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押し花しおりは恋の色  作者: 春崎 ゆう
2/5

アルバイトのシフト決め

 セリアは俺のバイト先のオーナーであり、俺の友達だ。

 正直、ここの収入だけだと俺の小遣いがない。なので俺は友達に頭をさげて仕事をさせてもらっている。

 セリアは自営業で喫茶店を営んでいる。女一人で立ち上げ、仕事が無くてに困っていた幼馴染たちを雇っているほど、実業家であり、良心家である。ちなみに俺も幼馴染で、その良心に付け込んだ不届き者である。

 「ねぇ。話聞いてる?」っとカウンター越しに顔を近づけられて、睨まれた。

 「あぁ。聞いてるから、その可愛い顔をもっと見せろ」と俺はセリアの顔に手を伸ばそうとするが、セリアは顔を引っ込めた。

 「ちょ、やめてよ。どうせ本気じゃないくせに」と少し、悲しげに顔を引っ込めた。

 本気なんだがな。昔からの付き合いもあって、異性というより弟のように思われているのかもしれない。

 「悪かったよ。それで、シフトだろ?シフト表に書いて提出したが、あの日数じゃ無理か?」

 セリアの店は一週間前に来週の一週間分のシフトを直接セリアと相談しながら決める形にしているが、俺だけは一様自営業をしているため、希望のシフト表を紙に書き、提出する形になっている。店でセリアが仕事を終えるまで待っていてもいいのだが、「本業に支障をきたす訳にはいかないでしょ」と言われ、このような形に収まった。

 「7日出勤とかいいわけないでしょ!ここの営業はどうするのよ!」

 セリアは再びカウンターに手を叩きつきながら、俺に顔を近づけながら怒鳴った。

 「そんな、大きな声を上げるなって。それに俺がいなくても母さんが店番するから大丈夫だよ。実際飯の時は交代してるし」

 俺はあまりのセリアの剣幕に少し後ろにのけぞった。

 「前にも言ったと思うけど、このお店に迷惑かけてまで働いてもらわなくていいから。」

 セリアはまじめな顔でこちらを見つめている。

 「いや、迷惑ってわけじゃないんだが。まぁ、それなら今週と同じように3日で頼むよ」

 実際俺がバイトをしているときは、両親で交代しながら店番をしているので実際問題ない。そもそも俺がここの店番をしているのは母親に「家で何もしないなら店番して」と怒られたからである。俺自身はバイトをして家に金を入れ、何も負い目を感じずに過ごせればそれでいいのである。両親は俺にこの店を継がせようとしているようだが。

 「うん。それなんだけど、4日でもいいかな?」

 セリアは両手を顔の前に合わせて謝りながら、お願いしてきた。

 「お前から言っておいてそれかよ。まぁ構わないけど。」

 俺が肯定すると、セリアは安堵をし笑顔になった。

 「最初に怒っておいてほんとにごめんね。でもありがとう。」

 そのあとセリアと具体的なシフトの日時を決めた。

 「お仕事中にごめんね。それじゃ、また職場で」と手を振りながら、店を出て行こうとセリアは後ろを向いた。

 「なぁ、今から一緒に昼めしを食べに行かないか?」

 「え?」

 俺から声をかけられると思っていなかったのか、驚いた表情をしながらこちらを向いた。

 「俺はまだ飯食っていないから、どうかなって思ってさ。忙しいなら無理しなくていいけど。」

 少し戸惑いながら、考え込むセリア。

 「外で食べようと思っていたからいいけど。お店はどうするの?」

 「さっきも言ったが、飯の時は母さんに店番を頼むよ。」

 「そ、そう。そしたらここで待ってるから、準備してきて」

 「準備?」

 俺が首をかしげていると

 「まさか、その格好で外に行くわけないよね?」

 セリアが少し不機嫌になりながら言ってきたので改めて自分の服装を確認した。

 なるほど、この服で一緒に飯を食べたくないな。俺は母親に言われ、お手製のシャツを着ていた。この服には(本を買うなら、ルピナスへ)と書いてある。いわゆる業務服である。

 「そ、そんなわけないだろ。ちょっと待っててな」

 顔が熱くなるの感じながら、俺は店の奥に消えるのだった。

誤字脱字、感想等を頂いたければ、幸いです。

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