5.オオカミとネコとウサギ耳。
キツネ耳の美少女の天狐と、タヌキ耳の美少女の福狸が自己紹介をしてくれた。
彼女達はSランクの魔物であり、帝王の資質を持っていたのだ。
それだけではなく、福狸に関してはゴーレムを作り出せるのだ。
それと、うちの娘たちは種族が異なるが姉妹関係にあり、天狐が長女、福狸が次女であった。
「次に自己紹介をしてくれるのは‥‥。」
「この流れならおれっちでやがるですっ!」
八重歯が似合うオオカミ耳の美少女は自分の事をおれっちって言ったが完全な黄色いポニーテール美少女だ。
なぜなら、お漏らしをしたときに確認済みで全員が女のだったからだ。
言っておくがやらしい意味では無いぞ。 父として娘たちの事を理解する必要があったからだぞ。
俺はオオカミ耳の美少女に手招きをする。
「おれっちは天狼。 最高の誇り高き狼の一族でやがるですっ! 得意な魔法は雷属性でやがるですっ! 好きな食べ物は春巻きとベネッタでやがりますっ!」
誇らしげに純白でもふもふのオオカミしっぽをゆーらゆーらと振りながら自己紹介をする。
ベネッタはもういいや‥‥。
俺は魔王の瞳を使った。
種族 天狼
名前 ーー
ランク S
レベル 1
生命強度 1010
攻撃力 EX 防御力 B 魔力総量 S 体力 B 俊敏性 A 運 C 特性 EX
特性
雷を担う者:全雷属性魔法無効・雷属性付与(超)・雷属性強化(超)
雷電の備蓄:第八階級雷属性魔法までを吸収・コピー・自己回復大。
狼王の激昂:対象とのレベル差分だけの対象を秒で拘束する。
電子操作:電子を操作することが可能。
雷光の爪:攻撃的二段階アップ。素手のみ有効。
遠吠え:下位種族の統率をとり、一段階攻撃力を上げる。
雷帝:雷属性最高の特性。絶雷の使用が可能。なお、雷を担う者の能力を大幅アップ。だが、自我を失う。現時点では使用不可能。
未解放
「狼王の激昂は魔物の行動を拘束するのか! 凄い能力だね!」
「ほんとよ! でも、レベルを上げなきゃ使えないし、格上には通じないわね。」
レヴィですら娘たちのステータスを見て興奮している様子である。
「おれっちは強いんでやがるですっ! お父様はおれっちが守ってやるですっ!」
「ありがとね。 期待しているよ!」
撫でてやると目を細めてしっぽをフリフリさせる。
だが、余韻に浸っている天狼をお尻でずんって押して今度はネコ耳の美少女が自己紹介を始めた。
「ぬぬっ!」
「てんろうどいて。 みーのばん。 みーは黄泉猫。 このせかいとよみのせかいを、たびするほうろうせいめいたい。 とくいなまほうはかぜまほう。 すきなたべものはももとべねった。 いご、よろしく。」
黄泉猫。聞いたことのない生物。
すると、レヴィが黄泉猫に訪ねる。
「黄泉猫の言う、黄泉とは我々が裏と読んでいる世界のことかい?」
「すこしちがうけど、みーとBランクの猫又までは、そのうらといわれているせかいにいける。 けど、あんますきじゃない。 むこうもむこうでめんどう。」
猫又は聞いたことがある。しっぽが2本の化け猫のことだ。
「便利ね。 ヨハン、この子がいれば裏の世界からイタズラさせる事もないわね。」
「裏の世界? この世界の他にもあるの?」
「あるわよ。 全てが逆の世界。っ感じなんだけど、1回しか行った事ないからその子に聞いた方が早いわ。」
「裏の世界ってどんなところ?」
「みーはきらい。 めがぐるぐるできもちわるくなる。 あまりいいたくない。」
黄泉猫の体はフラフラが揺れている。
「そうか。 思い出させて悪かったな。 悪いけどステータスだけは確認させてね。」
「おーけー。」
種族 黄泉猫
名前 ーー
ランク S
レベル 1
生命強度 960
攻撃力 B 防御力 C 魔力総量 A 体力 S 俊敏性 EX 運 B 特性 EX
特性
風を担う者:全風属性魔法無効・風属性付与(超)・風属性強化(超)
変化:姿を変化させた時、対象の身体能力に変化。その時、相手のステータスの全能力を1ランク下がった状態で引き継ぐ。
暴風の一脚:裏世界又は異世界に行ける。裏世界又は異世界にいるとき全能力1ランクアップ。
気流操作:気流を操作することが可能。
螺旋回転:素早さ極状態。使用時魔力を倍消費する。
お昼ね:魔力を素早く回復する。
風帝:風属性最高の特性。絶風の使用が可能。なお、風を担う者の能力を大幅アップ。だが、自我を失う。現時点では使用不可能。
未解放
なでなでをしてやると目を細てめしっぽをくねらせる。
獣耳の美少女たちはみんなこうなのかな? それにしても可愛すぎる。
そして最後にウサギ耳の美少女に自己紹介を頼む。彼女は順番からして末っ子だろう。
「最後まで待たせてごめんね。それじゃお願い。」
「は、はいっ! ぱ、パパ! つ、月兎っていうのですっ! 月でお餅をぺったんことついて楽しく暮らしているのですっ! お餅とベネッタが大好物なのですっ!」
「本当に月に兎がいるって事でいいのか?」
「は、はい! パパの言うとおりですっ! ぺったんぺったんってついてますっ!」
丸いもふもふのしっぽをブルブルって振るわせて感情表現をする。
ウサギ耳もピンってする姿も可愛らしい。
もちろん、この子のステータスも見る。
種族 月兎
名前 ーー
ランク S
レベル 1
生命強度 950
攻撃力 C 防御力 B 魔力総量 A 体力 S 俊敏性 B 運 EX 特性 EX
特性
水を担う者:全水属性魔法無効・水属性付与(超)・水属性強化(超)
臼と白:魔力を錬っているとき防御力が1ランクダウンするが、攻撃力2ランクアップ。
水流操作:水流を操作することが可能。
天性の極運:発動時、運が極状態なる。
PH操作:酸、アルカリ濃度を自由に変えられる。
水中奥義:水中での全ての能力が一段階上がる。
未解放
未解放
「この子が帝王の資質を持っていれば水帝が解放させるよね。」
「その通りよ。 可能性は高い。 この子だけ帝王の資質がない方がおかしい状況だわ。」
「わ、私っ! 帝王だなんて、できっこないですっ! 戦うのがこわいですっ。」
ウサギ耳を振るわせての申し訳そうに抱きついてきて服に顔をうずくませる。
この言葉は本心だろう。
まだ短い時間だが一緒にいて、この子は争いごとを嫌い、周りに気を配るタイプの子だと認識している。
「怖いか。 俺はまだ君たち以外の魔物を見たこともない。 この子が言うように魔物は怖い生物かもしれない。 そんな生物と命を賭けて戦うのは怖いことかも知れない。 でも、みんなで助け合って強くなろう!」
「「はーい!」」
月兔を囲むように獣耳の美少女が寄り添い、そして励ます。
月兔の表情は穏やかになるが、まだ不安そうな顔をするときもある。
時間を掛けてでも彼女の不安を取り除ければ良いなと思う。
「ヨハン。 これで全ての魔物の能力を認識したわけだ。 ヨハンにはまだ沢山の事を教えなければならない事がいっぱいあるけど、1番に知って欲しい事をいうわね。 それは、ヨハンはあと1年で自分のダンジョンを開通しなくてはならない。」
確かに魔王の取扱い説明書にも書いてあった。
魔王は生まれてから1年間は親となる魔王の保護を受ける事ができる。
よく考えてみると、俺のダンジョンは最深部と呼ばれている部屋に一式の生活用品を揃えてあるだけで他の階層はない。
「分かってる。 だけどそのためにはダンジョンポイントが足りない。 どうすればいい?」
「そんな事は簡単さ。 魔物を含む全ての生物を殺せばダンジョンポイント:DPは貯まる。」
「簡単に言うけど、ダンジョンを開通もせずにそんな事が出来るの? 魔王の取扱い説明書にはDPはダンジョン内で生物を殺した時に得られるって書いてあったよ。」
「確かにそうよ。 魔王が得るDPのほとんどがダンジョン内で自分の魔物が生物を殺した時に得るけど逃げ道もある。 それは、自分の魔物がダンジョン外で生物を殺した時に半径1キロ以内にいればDPを故意に得ることが出来るの。 それとルーンを使って創造したオリジナルの魔物もDPを回収する事が可能さ。」
「なんほど、それじゃダンジョン外に出て人間を殺せばいいんだね?」
「惜しい。 その考えは悪くない。 実話ね、ここは【人間界】では無いんだよ。」
「えっ!? 魔王は人間を主に殺す事が目的って書いてあったよ。」
「それじゃ、その事についてゆっくりと話をしようか。」
俺は魔王の取扱い説明書以外の事を親の代わりとなるレヴィアタン魔王に教えてもらうのだった。