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ポンコツ作家と有能編集、自世界を行く  作者: 鍵っ子
二章:ポンコツ、新天地に立つ
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アピールしてください

「……アピールの仕方を間違えるのはいい。何度もループして、成功するまでやればいいんだから……しかしながら、ずっと明後日の方向にアピールし続けたらヤバイ。それに気が付かないのはもっとヤバい」

「なまじ繰り返せてしまいますからね。成功するまで何度でも、とか言ってハマり続けるのも想像が出来ます」

「成功しなくて、この方法は間違いで、もう一回同じような事をってなってみろ。出来るかとなれば……無理だよ。うん」


 そもそも、あそこにバレない様にさりげなく、尚且つしっかり人魚姫に届く様にアピールするってだけで、割としっかり心がすり減ると思うんだよなぁ。別に鉄火場でひりついた勝負をする事だけが精神削ぎ落すだけじゃないと思うし。


「つまりは、もう一発成功の勢いで、しっかりとプランを練る方が良いんじゃないかと思うんだよ。という事で、何か素案は!?」

「この私達の胸のパトスをどうやって伝えるか……踊りましょうか?」

「いやどんな発想?」


 普通に発想で負けたんだけど。確かにどっかしらで急に踊りだすとか確かに目立つし間違いなく目に入るとは思うけど。それが許されるのは多分だけどボリウッドとかインド映画だけだと思うんだよなぁ。


「それに、そんな、何の前触れも無く、急にパッションタップリに情熱的に踊りだしたら病院送り……いや、この時代だったら悪魔憑きとか呼ばれて教会送りじゃねぇの。教会で賛美歌唄いながら踊るかい?」

「教会で、凝り固まった教えで苦しむシスターたちを、突如一緒に暮らす事になった姉弟の情熱が救う……書いてみます? 帰ったら」

「それこそインド映画かなんかであるんじゃねぇかな」


 多分舞台は教会じゃなくて寺院だろうし、仲間もシスターではない、ヒンドゥー仕様になってるだろうけどもさ。俺、ヒンドゥーは詳しくないんだよね。あの辺りを旅したことはあるけど、慣れてない時だったから本当に……必死こいて……学ぶ暇も無く……


「今度ちゃんと調べるべきなんだろうか……ヒンドゥー教……」

「ヒンドゥー教は調べようと思うと大分沼りますよ本当に」

「そうなの?」


 へー、そんな楽しいんだ。ちょっとだけ興味出て来たな。ああいや、今はヒンドゥー教についてそんな熱い熱量で踊り明かす訳には行かないんで、取り敢えず置いておくとして……今度ターバン巻いて派手に踊ってみようかなぁ……


「まぁ牛は置いておくとして。踊って伝えるはペケと」

「……大声出しちゃった方が良いのか、意識させるだけなら。幾らあの騎士が有能って言ったって、偶然聞こえた会話からヒントを得る……的な事を考えると思うか? いや考えそうだなぁ……!」


 あの騎士様って、それこそ人魚姫さんよりも主人公補正乗ってるレベルで凄い冷静な推理を展開して……(いろんな人とめっちゃ協議して思考を組み立てましたコレ)人魚姫を徹底的に追い詰めるっていう事をしてたもんな。


「主人公補正乗ったキャラクターって、マジで無敵なんだよなぁ。どんな『お前の思考回路どんなん!?』って言うレベルの推理だって、ご都合主義レベルの勢いで僅かなヒントから閃くからなぁ」

「……私としては良かったんですけど、面白かったですし。主人公じゃないんですよね」

「俺だってアイツを主人公にしたつもりはないんだけど、力ある存在に知恵と工夫で立ち向かうって言う……主人公じゃないの! 主人公じゃないのに主人公なの!」


 幾らなんだって主人公補正に怯え過ぎじゃねーかカスとか言われちゃえばそうなんだけども俺は作者だからこそ恐ろしいんだよ! 自分でね、ご都合主義にならないように念入りに主人公補正を演出した結果……このザマ!


「もう99%のひらめきと99%の努力と2%の奇跡の人間だよアレは……」

「合わせて200%ですか。人間やめていますね見事に」

「アイツも大概超人だよ……いやホントに」


 ……しかし、いかに超人とはいえ、メタ知識前提の、しかも本当偶然を狙ったような作戦迄見抜けるか、といえば……常識に当てはめて考えるなら100パーセントないとおもうのが普通だと、思う。


「……賭けに出てみるか?」

「いいんですか? 万が一疑われてループ突破すれば」

「確率は低いし、考えてても進まないし、出るだけの意味はある、んじゃないかな」


 何もしないまま、あっ……こんなに時間無駄遣いしちゃった……終わった……とか優柔不断な日本人では良くあるような悲しい事態が沢山あるので。あぁ、ちょっとお高めだから買おうかなどうしようかな……とか迷ってたら目の前でゲーム機買われた虚しさよ。


「それに俺達が疑われようと、その時の為の無敵のアリバイ工作術をこっちは準備してるんだ。この先疑われても、とっ捕まえる事は容易にできやしない」

「なら最初の一回だけでも思い切って。了解しました。ここは大声でアピールしを」

「とはいえ、出来る限り自然にやる必要があるのは間違いないけど」

「しかし、大声でアピールして不自然じゃない、と言うの事態が些か厳しい気がしないでもないですが」


 アピールする事自体が不自然さの塊だからね。それを不自然にならなようにとか矛盾塊の極限だよ。カニがザリガニ名乗ってる所の騒ぎじゃねぇ、蜘蛛がタカアシガニ名乗って地上を闊歩してるレベルの暴挙だ。


「……ひと工夫が必要なのは間違いないな」

「演技か何かしましょうか?」

「どんな? 」

「んー、大声出しても全然不思議どころか、寧ろそれが自然に思えるくらいの……何かでしょうか」


 そんな都合の良い……何かいらっしゃる? そもそも、人ってそんな簡単に騒いだりアピールはせんでしょうよ。それこそ、余程珍しいものを見たとか、それこそ夢にまで見てた都会に……都会に……


「っあぁあああああ! 思いついた!」

「本当ですか。今回は冴えていらっしゃいますね。先生」

「おう。俺ながら頭脳が凄い回ってる気がする。するけども、でも……いやぁぁぁ……やりたくねぇぇえええええ……!」


 く、クッソ恥ずかしか! そんなバカみたいな演技するの! 吐きそうだ! いやバカみたいって言うのは失礼かもしれないけども! でもしょうがないじゃん。そういう、純朴な心も無くそれをやるってのは……シチュ的に違うんだよ!


「……それだけ嫌がるって何をやるんですか?」

「……覚悟決めろ俺。覚悟を……」


 俺自身、都会で汚れ切った人間だというのに……ピュアピュアな頃に戻るとか、ウガガガガガいやぁああああああ!

アンデルセン先生ごめんなさい。


ピュアな頃の演技って自殺したくなるのは私だけじゃない筈

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