19.パジャマ
自分のダンジョンに帰ると完全に安心しきった娘たちはトイレに行ってからベットに入りお昼寝を始めた。
バタンとトイレのドアが強く閉まる音がする。
「こわいのですー。」
そして月兔がテコテコと走って無事に俺の足にしがみついてくる。
月兔は洋式のトイレの流れるのが怖いらしく目をつぶって用を足す。
そして、レバーを降ろして勢い良く走ってトイレから出てくる。
「そんなに怖いのか?」
「はい。吸い込まれていまいそうなのです。 ドアさんを優しく閉めないのは悪い事をしているのですけど、うっうー。」
「そうか。 それじゃ今日は眠そうだからお昼寝しなね。」
「はいなのです‥‥。」
そんな娘たちはベットに入るとすぐに寝息を立てて気持ち良さそうに寝ている。
当然寝言をむにゃむにゃさせながら言う。
ココロの寝言はおとーさん、大好きと、ベネッタおいしーの2つ。
福狸の寝言は撫でてと、しっぽがもふもふになった。
天狼の寝言はだっこしてと、おれっち最強。
月兔の寝言はえへへが断トツに多い。
そして、不思議ちゃんの黄泉猫は特に決まった寝言は言わないが、マミー、ダディ会いたいって言うのを聞いたことがある。この言葉がなんか突っかかる。
俺はそんな彼女たちに作ってやりたい物がある。
それはパジャマだ。
娘たちはそれぞれの種族衣装着ていて、汚れたり、寝にくそうにしているために作ってやりたい。
まずはダンジョンブックを体から取り出す。
「《我の魂、形どれ!》」
胸からダンジョンブックが出てくる。
最初見たときより気持ちだけ分厚くなった気がする。
ページをめくり、購入欄を出す。
便利な事にダンジョンブックは生活用品から、食料まで揃っている。
なぜなら、魔王はダンジョンに引きこもっているために、色々と不便である。つまり、魔王は根っからの引きこもりなんだ。
そんな魔王に対しての魔王の生みの親の魔神の気遣いだろう。
5枚の薄手の服を買ってやるが、質素で可愛げがないために、俺のユニークスキルの【変化】を使って娘たちが喜ぶパジャマに使用と思う。
今の俺のユニークスキルでは、材質や質量は変化させる事は出来ない。出来るのは原料から作り出せる範囲の物だ。
娘たちのパジャマの柄は大体決まっている。
天狐はキツネ、福狸はタヌキ、天狼はオオカミ。間違っても犬はダメだ。
黄泉猫はネコ、月兔はウサギの顔がお腹にプリントされたパジャマで、それぞれのトレードマークの獣耳が入るように作られたフードもつけてやりたい。
1枚ずつ作っていき完成した。
パジャマを作り終えた頃にレヴィが俺のもとにやってきて、パジャマを指差す。
「なんだい、それは?」
「これは娘たちのパジャマだよ。 今の服じゃ寝にくそうだからね。」
娘たちは複雑な種族衣装を着ていて寝ずらそうだし、狩りで汚れも目立つためだ。
「ぱ、パジャマかい。 言っておくけど、魔力の無駄使いには気をつけるんだよ。」
レヴィはパジャマと言う言葉に顔を引き攣る。
「分かってるって。 それよりもなんか言いたい事があって来たんじゃないか?」
「そうそう。 初めての魔物の討伐おめでとう。 それにしても、いきなり10階層の主を討伐なんて、さすがSランク魔物だね。」
彼女は魔王権限で魔物の肉眼の映像を見ることが出来るために彼女のダンジョンでは常に見られるいると言っても過言ではない。
「やっぱり、あのダンゴムシ強かったよね。 びっくりしたよ。」
「それで、レベルアップしたけど、ちゃんと確認したかい? 魔物のレベルと覚えた魔法を?」
「レベルは確認したけど魔法を覚えるってどういう事?」
ついでに娘たちのレベルは全員、3になった。
「ヨハンの魔物が使ったのは魔法じゃなくて、魔力に性質変化と形状変化させた純粋な魔力その物の力技さ。」
「そうなの? で、魔法を覚えるとどうなるの?」
「魔方陣が発動して、大気中の魔力により強化されるのよ。 だから、魔力は純粋な力として使うよりも、魔方陣を発動させてより多くの魔力を大気中から巻き込んでやるとより強くなる。 って、渡した本読んでないの?」
俺はレヴィから投げ渡すように魔法の初級本を受け取ったが、読む暇なんてなかった。
「まだ、読んでない。」
「早く読みなさい。 今日中によ。」
「はい‥‥。」
それだけ言って帰って行った。
俺は娘たちが寝ている間に本を出来るだけ読む。
タイトル:初級の魔法のすすめ
ページを開くと基本5大元素の優劣が書かれていた。
そのあとは、魔法の階級が書かれており、第一階級魔方陣から、超階級魔方陣までの11階級までの階級があるらしく、魔王や最上位の魔物ですら第8階級魔法までが限界に近く、限られた生物だけが天地をひっくり返すような大規模魔法の第9階級魔法以上を使えるようだ。
そのあとは、第三階級魔方陣までの魔法の紹介が載っていたので覚えることにした。
この本によると本来覚えない魔法でも、本や実物を見て覚える事が可能って書いてあるために、娘たちにも教育をしようと思う。
きっとだだをこねるだろうが。
俺がいくつか魔法を覚えた頃に娘たちが起き出してきた。
珍しく目覚めが弱い月兔が1番に目覚めて話しかけてくる。
「パパ、何してるんですっ?」
「魔法のお勉強だよ。」
「私にも見せて下さいですっ!」
末っ子の月兔は興味があるようだ。
「文字は読めるかい?」
「まったく、分からないですっ‥‥。」
ウサギ耳を垂らしす。落ち込んでいるようだ。
まずは読み聞かせからだな。
月兔を膝の上に座らせて、文字を読んでいく。
「これは魔法って読むんだよ。」
「難しい文字ですっ。 読めるか心配です。」
「ゆっくり覚えて行こうね。」
垂れているウサギ耳が生えている頭を撫でてやると、ウサギ耳が元気に揺れ動く。
その5分にも満たないたわいもない話が月兔の趣味にも関係してくるのであった。
そして、娘たちが全員起きた頃に作ったパジャマを渡していく。
「これはココロに!」
「うわーい! およーふくなの!」
「これは福狸だ。」
「タヌキ顔が描いてあるんだよ!」
このように順に渡していくと、順にもふもふしっぽを振りながら喜んでくれる。
本当にしっぽを振っている姿は格段に可愛い。
もふもふしっぽは娘たちの体の半分くらいの大きさであるために、激しく振ると風が来る。
娘たちは声を合わせて俺に言う。
「「ありがとう!」」
「どういたしまして。」
娘たちは毎晩このパジャマで嬉しそうに寝てくれるだろう。
【消費DP:25
計DP955】




