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ポンコツ作家と有能編集、自世界を行く  作者: 鍵っ子
二章:ポンコツ、新天地に立つ
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最も可能性の高い行動を

 えー……ぱっと見ですけど、大通りに居る奴ら全員がこっち見てるか。まー当然だわなぁいきなりこんな事言いながら出てくる奴がいるんだから……とはいえ、顔はフードに隠れて見えてないはず! 声は成人済のそれとは言え、顔さえ見えなければ……!


「……うわっ、なんだぁ!?」


 でえっと……驚いた俺を、編集さんが捕まえて引き摺り倒して……あのちょっと待って割とすごい力でぐぎぇっ!?


「(ちょっ、力強くない!?)」

「(静かに。バレますよ。手加減しては演技とバレますので、全力で当然でしょう)」

「(痛いんですけど)」

「(いいから我慢してください……今はコレが上手くいくことが最優先です)」


 だからって力任せに地面に引き摺り倒すとかそれはどうなの? もうちょっと、押し倒すくらいの感じだったのに……ほら見ろ、兵士さん達が若干『えっ、何事?』的な目じゃなくて『えっ??? いきなり暴力???』的なあっけにとられた目になってるよ。


「ま、待ちなさい……! 申し訳ありません! 直ぐに連れて帰りますので……!」

「あ、いや、えっと……だいじょ(ry」

「ご迷惑はおかけいたしませんので! お慈悲を下さいませ兵士様! どうか!」

「あっ、いや、いいんだけど……その、倒れた方の子は」

「お願いいたします! お許しください! お助け下さい!」

「はい分かりました!」


 何という謝罪ゴリ押し。と言うか編集さんが迫真過ぎる……って、ボーっとしてる場合じゃないか。えっと、次は……


「えぇ? なんでよぉ! お城に王子様とお姫様! 見たいんだよぉ!」

「ばかっ! そう言う状況じゃないのよ……! 弁えなさい……!」

「なんでだよぉ! 二人ともチューするかもしれないんだろぉ!? ラブラブするかもしれないんだろぉ! 見たいよぉ!」

「騒がないの……!」


 で、俺に覆いかぶさってる編集さんは迫真の演技をしつつ、表情は完全に無表情とかいうね。表情筋を全く動かさずに、声だけで迫真の演技をするって出来るもんなんだな。


「――ちゅー、へー……チュゥ。キス、ねぇ」


 おっ? この声は……編集さんで影になって見えないけど、人魚姫様かな。どうやら引っかかってくれたみたいだな。良し良し、後は……状況に気付いてくれれば、自然に動いてくれるだろうか。


「――くっ! 余計な事を……!」

「成程ねぇ……私をそんなもんで突然追い立てたのは、そう言う訳かい」

「……だとすれば、どうするというのだ」

「まぁ、ここまで追い込まれて、今更、って言うのもアレだ……引く事に変わりはないけども。でも! 何もしないってのは、それこそ女が廃る。そこでだ、炎の克服ついでにちょっとした……アピールをねっ!」


――ドッッッ……ゴォオオオオン!!!


 ……あの、今、見間違えじゃなけりゃあ地面にひびが入って……あっ、訂正するわ今現状もしっかりガッチリ入って行ってるねぇ!? あー怖い、本気出すとすーぐこういうことなさるんだから……!


「ぐっ……!?」

「貸してもらうよ」

「なっ……!? なんだっ!? ……っ!?」


 な、なんだなんだ!? 覆いかぶさってて全く状況が見えねぇぞ!? どうなってんだ一体!? ちょ、脇から何とか……


「き、貴様ッ、燃えている部分を、素手でっ!?」

「――成程、水の中では感じなかった、熱さだ。まぁだが、慣れてしまえばそう厳しいもんでもないか……んじゃ、折角の逢瀬なんだろう? そのお祝いと行こうじゃないか!」

「ま、待て! 今やっているのはそんな事では――」

「飛んでけぇ!!!」


――……ッドォオオン……


 あっ、なんか遠くから聞こえた。成功かコレは……となれば、もう後は俺達がここに居座ってもなんにもならんな。良し。


「……撤退」

「承知しました」




 追手は……無いか、流石に。目の前に明らかな脅威がある状況でそれ放置してこっち追っかけてきたらもう愚かとかそう言う問題じゃないもんな。うんうん。良かった、その辺りは理性的で。


「しかしまぁ、見事に投げつけましたね」

「正直な所を言えば、キャラのメタ読みだけどね。あの状況で、あの情報を聞いて、そのままにして逃げる程、人魚姫は大人しくない」


 情熱的で、決して聖人君子と言う訳でもない。故にこそ、恋愛にだって全力を注ぐ。如何に乱暴と言われるような行為だとしても、決して何もせずすごすご逃げ帰る……それを決して良しとしない。


「で、逃げないなら性格的に自分がここに居る、って王子にアピールでもなんでもするだろうよ。で、それで一番手っ取り早いのは……まぁ、モノの一つでも城へぶち込んでやるのが分かりやすいんじゃないかって言う話。人魚姫様の膂力なら難しくないし」

「……それが全てそうなるというのは、都合の良い想像、と言われても仕方ないと思うのですけど」

「舐めるなよ。こちとらキャラクターを作った創造主様だぞ。超人たちの力、登場人物たちの知能を上回る事は出来なくても、彼らの根っこから最も取る可能性が高い行動を想像をするのは不可能じゃない、ってな」

「わぁお、何というフィクサー発言」


 ……否定はできないけども。


「だがそのフィクサーの想像力あってこそ、俺達はこうしてループを突破できるってな」

「……そうですけど。しかし、これ大丈夫なんでしょうか」

「はっ、ダイジョブでしょ。流れ自体は変わってない。人魚姫は追い立てられ、王子と隣国の姫の因縁は出来上がった」


 ただ、今回の一石が、もしかしたら何かしら、バタフライエフェクト的な問題を起こしてるかもしれないけども……それが、この先問題とならない事を祈ろう。


アンデルセン先生ごめんなさい。


ご都合主義って言われたくないけど、キャラクターの性格から行動を予測してそうなるんじゃないかっていうのを誘導するって傍から見て完全にご都合主義って言う。

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