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ポンコツ作家と有能編集、自世界を行く  作者: 鍵っ子
一章:ポンコツ、自世界に立つ
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人魚姫と王子の決闘に割り込むRTA

「……誰も居ない、な。良し」

「早くしましょう。前回と同じくらいなので、大体十分から十五分前後ですよ」


 分かっとる! 分かってるけど……でもちょっと待ってくれないか。いや、土下座しようもうこうなったら。


「お願いだからもうちょっと待ってください」

「ダメです。行きますよ」

「おねがぁああいしまぁあああああすへぇぇぇんしゅううさああああおぉおおん!」


 こうなったらそのおみ足に縋りつく事も辞さない! もうセクハラとか言ってられないんだよ今は! だって、だって一歩間違えたら俺の死体が出来上がるんだもの! もうちょっと! ほんの僅かで良いから!


「……なんですか」

「まず、どうするかを考えよう! 何も考えないままでは、ホント、何も出来ないまま終わるとかあるから! 主に命が!」

「そうする為にも現場を見ておく必要があると思うのですが、先生」


 そ、即行動ばかりが良いって訳じゃないやい!


「と、兎に角! もうちょっと待ってください! 先ず作戦会議をしましょう!」

「先ずは威力偵察からですね」

「話を聞いてくれない!」


 ダメだっ……し、仕方ない。王子と人魚姫の大暴れにダイナミックエントリーするまでの僅かな時間に、策を考えるしかない! 知恵を絞れ俺、人魚姫と王子の事は誰よりも俺が知っているんだ……っ!


「俺が創造主なんだ……自信を持て……っ!」

「何か必死に考えてらっしゃるようですが、無駄だと思いますよ」

「まだ無駄と決まった訳じゃないでしょうが! 黙って集中させなさいよアンタは! せっかちでいけないわね!」

「どうして少しソッチ方向の方に?」


 思わずカマの蓋も開くってもんだ!


「生き残るために必死なんだよ……!」

「多分光景を目の当たりにした方が良い意見が出ると思いますけどね」

「いーや、転ばぬ先の杖だ! 今考えないと転んで頭打ってサスペンスなんだよ!」

「ハイハイ行きますよ」

「ちょっとは言い分を聞いて! お願い! 許して! お願いだから!」

「待ちません。ここからいろいろ探らなければいけないのですから」

「探るって!?」


 もうここを突破する為の可能性、と言うかその辺りは分かってるんでしょ!? 他に何を調べるっていうんだ!


「まず、何処を通ればいけないのか。其処から探りましょう」

「――へっ?」

「威力偵察、と言ったではありませんか。そもそも、兵士の皆さまの目を掻い潜ってそこまで行かなくてはならないんですよ? 遠くから観察するにしても、しっかり場所を考えないといけません」


 ……あ、えっと。


「俺をそのまま戦場に放り込むんじゃなくて?」

「そんな事をして先生が何か出来るのであれば良いんですけど。間違いなくあの世行きになって終わりますから。流石にそんな無茶を強いたりしません。先生を潰す為に編集が居るのではなく、先生を活かす為に私が居るんですから」


 せ、先生を活かす……っ! 編集さんから、そんな事を言われるなんて、オラァ初めてだよ……いや、そう言う類のセリフが初めてって言うのは、ちょっとアレかもしれないけども。


「と、とはいえそう言う事なら俺も全力を尽くすまでだ。任セロリ」

「センスが古いです。次に作品書く時までにアップデートをお願いしますね」

「いやどうやってアップデートすんだよ」

「異世界ならぬ、自世界の流行りとか、流行の先取りをしている気がしませんか?」


 成程、逆転の発想でね?


「……いや、無いんじゃないかなぁ?」




 えぇっと、さっき行ったのは、右だから……次は左か。こっちは、ってこっちはこの前俺達が脱獄してきた方向じゃないか!? ええい、縁起の悪い……


「とはいえ、こっちには誰も居なさそうだしなぁ。行くか」

「はい。もう一度捕まらないでくださいね」

「余計な事には気が付かないで宜しい……!」


 つっても、こっちから抜けるルートは……? あ、ちょっと待てこれは。ダメだな。見事に牢屋の方にしか道が無い。このまま牢屋に戻るのであればこのまま突っ込んでいっても良いけど、そんなメリットZEROの行動してもダメだし。


「戻ろうか」

「そうですね……とはいえ、一応、ここら辺の道順は覚えておきましょうか」

「えっ? なんで?」

「転ばぬ先の杖、と言う奴です。兎に角、問題はそこじゃないので、余り気にしないで次に行きましょうか」


 そうかぁ……編集さんにそう言われると凄い気になるんだけど。そう言われた直後にエジプトまで強制的に連れていかれて、市場の中心で放置されたことあったし。


「あん時はガチでヒエログリフ学んで帰らないと割に合わないと、狂った滞在時間してたけど結局極めるどころか俺には重たい言語だと悟るだけの結果に終わったなぁ……ある意味学ばせてもらったぜ」

「の割りには、私への手紙には『呪ってやる』とグリフで書いてありましたけど」

「修めるのは無理でも、まぁちょこっと書くだけならな」


 それすら出来ないって事になったら無念に過ぎるだろう。其処は意地見せたよ。一応作家だし、文字に関わる仕事だし。


「……しかし、こっちじゃないとなると、四回目で左にした別れ道から探索し直さないといけない気がするなぁ」

「本当にRPGやってる気分ですね」

「同じRでも、どっちかと言えばRTAな気もするけど」


 セーブポイントから速攻でやり直し連打で、一番スムーズに通れる場所を索敵している訳だし。あーしかし、何処がどうなっているのやら……?


「はー、しかしさっきからズシンズシンと、良い音がしてらっしゃる事」

「決着も、そろそろ着くのではありませんか?」

「その時点でループなんじゃねぇかな、その理屈だと……」

「そうですね……あら?」


 ん? って……


「窓が割れてますね」

「……まさかとは思うけど、二人のバトルの余波で? やっべぇなぁ……」

「丁度いいです。此方を利用させていただきましょうか」

「えっ? ここ通るの?」


 いや、確かに外に出る分には都合が良いけど、ってちょっと待て躊躇わずに外に出るな! あの、待ってってば!


アンデルセン先生ごめんなさい。


字面から謎過ぎるRTA

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