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17.娘たちは活躍したいそうです。

 レミルの事で気まずい雰囲気になってしまったが、エルフたちにお礼を言って帰ってきたのだがエルフたちの顔は少し引きつっていたが笑顔で返事が帰ってきた。あの雰囲気の中ではそれが最善だったろう。


 そして、レヴィによってレヴィの最深部まで、転移させられ、青色の魔法陣を使って自分のダンジョンに帰ってきた。

 たった一日しか空けてないがなんだか懐かしい気分だ。この部屋の配置、空気の匂い、それとゴーレム? すっかり忘れていたが動かないけど生きているんだよな。


 まぁ、特に気に入っている訳ではないが生まれた場所にいることは悪い気はしない。


 ここでの彼女たちとの出会いが俺の魔王人生に豊かさを与えてくれた。


 そんな事を考えながら歩いていると、レミルとの勝負に勝ってより俺にベッタリになった天狐ことココロがニコニコとしながら、腕にしがみつきながら横を歩いている。

 大きいもふもふキツネしっぽまで腕をがっちりホールドしている。


「おとーさんのココロなの。 おとーさん、おとーさん! おとーさん!」


 ココロは自分がおとーさんと慕っている俺と一緒にいられる事に嬉しさを爆発させているようで、何回も呼ぶ。俺はそのたびにココロに目を向けて微笑む。


 俺のダンジョンの最深部で唯一腰掛けられるベッドの上に座って天狐を褒めてやる。


「ココロ、今日は頑張ったな。 褒めてやる!」


 そんなココロの今日の活躍を褒めようと頭を撫でると目を細めて、もふもふのキツネ尻尾をベットにポンポンと叩きつけるように振る。


 他の獣耳の娘たちは指をくわえて見ているが、誰も自分もとは言わなかった。

 ココロは頑張った事をよく理解しているからだ。


「おとーさん! ココロの事すき?」


「あぁ、大好きだよ。」


 その言葉を聞いてさらにしっぽの動きが激しくなる。


「えへへ。 ココロもおとーさんの事大好きなの。 ぎゅーってしてなの。」


 ぎゅーっとしてやると、キツネ耳美少女もぎゅーって仕返してくる。本当に甘えん坊だ。


 なんか幸せだな。


 そして、スキンシップをとり終わり寝ようとするが問題があった事を思いつく。


 それはベッド小さすぎる件と福狸寝相悪すぎる件だ。

 前者はベッドをいくつか購入すれば解決する。


 しかし、俺の横に寝れる子以外の娘たちに隣のベッドに寝るように指示をすると、不安と寂しさを全面に出した顔で首を横にブンブンと振る。


「ココロはおとーさんと一緒のベットにねたい。  おとーさんと一緒がいーい。 今日、頑張ったの。」


「みーもはじでいいからおとうさんといっしょがよい。」


「パパといっしょがいいですっ。」


 そうはいっても、ココロと黄泉猫は昨日、俺の横に寝ていたので今日は他の子の番だ。そういう約束である。


 いくら今日頑張ってもココロだけをひいきする訳にはいかない。可愛い娘たちには平等に接してあげたい。


 それに本来なら魔物は魔王が寝ているときに悪さをする事だってあるから、よっぽど信頼できる魔物以外は睡眠中は近くに置かないのが魔王の鉄則である事も言う。


「うぅぅ。 ココロはおとーさんに悪さなんてしない。 おとーさんの事がだいすき。 だからいっしょがいいの。」


 甘えたりないのが首を横にブンブンと振ってダダをこねる。


 すると他の娘たちがココロに畳み掛けるように言葉を浴びせる。


「おねーちゃんなんだから、我慢するんだよ! 今日は私の番なんだよ!」


「そうでやがるですっ! いくら頑張っても順番は順番でやがるですっ!」


「お、ココロおねーちゃん。 わ、私も寂しいですっ! だから一緒に寝るですっ!」


「やっぱり、じゅんばんだからみーはいさぎよくこっちでねる。」


 するとココロはみるみるうちに泣き顔になり、大きく口を開いて泣き始めた。


「うえーん。 おとーさんのために頑張ったのー。 ココロはおとーさんといられなくなっちゃうかもしれなかったのー。」


 確かにココロはレヴィの魔物になって俺と一緒にいられなくなっていたかもしれない。

 本当は特別扱いを今日はしてやりたいが他の娘たちがそれを許さない。


「ココロ。 今日は我慢するんだ。 あとでご褒美をあげるから待ってるんだよ!」


「ごほうび!?」


「そうだ。 ココロが喜ぶご褒美だよ。」


「うぅぅ。 がまんするの。」


 ココロは目を擦って泣くのを辞め、しくしくと隣のベットに潜っていったのだった。



 夜が明けた。

 やっぱり福狸は寝相が悪かった。

 腹を蹴られ、布団を引っ張りってとやりたい放題であった。


 そのせいで、俺を挟んで福狸の反対に寝ていた天狼は自分のもふもふのオオカミしっぽを俺の腕と共に温かそうに抱きしめていたのだ。


 そんな姿が可愛らしかった。


 俺ももふもふしっぽを抱きしめて寝たいなー。


 そして、順にほっぺをつついて起こしていく。

 これは俺の朝の1番の楽しみだ。



 全員起こしたら、顔を洗って歯を磨く。


 これは人間だけではなく魔王や魔物でも身だしなみとして当然にする事だ。


 残念なことに鏡が無いためにまだ自分の顔が分からないが、きっとイケメンだろう。娘たちが格好いいって俺の事を言ってくれたからだ。


 娘たちにはカラーがそれぞれある。

 天狐は赤。福狸は緑。天狼は黄色。黄泉猫は水色。月兔は白である。


 娘たちはそれぞれの色の歯ブラシで歯をゴシゴシと左右に磨き、ぺっと口を注ぎ上機嫌になりしっぽを振る。


「おとーさん見て!」

「「わたしのもー!」」


 いーって綺麗になった歯を俺に見せてくるので偉いと撫でてやるとしっぽがより加速する。


 獣耳の美少女たちは本当に撫でられるのが好きだ。

 きっとレミルも大好きなんだろうな。

 だから俺のもとに来たらたくさん褒めて撫でてやろうと思う。




 レヴィとの待ち合わせのエルフ達のいる建物に行くと昨日、ココロ達を回復してくれたエルフ達が礼儀正しく頭を下げてくれる。


 俺も頭を下げて上げると目の前にステファーが突然現れ、まじまじと俺の顔を近距離で見ていてビックリして後ずさりしてしまう。


「新しい魔王様。 今日はどうなされたのかなぁ? あらビックリしてさせちゃったかな?」


 なめ回すように俺の体に視線を送り、胸板に細く綺麗な手を置いて滑らすように体を触る。

 彼女からの女としての魅力に俺の息子がうずく。

 魔王の俺だって男だ。魔王にも性別がある。


 だんだんに白く柔らかい手が下に伸びていき、いつの間にか俺もそれを望んでいた。


 生唾を飲んであと少し、あと少し‥‥


 だが、あと少しというところで娘たちが尻尾を逆立てながら割って入って、小さな手でステファーの手をはじいた。


「おとーさん、だらしないの。 鼻の下伸びてるの。」


 そして、俺を睨む。きっと本当にだらしない顔をしていたのだろう。


「むむむっ! お父様に変なことしたら許さないでやがるですっ!! お父様もしっかりとするでやがるですっ!」


 一斉にぷくーっと頬を膨らます。


「何も変なことなんてしてないですよー。」


 ステファーとぼけるように答えるがニヤニヤが止まらずぷっと吹き出し笑ってしまう。


「それにしても、この子たちかわいー! もふもふしたいですー。」


 娘たちは尻尾を逆立てるだけではなく、背筋まで震わせていつの間にか俺の後に隠れている。


「この人、やっぱりこわいの。 ココロたちにも変なことしたら許さないの!」


 そんなやりとりをしているとレヴィが黒い渦の中から姿を現して、ステファーを変な感じに叱る。だが、どこか俺の顔を見て様子を伺っているようにも見える。


「ステファー。 ヨハンをからかうのは程々にしなさい。 童貞のヨハンには刺激が強すぎちゃうから。 それに、その童貞は私が貰う予定よ。」


 レヴィはステファーの主人であるために、きっと最深部でやりとりを見ていたのだろう。


 それにしても今、とんでもないこといったよね。俺はレヴィに喰われちゃうの!? いや、悪くないかも‥‥。 やっぱりよくないよー!


「そうなんですかー。 お口に合わなかったら私に下さいね!」


 たらい回しにされちゃうの!? いや、いざとなったら娘たちが守ってくれるよね?


 娘たちを信じるしかない。


 俺は一人の少女に気がついた。

 レヴィのうしろには、レミルではなくメイド服を着た背が低い褐色の肌で、右眼を長い髪で隠した十代半ばくらいの巨乳美少女が緊張しながら立っている。頭の右には大きなピンクのリボンをつけている。

 視線を送るとエルフ同様に礼儀正しく頭を下げるがとこがそわそわしていて落ち着きがない様子だ。


 ステファーのお説教を終えたレヴィは彼女を紹介してくれた。


「この子はね、君のお供をする事になった、転移の魔法を使える魔物よ。 だからダンジョン内で今後移動する事があると思うからこの子に言って転移させてもらいなさい。」


「分かった。 ありがとう。 俺はヨハン。 よろしく。」


「お、お目にかかれて光栄です! し、しばらくの間、お世話をさせて頂くパミータです。 しゅ、趣味はそ、掃除。 と、くいな料理は、は、ハンバーグで、で、です。」


 パミータは種族の名前であると思うが、そこは触れていなかったので真実は俺が魔王の瞳で確認できるまでは分からない。


 そんな彼女は新しい魔王の世話係と言う重大な仕事を任されていて、とても緊張し足が震えていた。


「ヨハン。 ロリコンでもこの子に変なことさしたら許さないよ!」


 笑いながら言ったのであった。


 レヴィと連れられて十階層の近くの魔方陣に転移する。

 10階層への移動中に話をした。


 するとココロは俺の手を握って尻尾を振りながらルンルンして俺の横を歩く。昨日からこんな様子だ。


 すると、レヴィが口を開く。


「はぁ、まったく魔王は魔物の生みの親でもあるけどそこには主従関係があるのよ。 魔王は魔物を使って身を守る。 魔物は命を賭けて主人の魔王を守る。 必要なら魔物を使い潰す事も必要なんだよ。 だからあまりにも愛情をかけ過ぎると判断に迷いがでて命取りになるわよ。」


 まったくその通りであり、俺は娘たちのおとーさんって呼ぶ甘い言葉にいつしか浮かれていた。

 それに俺が生き残るためにはいつかは死ぬと分かっている戦場に送り出さなくてはならない時も来るだろう。


「頭が冷えたよ。」


「やっと気がついたようだね。 危うくこのおチビちゃんたちに騙されるとこだったよ。」


 すると娘たちがぷくーっと頬を膨らまして反論する。

 娘たちは怒ると頬を膨らます習性があるみたいだ。


 すると、昨日、レミルに勝って少し調子に乗っていたココロがふんって横を向いて分かりやすくすねながら言った。


「ココロはそんな事しない。 それにココロはおチビちゃんじゃない。 ココロはココロなの! お名前もらったの!」


「まったく良い度胸だよ。 この子は自分の立場を分かってないんじゃないかい? 天狐は魔物で魔王の手下。 私はあんなの主人を世話してる魔王よ。 だからそんな態度してたらお仕置きよ。」


「ふんっ。 知らないの。 ココロはおとーさんの魔物。 他の魔王にペコペコ頭はさげないの。 出来ることならやってみるの!」


 ココロがレヴィに立ち向かう。


 レーンは無言でココロを睨み魔力の爆発による爆風を走らせて近づいてくる。

 ココロのしっぽは靡かせていたが、ぶわって逆立てるがむっと耐えてた。


 レヴィがヒールの音をゆっくり立てながらココロに近づいてくる。


 ココロは恐怖を思い出して足の先から頭の先まで震えが止まらない。


 そして、至近距離からでこぴん受け、背筋をありったけの震わす。


 その場にいたパミータもレヴィの殺気の流れ弾をくらい、地面に両膝をついて全身震わせながらこの世の終わりのような顔をして涙を流していた。


 人間なら失禁、失神はもとより、ショック死は免れないほどの恐怖だが、ココロは魔物の中での最上級ランクのSランク魔物であり見た目は子供だが実力は昨日の闘いを見ていて分かるようにある。


「うー、ごめんなさい。」


 しかし、殺気を受けてすぐにキツネ耳と尻尾と垂らして俺の後に隠れるようにぎゅっと抱きつい涙ぐむ。


 他の娘たちはそりゃそうなるよって顔で一部始終を遠くで手をつなぎ合って見ていた。


 レヴィは一万年ほど生きているために強く、ほぼ一人でレヴィの殺気を浴びたココロは可哀想なぐらいにぷるぷるっと全身を震るわせている。もちろん、漏らしてシミを作っていた。


「これで分かったかい。 自分の立場と自分の役割、そして自分のレベルが。 だから、今からいく所で強くなりなさい。」


 ココロは俺の後に隠れながら頷く。


「このままじゃ、おとーさんを守れない。 ココロは悔しいけどまだまだ弱いの。 だから、強くなる。 おとーさんの1番の魔物になれるように死ぬ気で頑張るの。」


 恐怖に侵されながらも青くなった唇を震わせながら言う。


「そうだな。 一緒に強くなろうな。」


 そういってココロはレヴィという自分より遥に強い脅威に対して対抗出来るように強くなる事を深く心に誓った。


 そして目的地にたどり着いたのだ。

 今日から6人で経験値を稼いでレベル上げを行う場所にだ。


 そこは、自我の無い魔物達がただお互いの腹を満たすために暴れ回っている無法地帯である。


 自我と理性のある魔物が経験値稼ぎをしているって言っていたが、周りを見渡せば狩りをしている様子などなく、ただ独自の食物連鎖が繰り広げられているだけだった。


「それなのになんで、こんなにいっぱいいるんだ? 手つかずの無法地帯もいいとこじゃないか!」


 見渡す限りに魔物、魔物、魔物!

 そして、魔物同士喧嘩、いや、殺し合いの食物連鎖をしている。


「そうね。 まぁ理性と自我があるから魔物も近寄りたくないって事よね。 ほんと、クリスタルの場所だけ覚えて置けば良かったよ。」


 クリスタルとは魔物を1日1回だけ自動で生み出す生産物である。


「まっ、せいぜい死なないように頑張りなさい。 死んだら死んだで笑って成仏させてあげるから。」


 そして、笑いながら一冊の本を投げ渡して手を振りながら去って行く。


 見出しには「初級魔法のすすめ」と書かれてあり、これで勉強しろって事だ。初級魔法は第三階級魔法陣までの魔王にとっては基礎のような魔法だ。


 開くと最初に基本5大元素について書かれていた。


 基本5大元素とは、炎、水、雷、地、風の5性質である。使い勝手がよく主戦力にする魔王が多いために基本的な優劣を把握しておかなくてはなければならない。


 それと、残されたパミータの美少女はわたわたしている。


「パミータはどうするんだ? ここで待ってるか? それとも一緒に来るか?」


「わ、わ、わ、私も行きます! 魔物でも10階層から50階層には危なくて近づきませんので一人にしないでくだしゃーい。」


 慌てて着いてくる。彼女の様子から見てもここが十分に危険な所だと理解できる。

 それを察知した娘たちも真剣な面持ちで俺を見る。


「おとーさん。 ここの魔物達こわいの。 でも、おとーさんのやくにたつためにがんばるの! ココロはまだ弱いけど、ちゃんとおとーさんの1番の魔物になるの。」


 レヴィにきついお灸を据えられて自信を無くしている様子だったが、やる気を見せる。


「1番の魔物は私なんだよ! おとーちゃんをしっかりと守れる防御力があるんだよ! これでおとーちゃんは絶対に死なないんだよ!」


 福狸がお腹をポンッと叩きながら言葉を発すると次々に娘たちが1番を争って言葉を発する。


「1番はおれっち、天狼でやがるですっ! 福狸の防御力なんて、おれっちの攻撃力の前には紙みたいなもんでやがるですっ! 攻撃は最大の防御でもあるでやがるです!」


「いちばんはみー。 みーのにげあしなら、ぜったいにつかまらない。 だからあんぜん。 さわれぬことにはさいきょー。」


「わ、私だって、戦うのは嫌いですけと、回復には自信があ、あるですっ! でも、みんな元気でいて欲しいですっ!」


 わちゃわちゃと小競り合いをする。

 この光景はすっかり見慣れたものであって、ただ可愛い獣耳の美少女たちが可愛いく喧嘩しているだけにしか見ない。


 この議論には答えは出なかった。


【ベット購入:20

 計DP880】

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