表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ポンコツ作家と有能編集、自世界を行く  作者: 鍵っ子
二章:ポンコツ、新天地に立つ
120/285

目が覚めたら……

 ――部屋は、以前の安宿より更に広く、そしてベッドも結構上質な物だった。編集さんはベッドじゃなくて、窓の近くにいるみたいだけども……よし、もう限界だ飛び込んでやろっと。よーし、いっくぞー!


「どらぁあああああん!」

「やめてください。ビックリしたじゃないですか」

「良いジャン別に……なんか、可笑しなテンションにでもなりたくなったんだよ……マジで」


 いーやー、これこれ。コレがベッドだよ! 前の安宿の者とは大違いって奴です! 前の所のも悪くは無かったけど、ここまでじゃなかった! フカフカって訳じゃないけど、体を柔らかく包み込んでくれるのは間違いない……ふひぃいいいい……


「はぁぁ……ベッドに寝るのも久しぶりだなぁ……ベッドってだけでこんな喜べるのって、とっても素晴らしい事だと思うんだよな。うん。現代人はね、ベッドで眠れるって事を全然ありがたがってなかったんだよ。そう考えると俺って恵まれてるなぁー……」

「そうですね。先生ならではですね。その喜びは」

「……なんか、なんでだろうなぁ……なんか悲しくなってきた気がする」


 ベッドで眠れる事が嬉しいっていうのは、翻って満たされてない事を意味してるんだよなぁ。満たされている人はちゃちな事で喜びはしない……いや、真に満たされてる人って言うのはそれでも喜ぶのかなぁ。いや、俺は決してそんな偉大な精神性持ってないから満たされてないんだろうね。


「でも、良いんだ……良いんだよ……偶には安らかにいたいんだよ……」

「……まぁ、確かに、今度こそ安らかに眠れる、かと思ってここに来てみたら、我々、と言うより先生がいきなりお尋ね者ですからね。そう言いたいのも分かりますが」

「じゃあもう寝て良いよね……」


 今日はめっちゃ頑張ったし、凄い疲れたんだよ……そろそろ限界を迎えそうだし。もう今日は何も起こらなそうだし……休むのも大切だよ……


「そうですね。今日はこれ以上頑張っても……?」

「ん? どした?」

「……いえ、何でもありません。取り敢えず寝ていても大丈夫ですから。後は私に任せていただいて構いません。大丈夫ですよ」


 あぁ、そうかい……じゃあ……ちょっとスイマセン……


「おさき……に……失礼……します……」




 ……んー……なんか……なんだろう……痛い……というか、ゴツゴツしてるなぁ……何なんだろこれは……ベッドって、こんな固いもんだっけか。もうちょっと優しく包み込んでくれる、そんな感触の、何か……だった……???


「――んんんんんんんん!?(んだっ!? なんだこれっ!? 縛り上げられてる!?)」


 し、しかもちょっと待って、口に、さるぐつわッ! 喋れん!? な、なんだ!? なんだ強盗か!? それともサイコ的な奴らが襲い掛かって来たか!? なんでそんな劇中に出ても無かった犯罪者が急に出てくるとか……!?


「――それで、本当に貴方だけなのですか?」

「はい。弟は先に家に帰しました。知り合いに頼んで。良い子ですから、聞き分け良く帰ってくれましたよ。ほら、何処にもいないでしょう」


 ――おぉっと犯人発見。しかも身近に。なんだったら一番信頼してた人が俺を裏切ってくれたんですけれど。全くもって動けもしない言ってのがヤバいよね。こんな念入りに縛る、ってレベルでギッチギチだからねコレ。


「確かにいませんが……隠しているとも限りませんからな」

「何故隠す必要があるんですか。悪い事をしている訳でもないのに」

「んーっ んーっ んーっ(現在! 進行形! やってる!)」

「いや、全くもってそうなのですけど。すみません一応、居なかったという確認が……」

「仕方ありませんね……はい。ベッドの中も、一応クローゼットの中とかも見ます? 私の服とがありますけど? ほら……こんな感じで」

「……えぇ。全く無いですねぇ。はい。すみません。確認完了です」


 いますよーベッドの下ですよー悪事の証拠がガッツリ残ってますよー酷いですよー子駒で縛られるいわれはないですよーでも発見されたらされたで面倒だから声は控えめにやってますよーえぇもう本当に言いたい事は山のように歩けども。


「――おい、そんな優しい確認で済ませるな」

 んびゅおっ!?


「えっ……!? き、騎士長!?」

「全く。職務怠慢をするな。しっかり中まで確認しろ。そうでないとご婦人に余計な疑いをかける事になるやもしれんだろう。ほら。こうだぞ、こうだ」


 あーっ! あーっ!? き、聞き覚えのある声が! 悪夢のような声が一つ! どうしてここに居らっしゃるんですか! 騎士様! 貴方は人魚姫様を追いかけていらっしゃるのではないのですかちょっと!?


「……あの、あんまりゴソゴソと」

「も、申し訳ありません! 騎士長、流石にそういうのは……」

「馬鹿者。もしこれで調査不足となれば、もう一度ご迷惑をかける事になるのだぞ。無礼でもしっかりと我々が仕事をしていれば、避けられる事態だ」

「しかしですね……」


 うーんこのクソ真面目感……悪くはない、悪くは無いんだけど、確かにこういう人って味方も居るけど確実に敵居るよなぁ! キャラクターがどういう動きするか、っていうのはキャラクターの性格把握してれば分からんことは無いけど、周りがどう反応するかはなぁ!


「……良し。一応、窓の近くも」

「はぁ」

「んんー……良し。後は、ベッドの下くらいか」


 実際にこうやって見て見ないと分からなんだって??? えっ? 覗き込む? ベッドの下? あの今縛り上げられた俺が居ますけど、それは大丈夫ですか? あの、俺未だ状況理解できていませんけどこれ見られたら今までやって来た諸々関係なくお縄ですよ?


「ベッドの下は、私の頭陀袋くらいしかありませんが」

「頭陀袋ですか。では、一応念の為に」


 誰が頭陀袋かっ! 貴様! この俺をコケにしおったか! ユルサヌ! 法廷で会おう! この世界に法廷があるかどうかも分からんけども! しかし怒ろうにも何も言えぬ! こんなご無体を言われて許されると思うな!


「……どうやらその様ですね。頭陀袋しか見えません」

「でしょう?」

「えぇ。もう大丈夫です。ご迷惑をおかけし、大変申し訳ない――行くぞ」

「はっ! 大変ご迷惑おかけしましたー!」


 ……扉も、閉まったか……良し。


「んーっ!!!!!(言い訳はあるか!)」

「何言ってるか分かりませんが、そうしたのは私が最善を尽くした結果となりますので、ご理解を頂ければ幸いです」

「んーっ!!!(して頂けるかご理解!!!!)」


アンデルセン先生ごめんなさい。


嘗てのノリを取り戻したい

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ