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3.俺の名前は‥‥。

 美人でどこか怪しげのある女性が俺のダンジョンに訪れてくれたおかげで、俺は五人の獣耳の美少女たちのパンツとズボンを洗濯するはめになったのだが、頼られていると考えれば悪い気はしない。


 俺は魔王生活を楽しんでいるように自分で感じる。


「うーん。 本当に謎ね。 あの数のルーンでどうしたらこんなにたくさんの魔物を創造できるの?」


 彼女は首を傾げて俺を見ていた。

 何故なら、新しい魔王ではあり得ない数の魔物の美少女たちを創造して配下にしていたからだ。


「あの‥‥。 まだ、お名前を聞いてないんだけど‥‥。」


「あぁ、すまないわ。 あまりにもびっくりし過ぎて自己紹介を忘れていたよ。 私はレヴィアタンよ。 世間では私を七つの大罪のレヴィアタン大魔王なんて呼んでいるけどね。 あっ、私にもその丸いのよこしなさいよー。」


 細く白い手を差し出してくるので、あめちゃんを、一つ掌にのっけると彼女は近くにあった蝋燭の光に透かしてから口に含んだ。


「レヴィアタン大魔王様‥‥。」


 彼女の眉は上がったのだが、すぐにゴリゴリと噛み砕いて食べてしまったのだ。


 さっき獣耳の美少女たちに舐めるんだよって教えてんだけどな‥‥。


「あら、美味しい。 そうよ。 君は私達と同じオリジナルの魔王だから、特別にレヴィで良いわよ!」


「分かった。レヴィ、そのオリジナルの魔王ってなんだ?」


「オリジナルの魔王ってのは魔神が直々に作り出した魔王の事さ。 君と私の他に六人いるのよ。 魔神という神に直々に創られた特別に力をもった魔王さ。 魔王も繁殖するから沢山のいるのよ。 でも、最初の七人は私たち七つの大罪よ。」


 こうしてレヴィと話しているうちにも、獣耳の美少女たちは飴を目を細めながらにまーっとした笑顔でコロコロと舐めている。


 彼女たちにあげた飴などサトウキビから取れるただ甘いだけのエキスを丸い固体にしただけではあり、当然イチゴ味とかはしない。


 しかし、そのシンプルな甘さに彼女たちは魅了されていた。

 その証拠にしっぽを揺らしている。


「レヴィと同じ強さの魔王が六人もいるの! 俺はこの子たちを守れる気がしないんだけど‥‥。 どうしたらいいんだ‥‥。」


「逆よ。 この子たちが君を守るんだよ! 魔物は魔王の手下よ。 勘違いをしちゃダメよ。」


 レヴィは獣耳の美少女達を見ると、五人はしっぽの毛をもわーっと逆立てて、一瞬で俺のうしろに隠れて彼女の様子を伺う。


 相当怖かったのだろう。

 飴を美味しそうに舐めてご機嫌だったが、涙ぐんで俺にぎゅーっと強く抱きついてくる。


 そんな彼女たちの頭を順に撫でてやると、にーって笑顔になり、ふにゃーって脱力して、恐怖より俺の暖かさが勝りしっぽを振って喜びだす。


 やっぱりケモミミは手に当たると、もふもふしていて気持よい!


「この子たちが俺を守る!? まだこんなに小さい子供だよ!」


「そうかしら? 魔物に年なんて関係ないわよ。 ただ生きるか死ぬかの二択。 それが魔物の世界の常識、いや鉄則よ。」


 彼女は一切飾らぬ厳しい言葉を掛けてくる。


「生きるか死ぬかの二択‥‥。」


 俺はこの子たちに会ってからまだ少ししか経っていないものの、娘のように可愛がっているために、その言葉は衝撃的であり現実を思いしらされ、胸の中に重いモヤモヤが広がっていく。


 そんな俺の厳しい顔を獣耳の美少女たちは見て、不安そうに耳としっぽを垂らす。


「おとーさん、大丈夫なの。 みんなで助け合って生き残るの!」


 キツネ耳の美少女が思い雰囲気を振り払うように俺たちにいったのだ。

 その言葉に少なくとも俺はモヤモヤから救われた気がした。


「頼もしいわね。 まっ、現実が少し分かった所たけど命を賭けた戦闘はまだ先のことよ。 今は信頼関係を作る時期だし、それに君はまだ私とこの子たちに一つ大切な事を言い忘れていないかい?」


「大切な事? なんだ‥‥? あっ、自己紹介してない。 それにこの子たちの名前も聞いてない。 って何で自己紹介してないの知ってるの!?」


「それは企業秘密よ。 ほら、早く自己紹介して。 新しい魔王様!」


 レヴィ急かすように近寄り子供たちの方を向かせて背中を軽く押すように叩く。


「俺の、俺の名前は‥‥。」


 獣耳の美少女達はキラキラと目を輝かせて俺を見る。


「俺の名前は分からん。 でも【変化】を司るのは分かっているし実際に飴を作り上げた。 でも、名前は分からんっ!」


 獣耳の美少女は芸人のように、すとんっと地面に転がり込み、不思議そうな目で俺をじーっと見ている。


 そう。 じーっと、じーーっと見てくる。


 すると、ネコ耳の美少女が良いことを思いついたようで、しっぽを振りながら俺に提案してきた。


「おとうさん。 みーたちがおとうさんのなまえを、かんがえてあげる。」


「仕方ないでやがるですっ! まさか名前が無いなんて思いもよらなかったでやがるですっ! 名無しでやがるですっ!」


「何がいいのですっ! みんなー。」


「うーん。 格好いい名前がいいの! それに、呼びやすくて、いげんがあるさいきょーの名前!」


「わかった。 それならこたえはひとつ!」


「せーので、言うんだよ! いくよ!」


 俺の名前を子供たちの間でつけてくれる事となったのだ。

 いい名前がつけばいいと思うが、この子達は少し変わっている。


「「せーの!」」


「こんた!」

「ぽんた!」

「ぴょんた!」

「にゃんた!」

「がおた!」



 おーい、やっぱり個性爆発かーい!


 そして、子供たちは埃煙を立て、小競り合いをしながら話し合いを始める。


 ある者はもふもふしっぽを引っ張り、ある者はトレードマークの獣耳を引っ張りあっている。

 だが、ウサギ耳が美少女だけは巻き込まれているようで、目を回しながらたらい回しにされていた。


 普通なら止めるべきだろうけど、その可愛らしい小競り合いを見入ってしまう。


「お父さんはみんなが納得した名前がいいなー。 ねー。 聞いてるかいー?」


 分かり易く子供たちに伝えるがしっぽを振り返すだけで聞く耳を持たない。


 しっぽで返事をするなよ!(笑)


 すると獣耳の美少女達は再び話し合いを始める。


「おとーさんは強くて、格好いい名前がいいの! 将来の大魔王様なの! すーぱーとか、うるとらとか、はいぱーとかつけるの!」


「ポンタは格好いいと思うんだよ! 人気な名前ナンバーワンなんだよ! スーパーとかウルトラとかはお子ちゃまなんだよ。」


「それはわかる。でも、ぽんたはたぬきのおしつけ。 ぽんぽんしてなさい。」


「ううー。 喧嘩はよくないのですっ! 落ち着くのですっ。」


「がおたは強そうで格好いいでやがるですっ! ガオッと一噛みでやがるですっ!」


「おとーさんは噛まないの! なでなでが得意なの!」


 やっぱりなかなか決まりません。


 レヴィはまた引き攣った顔でこの子たちを見ています。

 そして、10分後。キツネ耳の美少女が発表した。


「決まったの! おとーさんのお名前はヨハンなの!」


 悪くはない。けど理由が気になる。


「どうしてヨハンなんだ?」


「それは、みんな知っている昔話の伝説の主人公なんだよ!」


 うんうんっと獣耳の美少女達は頷く。

 共通意識があるのかもしれない。今度その話を聞かせてもらおう。


「会ったことがあるの! この秘密は‥‥。 内緒なの!」


 すっごく気になる。 でも、キツネ耳の美少女は絶対に口を割らないよね。 だって、口の前でバッテン作ってるもん。


「よし。 それじゃ、今日から俺の名前はヨハンだ。 みんなで頑張って強くなろうな!」


「「はーい!」」


 元気よく手をあげて返事をする。


 こうして俺の名前が決まったのであった。


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