わなくなっても知りませんよ。さ、急ぎましょう」

「ええい話を聞けと言うにお主! 分かった分かった、ついていきゃいんでしょうが」


 つっても、これ渡すだけだと思うけどもね? 本当に俺が必要だったかと言われると凄い微妙だけどもね?


「あちらの……門番の方でいいでしょう――あの、もし」

「ん? って、この前の語り部さんじゃあないかい。何かあったのか?」

「あの、ちょっとコレを、お城に届ける様に、と申しつけられまして。こちらです」

「城に届ける? どらどら、ちょっくら見せて……」


 ……良し、困惑した表情でもないし、明らかに驚いてる表情だし、第一関門は突破と考えて良いか。


「まさか、いやしかし……コレは誰から?」

「名前は聞かなかったのですが、相当に身なりの良い……それこそ、旦那様と遜色の無いくらいには、立派なお姿で」

「そう、ですか。であれば分かりました。こちら、お預かりいたします」


 じゃあすいません、よろしくお願いしまーす。いってらっしゃーい……いやぁ、ははは。ここまで上手く行ってしまうと、何だろう。ちょっと笑えて来る。

 黒幕って、こんな気持ちなんだね。


「――いやー、気持ち悪い顔してましたね」

「黒幕ムーブってここまで楽しいかと思うと、ちょっと笑えて来て」

「創造主ムーブが板について来ると戻れなくなりますので、程々にしておいてください」

「あの、黒幕ムーブは麻薬何かなの?」

「麻薬、というよりは合成ドラックですね。危険性を考えると」

「あー成程危険度が跳ね上がっていらっしゃるねぇ……成程成程……」


 やっぱりオイラは庶民的な方が向いてるかなぁ。知ってる。という事でお兄さんは落ち着いてお嬢さんの後ろで大人しくしておきますね……


「じゃあ帰りましょうか」

「えっ!? 帰るの……? 話とか、聞かれるんじゃないの?」

「待て、とも何とも言われておりませんので。ササッと帰って、次の作品のアイデア出しでもしましょう。ね」

「あ、はい」


もう今は私、編集さんのね、イエスマンでございますから。何でもさせて頂きますね。全力で。はい。お任せください。アイデアですね。とはいえ……手加減はして頂けると有り難いのですが……。




「――さーて、如何ですかね。反応は」

「まだではありませんか? 引き返す時間もあるでしょうし……」

「時間稼ぎがどれだけ効果があるか分からんからねぇ。出来るだけ早めに効果を上げてくれれば……まぁ、取り敢えずお城から戦力は出してくれたっぽいけど」


 まぁ、それは分かりやすいというか、こうやってこんな城の周りの町々にもしっかりと兵士の方が増員、されてるんだよね。


「まさかここまでとはなぁ。罪悪感マシマシになってくる」

「やったんですから今さらですよ。諦めて仕事をしましょう。ほら、先程から筆の進みが絶望的ですよ、馬車馬のように書いてください」

「あー、分かった分かった……しかし、本当に書きなれねぇなぁ……」


 羽ペンで羊皮紙とか、書くだけなら出来るだけど、スピードは出ないんだよなぁ……チクショウ、俺って速筆気味なのが長所なのに。


「しかし、ここまでとなると、万が一バレていた場合危ないですねぇ」

「うーん町に来てる兵士様が乗り込んで来るのかな。今度は逃げられなさそう」

「夜逃げします?」

「資金も無い状態で? そもそも商人さんに口を利いて貰わねばループ突破も出来ないんだからさ。逃げる事も出来ないって訳だ……」

「おや、分かっているではないですか」


 この残酷な真実を抱えて生きるしかないんだよ。いや、ここでずっと生きていけるかって話になると違うけど。


「ここまで来たんだから、覚悟決めるしかないでしょうよ。俺らはもう凶悪犯になるか、無事に済んで次に行くしかないんだ」

「何方になるかは、神のみぞ知る……いいえ、神は貴方でしたか」

「おう百パーセント皮肉やめれ。こうやって紙に綴る事しか出来ないわ」


 ……ん、漸く固まって来たな。しかし、この前まで書いてた物語を、急に恋愛方向にシフトしろってんだから無茶も無茶だよなぁ。何とかまとめる事も出来たからいいけど、もし思いつかなかったからどうするつもりだったのか。


「――出来上がりましたか?」

「まぁ取り敢えずは。というか言ってないんだが、良く分かったな」

「何年貴方の編集をやってきたと思って居るんですか。それくらいは余裕です。草案で良いので、見せてください」

「あいよ……ったく、PCが有ったら楽なんだけど」


 とはいえ、それなりの仕上がりだとは思う。腕自体は機器には影響しないからな。羽ペンでも……なんだよ。なんでそんな顔顰めてるんだよ。


「――今初めて知ったのですが、先生、字が糞みたいに汚いですね」

「えっ? 糞みた、はっ? あの、今凄い暴言が飛び出したような」

「いえ。訂正します――汚物にもなり切れない塵レベルの文字の上手さです。PCを好んで使っていた理由が良く分かります」


 いやそんな理由でPC使っていた訳ではございませんけど???? まって、俺の字ってそこまで汚かったの!?


「まぁ、とはいえ私が読めるからセーフですかね」

「あの、編集さん」

「アイデア自体はとても良いので、ここから詰めていきましょうか」

「ちょっと、編集さんってば。お、俺の字ってそんな汚いの? ねぇ、ねぇってば」

「そんなどうでも良い事は放っておきましょう。とりあえずは、このアイデアを形にする所からです」


 いや俺にとってはどうでも良くないんだけどなぁ……!?


アンデルセン先生ごめんなさい。


らのべみたいなたいとるだなぁ(棒読み)

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