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ポンコツ作家と有能編集、自世界を行く  作者: 鍵っ子
二章:ポンコツ、新天地に立つ
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生きるは恥とランデブー

「――おっ!? さっきの姉ちゃんじゃねぇか! いやぁ俺達になんか用かい!?」

「なぁなぁこっち来て酌の一つでもしてくれよ! んでもって色っぽい奴一つ、語って聞かせてくれや! 酒の肴が欲しいんだよ!」


 オイオイ態度が露骨に違うじゃねぇか野郎共! 俺が聞いた時はブチ切れて門前払いだったってのに! 美女に酌をして貰うのがそんなに嬉しいかってんだ! そりゃあ編集さんは美人だからなぁ! 嬉しいだろうなぁ!


「いえ、ちょっと弟が寂しがるもので、それは遠慮しておきます」

「えぇええ!? つれない事言うんじゃないよお嬢さん! その色っぽい体で酌してくれないなんてそりゃあ犯罪も良い所だぜ!」

「そうだよ!俺達はどうやってこの内なる感情を処理しろっていうんだよ!」

「それはご自分達で処理してください出来ればで宜しいので」


 そのリビドーを女性にぶつけようとするとそっちの方が犯罪になるけども? というか下ネタが過ぎるんだよ、若干品性が終わってる気がするぞ流石に。


「まぁしゃあねぇか。んで? 俺らになんか用か? 態々テーブルまで来たんだから話があるんだろう?」

「あら、話が早いですね」

「そりゃあなぁ。こんなむさくるしいテーブルに目の覚めるような美女が来るなんざ、遊びに、ってのは先ずないだろうよ。現実見えてるっての。なぁ野郎共!」

「いやぁ全くその通りってんだ! こちとら男やもめ! 女なんて誰もよりゃしねぇ!」


 それを自慢げに話すっていうのは哀しくないかオッサン共?


「私、少しあなた方の知り合いに御用がありまして……」

「ほーん?」

「知りあいって言っても、色々いるんだけどもなぁ? 一体どんな奴を紹介しろって言うんだ。金持ちでも紹介しろってか? まぁ、アンタだったら話の一つでもしてやれば金もボロボロ入ってくるだろうからなぁ」

「おや、そう言った当てが有るので?」

「そう言う奴らの色んな仕事を引き受けてまいりましたし?」


 体で稼いできてる連中、ってのは伊達じゃない訳か。とはいえ今回聞きたいのはそう言う事じゃなくてだね。


「興味はありますが。今は置いておきましょう。聞きたいのは真反対の事ですから」

「反対ぃ?」

「えぇ。ここ最近、特に荒れている方、素行の悪い方……言い換えれば、それだけ暴れん坊な方をご紹介して頂きたいのです。早急に」


 あっ……露骨に空気が変わったな。明らかに真剣な表情になってる。流石に冗談で話せるタイプの話ではないって事なのか。そりゃあ、そんな暴れん坊どもを紹介しろなんて普通の話じゃないし。


「……護衛でも探してんなら悪い事は言わねぇ。俺達にしときなお嬢さん。そう言う奴らってのは本当に最低限の品性もねぇ。それに、暴れまわってるからって言って強いって決まってる訳でもない。当たり外れはデカいぜ」

「護衛と言う訳ではありません。少し、取引をしたいだけです。簡単な」

「応じる手合いでもねぇぞ」

「応じますよ。それだけの材料を、此方は持っているので」


 あ、おっさんがテーブルの奥の方に視線やった。もしかして、奥に居る人が一番偉いさんなんかな。このグループの。で、奥の人は……うわぁ眼帯だぁすっごいキマっちまってるなぁ傷だらけで正にTheゴロツキって感じだ。


「……いいんじゃねぇか?」

「わかった。じゃあ話すからまぁなんだ。其処に座ってくれや。大丈夫だよ、酌なんて求めねぇから。まぁちょっと話が長くなるかもしれねぇから」

「はぁ、そう言う事なら、少しお邪魔させて頂きますけど」


 ……俺はどうしようかな。後ろの方で見てるかなぁ。なんだったら。暇だし。後で話を聞けば良いだけだし、ってあのスイマセン編集さんなんで俺の脇を持って持ち上げていらっしゃるんでしょうか何をするお積りでしょうか、あの、あの!?


「あのスイマセン、ちょっと、待って!? なんで膝の上に!?」

「よい、しょっと」

 

 

 っすっぅうぅうううう……おう、コラなにみてんねん。あぁ? 見せもんちゃうぞ。散れ。いや散るな。話だけ聞かせろ。でもって帰れバカヤロー。


「あの、なぁ」

「大丈夫です。何時もの事ですから。それと、これがそちらを睨んでても、そう気にせず頂ければ幸いです。恥ずかしがり屋なので、こうしている所を見られるのが苦手なのですよ。ふふふ」

「いや、そんな程度じゃなくて、さっきと完全に面が違うけど。下手するとこれ見た俺達を闇討ちして全員口封じする勢いの顔だけど」


 分かってんなら絶対に覚えてるんじゃねぇぞこの野郎が……! 忘れろよ、噂にするんじゃねぇぞ。噂になんぞしようもんなら……分かってんだろうな。俺はもはや人間という事も忘れ、ありとあらゆる手段で……!


「大丈夫です。思春期特有のアレですから」

「し、ししゅ……? いや、よく分からんが、ソイツの眼には何が何でもやるっていう闇が宿ってる気がするんだけどな。宿らせちゃいけない類の闇が。うん」

「それより、その方々、何方にいらっしゃるので?」

「……それでいいなら良いけど」


 良かねぇわ。おう。こっち見ろよ。さっきは俺の目を覗き込んでぱっと追い払った癖によ。ちゃんと話を聞いて文句を言えってんだ。今の状況は可笑しいってよ。


「――んで、お望みの情報だが。居るっちゃ居るよ。それも丁度、ついちょっと前にやらかした奴らが。というか、そいつらが原因で俺達がこうやって集まってるって言っても過言じゃねぇからなぁ」


原因、ここに沢山のガラの悪いのが集まってる原因か。


「と、申しますと?」

「ほんのちょっと前までさ、お上……女将じゃねぇぜ?」

「分かってますよ。お城の方でしょう?」

「そうそう。お上はたった一人のコソ泥に掛かりきりで、その隙を突いて好き勝手やる奴らも増えたって奴さ。で、ソイツが捕まって、お上が正しく動けるようになっても、のぼせちまって暴れるのをやめようとしねぇ奴らもいる」

「でもって、そいつらの所為で治安がちょっち悪くなった。でもって、少しの間でも良いから護衛を付けようってんで、俺達が集められたって訳」


 ……間接的に俺の所為で治安が悪化してる訳かぁ。そ、それは中々。いや、俺に責任はねぇよ? ねぇけどさ……どうなんだろう、それは。


「おら、其処の通りで綺麗な姉ちゃんに殴り掛かった馬鹿共が居てな。一応、俺達とは顔なじみ、程度の知り合いではあるんだが、アイツ等もそんなバカの一部でな」

「表通りが騒がしかったことはありましたが。そんな事が」

「そうそう。その件でテメェらの頭がやられた挙句、それでも懲りずに威張り散らしてたら、またぞろ通りすがりに手ひどくやられたって話。今は不貞腐れて、ここよりもっと安酒出す様な所でだべってるよ」

「――成程。通りすがりにやられた、ですか」


 それは、随分と有用な情報が入ってきましたねぇ。


アンデルセン先生ごめんなさい。


ある一定ラインを超えると、もうぷつんと変な所が切れますよね。恥って。

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