表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ポンコツ作家と有能編集、自世界を行く  作者: 鍵っ子
二章:ポンコツ、新天地に立つ
112/285

酷使される人される人

「――あっさり承諾して貰えたな」

「まぁ取引なんて言っても、向こうにとっては、嘘の一つでも吐いて貰えればいい、という余りにも都合の良い条件ですので。食らいつかない道理が無い」


 現代だったら偽証罪とか犯人隠避とか適用されるのかね。そんなもんこの時代に存在しないし、幾らだって嘘の一つでも吐いて、俺達を助けてくれるって訳、なのかな。取り敢えずそう言う事で納得しておくか……


「しかし、他の誰かにアリバイ作りを手伝ってもらうとか。もういよいよドラマの犯人染みた事してんな、俺ら」

「仕方ないでしょう。我々は不審がられた時点でしっかりと『関係ない』と証明できなければ追及されてしまいますし、そうなれば相当厳しい。ましてや相手が相手、どれだけ警戒してもし足りないのは、キャラを設計した先生が一番お分かりでは?」

「そうだけどもねぇ」


 今までやって来た事は、まぁ、なんだ。ギリギリ犯罪……いや大分犯罪より……グレーと言うか結構濃いというか……な、感じだったけど。今回のコレはいよいよ言い逃れ出来ないレベルで黒い事やってるからなぁ。


「なんか、いよいよ一線を越えた感があって」

「何を今さら。ここは法治国家日本ではないんですよ? その辺りを理解して、ここにもっと慣れてください」

「慣れ過ぎてもダメでしょうよ……って言うかここ町中だぞ」

「そう人通りも多くないですし大丈夫ですよ」


 一番怖いのは、『コレは謂れなき罪を逃れる為だから仕方ない』ってどっかで思っちゃってる事だよ。本当にちょっと無法地帯に慣れて来ちゃってるのが怖い。


「大体、帰れた後コレじゃダメだって事くらいは、アンタだってわかるだろう」

「そこは私が矯正しますので。大丈夫です」

「それは大丈夫だって言わねぇんだがなぁ……」


 矯正される前提で動くのは流石にいやだ。だったら帰ってもそんな風に矯正されないようにちゃんと日本人としてのモラルを保っていきたいです。いや、日本人のモラルの方が優れている、と考えるのは驕りかも知れないけれども……


「あんまりこう言う事はしたくないから、これきりに出来ねぇかなぁ。頼む!」

「――大丈夫ですよ。コレからそんな事を無理強いするつもりもありません。ハイ」

「ホントに?」

「先生が大丈夫、と言うのであれば、ここから急いで離脱する為にも、私はあらゆる手を尽くす積りです。万が一の事があれば、ここでは国籍も無く、ままならないので、急いで帰る事が最適だと、思いますけど……望まぬことを無理強いするつもりはないです」

「……そう言ってくれるのはありがたい」


 流石に身も心も罪人になるのは、ちょっとね。この先日本国に帰って蛮人の如くヒャッハーしてしまう……のはちょっと、やってみたくないと言えばウソになるけど。解放感凄そうだし。


「それで……ハマり過ぎて……抜け出せなくなって……裸革ジャン……モヒカン……大暴走……バイク改造……資金不足……闇金……!」

「えぇ本当にやめましょう。嫌な単語しか今の所出て来てません」


 そうね。払いきれなくてコンクリ詰めの挙句海に捨てられて朝刊に乗るとかシャレにもならない。それこそ俺が小説のネタになっちゃう。自ら小説のネタになる作者の鏡ってかやかましいわ!


「……まぁ、もう二度とやらないって事だから、もういいか。現状を打開できたことを素直に喜ぼうじゃないか。何とかなると信じよう。うん」


 まぁ自らの魂を漆黒の悪に染め上げてまで遂行した策、わが生涯を切り開くシルバーバレットにならねば報われぬと言う物……あ、これは途中から罪を背負ったってなんか中二病っぽいって思ったからやってみました。


「いける……よな?」

「恐らくは。ですけども。これで、私達はどれだけ派手に行動して目を付けられようと彼らに偽証をして貰えるという訳です。懸念が無くなった、とは言い切れませんが」

「マシにはなったと思おうかね」

「えぇ……さて、後は向こうからやってくるトラブルに対処するだけですが……」


 まぁループに嵌り込んだらもうやるしかない所まで来ちゃってる訳だからなぁ。なら止まるんじゃない、突き進めばいいんだよ! そうだよ! 怯えるなヤマト男児、どうせ帰ってからはヒャッハーだ行けるとこまでいけ。いやヒャッハーにはならんけど。


「いざとなれば私も先生も酷使すれば何とかなるでしょう」

「うーん自らも酷使する勢いなのが実に清々しい勢いで大変宜しい事ですねえぇ全くもってねぇ! 他人だけを酷使しない上司の鏡だァ! 後はもうちょっと両者に対する思いやりと言うものを持っていただければ!」

「持ってますよ。思いやりを持って、丁寧に、最大限、酷使させて頂きます」

「何というシャイニングブラック! 眼が潰れそうな位輝いてらぁ!」


 輝いているのが決して良い事は限らないが! ブラック企業にも種類が色々とあって、残業を強要する所と、そうでもしないと持たない所と、社員全員が覚悟ガンギマリ仕事しすぎて結果的にブラックになってる所と色々あるけれど一番終わってるのは一番後者!


「つまり貴方! 自分すら全力で酷使するって言うその覚悟! 俺は見習いたくないけどなぁーちゃんと休み欲しいけどなぁー!」

「万が一の場合だけです。そんないつも酷使するなんてブラックじゃありませんか」

「だからそういってるんですけども!?」

「いえ。私は適切な所で、適切なタイミングで徹底的に酷使しますよ。そんなずっと酷使してしまって疲れてしまって適切なパフォーマンスを発揮できない、なんてそれこそ合理的ではありません」


 あっそうかぁ。でも酷使って言う方針は変えない辺りアウトだと思うんだよなぁ。ブラックじゃなければ酷使なんてしないだろうし。


「こんないたいけな作家を酷使無双しないだろうしなぁぁぁあ!?」

「甘い事言ってんじゃないです。先生が行われたカンヅメなんて酷使に入りません。寧ろまだまだ十三面待ちまで進化する余地が残ってますよ」

「やめてくれない悍ましい事言うの!? 嘘だろ……闇じゃん……」


 アレですら手加減とか、ちょっとゾッとする、レベルじゃないんだけど。やべぇ、背筋が凍りそうだ。こ、これ以上突っ込むのやめよう。酷使無双十三面待ちとか身ぐるみはがされるどころの騒ぎじゃねぇ……!


「わ、分かったその時はその時で……」

「どこで何が起きるか分かったものではないですから」

「まぁ起きるとしたら、この隣国の何処か。こんな広い国の何処かで起こった事を把握しろって言ったって、無理だけど――」

「――っぎゃぁああああああっ!?」

「そっちだっ! おいこめっ!」


 ……聞こえなかった。今何も聞こえなかった。


「良し帰ろうか」

「いきますよ」

「ハイ……」


アンデルセン先生ごめんなさい。


酷使無双の使いやすさよ……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ