王都での昼食
俺は黒いシャツに暗めの赤いジャケットを羽織り、暗めの赤いズボンを履きなおしセリアと一緒に外に出た。
ちなみにセリアは青をテーマにしているのか、白と青のシャツに水色のスカートを履いており、靴は青いリボンが着いている白いヒールを履いている。
「前から思っていたけど、ベルフって服のセンス無いよね」
急にセリアからのダメ出しを聞き、ショックを受けた。
「ま、まじか。か、格好よくないか?」
「それ本気で言ってる?」
セリアは真顔で聞いてきた。初めてだ、真顔が怖いなんて感じたのは。
「そこまで言うなら、飯のあと買い物に付き合ってくれよ。」
セリアは俺からの返事が意外だったのか、少し驚いていた。
「べ、別にいいけど。」
「服のセンスがいいシリアが一緒なら、いい買い物になりそうだ。」
「そ、そんこと言ったって奢らないわよ」
「そんなつもりで言ったわけじゃない。単にいつも私服がかわいいなって思っただけだよ」
セリアは急に正面を向き、早歩きになった。
「ちょっと待ってって」
俺は正直な感想を言っただけなんだが、失敗だったかな?俺は慌ててセリアの後をついて行くのだった。
セリアは俺の知らない喫茶店に入って行った。一緒に食べるんだから、一言ぐらい声をかけろよ。と思いながらもさっきのやりとりで負い目に感じてもいるので、セリアの後についていくだけだった。
「いらっしゃいませ。あら?セリアちゃんじゃな~い。」
行き付けなのか、俺たちより少し年上ぐらいの若い女性店員は、セリアの名前を呼んでいた。
「こんにちは、アリーゼさん。二人なんだけど、空いてる?」
セリアは礼儀正しいやつなので、年上に対しては基本的に敬語なのだが、タメ口なのはきっと親しいからなんだろう。
「空いてるわよ~。あまり繁盛してないからね~。それよりも彼氏?ねぇ、彼氏?」
アリーゼさんは笑顔で聞いてくる。
「そんなんじゃない。わかって聞いてるでしょ?それに男とご飯を食べに来たのは初めてじゃないでしょ?」
ん?男と来たことがあるのか?
一度男と来たことがあるから、またこの店にしたのか?
それとも単に行き付けだから?
いや、そんなことよりも、セリアはほかに気になる男性がいるのか?やばい気になりすぎて落ち着かない。
「あの時は明らかに異性って感じじゃ・・・」
「いいから席に案内して。働きなさい。」
セリアはアリーゼさんの言葉を遮り、アリーゼさんの背中を押した。
「もう。わかったから、押さないで~」
なんだが、うれしそうだな。俺はほぼセリアの案内で空いている席に座った。
「ごゆっくり~」
笑顔で声を掛けたアリーゼさんに手で払いながら、セリアはメニューを開いていた。
「な、なぁ。さっき言ってた男って誰?」
俺は勇気を振り絞って聞いてみた。すると、セリアは不機嫌そうな顔をした。
「ベルフには関係ないでしょ?」
まるで、『これ以上は聞くな』と言われているようでこれ以上は何にも聞けなかった。
それからは俺の話術によって、何とか和やかな雰囲気に戻せた。と言っても話した内容は、ここのお店のおすすめや、セリアがよく頼むもの。ここは行き付けなのかどうかや、なんで行き付けになったかなどであったが。俺に話術なんて皆無だな。
そしてお腹も満たし、店を出るときに
「ベルフは彼女とかいるの?」
「ふぇ?い、いないけど。」
いきなりの質問に変な声が出てしまい、セリアは笑いながら「そうなんだ」と言いながら、店を後にした。